占い師によってマインドコントロールされた女性が約1億円も詐取されるという事件が世界仰天ニュースで紹介されました。
■世界仰天ニュース放送内容
恐怖のマインドコントロール
ある女性が電話占いを始め、占い師に電話で恋愛について相談した。すると「自分の言葉を信用して相談してくれれば結婚まで持っていける」と占い師に言われた。女性は2人の子を持つシングルマザー。子育てに自信が持てず、その不安を解消したくて占い師にまた相談してしまう。占い師に、子どもと相性が悪いため元夫に親権を譲って自分の元へ来るようにと言われ、なんと子どもと離れて占い師が用意した家へ。そこで高額な家賃を提示され、彼女は必死に働くが占い師に次々と収入を奪われていく。なかなか解けないマインドコントロールの恐ろしさとは!?
仰天ニュースのマインドコントロール占い師は誰?約1億円詐取
女性を洗脳、売春させ大金だまし取る 「言うとおりにすれば、うまくいく」 女性占い師に1億円賠償命令 東京地裁
女性占い師にマインドコントロールされ、売春をさせられるなどして1億円超をだまし取られたとして、埼玉県本庄市の女性(34)が女性占い師に1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が18日、東京地裁(戸室壮太郎裁判官)であった。占い師側は「女性は1食で14人分の食事を取るなど金遣いが荒かった。マインドコントロールはしていない上、未払いの占い代金が1億円以上あった」などと主張したが、戸室裁判官はこうした主張を一蹴し、請求のほぼ全額に当たる約9800万円の賠償支払いを占い師に命じた。(社会部、小野田雄一)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170118-00000593-san-soci
「世界仰天ニュース」で紹介された占い師によるマインドコントロールは2016年に実際に発生した事件です。
友人もおらず、身内に頼る人もいない34歳の女性が占い師にだまされていました。
事件は2008年にまでさかのぼります。
女性は当時26歳、離婚に悩み、広告を見て女性の電話占い師に相談。
親身になってくれる占い師に、心を許していった女性は占い師に頻繁に電話するようになり、自宅にはお菓子も届けられて占いに、というよりは、この占い師(女)にハマっていきます。
そうこうしているともはや占い師の言う事しか信じられなくなり、すでに占い師と電話する生活が当たり前になって月8万円の相談料を払い、二人の子供には目もくれず、生活もめちゃくちゃ。
占い師からは「子供とあなたの相性が悪い」からと子供と離れて暮らすようアドバイスされ、2人の子供の親権も元夫に譲ってしまいます。
2011年には占い師が所有する東京・広尾の家賃27万円のマンションに一緒に住むようになり、同時に東京・新橋の風俗店で働き始めました。
毎日休まず、夕方から次の日の午前中まで風俗で働き休憩時間は、女の雑務。
過酷な労働を続けていたことから気分が悪くなり、洗面所で吐く行為が続いていたため占い師から
『マンションで起きた異臭騒動で、あなたには多額の賠償義務がある』
『あなたは過去に吸った大麻の影響で正常な判断ができない。私の言うとおりにしなさい』
『好きな男性と上手くいくようになる方法は全て私が知っている。』
などとマインドコントロールされます。
風俗店で働くよう命じられた上、いわゆる“本番行為”などの裏サービスをするよう指示された。収入は全額占い師に渡していた。
こういったマインドコントロールの末に、女性は1億円近くを占い師に支払っています。このお金は女性が風俗店で稼いだお金です。
女性が占い師のマインドコントロールによって人間の尊厳を奪われるような生活を強いられていたことは、幸か不幸か国税局の調査がきっかけで明かとなります。
女性は稼いだお金の【全額】を占い師に手渡していたため納税していませんでした。
その滞納金額は数千万円に上ります。
お金の流れを把握するために、国税局が調査に動き出しまず排水溝が詰まった等の苦情や請求で借金があるかどうかを管理会社に確認。
実は、排水管異臭騒ぎの損害賠償請求に関する資料が占い師の家から一切出てきませんでした。
この時点ではまだ占い師のことを信じてやまない女性は国税局の調査には嘘やはぐらかしばかりでしたが、
家を訪れた調査官がみた女性の実態は、電気・ガス・水道も止まり、自由に使えるお金はほとんどない、悲惨な状態でした。
ただ国税庁としても滞納された税金を徴収しないわけにはいかず、どうすることもできなかった女性は占い師に返金してもらうように伝えるものの、占い師は応じません。
現金での受け渡しだったため、当然、証拠が存在しなかったからです。
仰天ニュースのマインドコントロール占い師に裁判の判決・結果は?
このあまりに不条理な現実に、ようやく女性は少しずつ目が覚めし、弁護士に裁判を依頼します。
物証がなく不利な状況でしたが、2017年1月に判決を迎え、占い師には慰謝料含む9800万円の賠償請求がされました。
判決では
(1)女性が平成23年3月に広尾のマンションに住むようになったのは占い師の指示のためだった
(2)同年6月に占い師が「あなたが過食や嘔吐(おうと)を繰り返すため配水管が故障し、異臭騒ぎが起きた。修繕に数十億円が必要だ」などと脅した。ただし実際には異臭騒ぎはなかった
(3)多額の弁償のため風俗店で働くよう指示した
(4)24年5月ごろ、占い師は「あなたの借金が膨らんでいる」と脅し、裏サービスや風俗店外での売春行為をするよう指示した。占い師は「あなたは泥棒」「警察に突き出す」など女性の恐怖心をあおるメールを送っていた
(5)女性は23年~25年、風俗店や裏サービスなどで計約9000万円の収入を得ており、大半を占い師に渡していた
ことなどが認定されています。
ただ、占師側は「マインドコントロールをしようとは考えておらず、風俗店で働くことも指示していない」と主張していました。
仰天ニュースの占い師はマインドコントロールではなくコールドリーディング
仰天ニュースの占い師が行っていたのは占いではなく、巧みにコールドリーディングを駆使した詐欺です。
コールドリーディングとは、相手にあたかも「わたしはあなたよりもあなたのことをよく知っている」と信じさせる話術。
事前に情報がない状態でも、相手の性別や性格に合わせて情報を引き出し、相手の気持ちを言い当て信頼をえていくというもの。
コールドリーディングでは例えば「あなたは外向的で付き合いがいいときもある半面、内向的で用心深いときもありますね」といった話術があります。
正反対の性格を同時に提示する「二重人格ルーズ」という方法で、常に明るい人はいませんし、いつも暗い人もほとんどいません。
言われたほうにしてみたら、無意識に「自分の性格が見抜かれた」と感じてしまい、相手を信用するきっかけとなってしまいます。