次世代通信規格の実験中、木の枝に止まっていたムクドリが次々に墜落し、
合計297羽が突然死したというニュースがヤフーのトップニュースでも取り上げられました。
情報源は女性自身で、この記事を担当したのは船瀬俊介という人物らしいですが、
どうやらアメリカのファクトチェックサイトですでにフェイクニュースだと判定された事案のようです。
※この記事の執筆者は電気・電子分野で工学修士を持っています。
5gでムクドリ大量死はフェイクニュース!デマに注意!
5gでムクドリ大量死に関して事実関係(因果関係)を
アメリカの有名なファクトサイト「スノープス」が検証した結果、
5gの実験とムクドリ大量死には関連性がないことが指摘されています。
記事は英文ですが、要点を日本語でまとめると、
5gの実験が行われたのは2018年6月のことで、
ムクドリ大量死は発生したのは2018年10月とのこと。
少なくとも5gの実験中、もしくは実験直後にムクドリが大量死したわけでもないし、
4か月も経ってから5gの影響でいきなり大量死するというのも、
常識的には考えにくいものがあります。
ネットでは、もし5gの電波が本当にムクドリ大量死につながったのであれば、
逆にムクドリの駆除に5gが使えるのではないのか?という活用案も提案されています。
記事では「ベルギーでは5G導入中止」という点にも触れられていて、
ベルギーの環境大臣自身の判断のように見受けられるものの、実際には、
電波基準の引き上げに市民が反対したことを受けて中止したようです。
ムクドリ大量死と5gの関係を蒸し返した女性自身の船瀬俊介とは?
女性自身で今回の記事を担当した船瀬俊介さんは、
「鳥を解剖したが、伝染病といった疾患は見つからず、5Gのマイクロ波が鳥たちの心臓を止めたということでしょう」
とコメントしています。
5gは確かに4gのマイクロ波よりもさらに高い周波数となっています。
試しにネットで「5G マイクロ波」と調べてみると、
「ビームフォーミングで人体の制御が可能になる」
「脳腫瘍や白血病のリスクが懸念されています」
といった記述が見受けられますが、高い周波数になると高エネルギーとなって、
人体に影響を与える?というのは、ちょっと論理が成り立ちません。
私たちは日常的に太陽の光を浴びていますが、光も結局、電磁波の一種で、
通常の電磁波と違って光の周波数というのはとんでもなく高い周波数となっています。
「高い周波数=高エネルギー」というのであれば、私たちは日常的に、
高エネルギーの電磁波を浴びていることになります。
それなのに人体にはほとんど影響はなく、紫外線で日焼けをする程度。
もちろん高エネルギーの紫外線を浴び続けると日焼けを通り越して、
火傷をすることがありますが、火傷の範囲は肌表面にとどまります。
つまり5gの電磁波がいくら高周波数で高エネルギーだったとしても、
紫外線ほどの周波数ではないわけで、肌を貫通して人体の中にまで影響が出るとは
考えにくいものがあります。
ちなみに、俗に言う放射能と言われるエックス線(x線) やガンマ線(γ線)は、
光の周波数よりもさらに高い周波数となっていて、ここまで高エネルギーになって
ようやく人体にまで影響を与えるようになります。
もう1点付け加えると4gだろうが3gだろうが5gだろうが、ほんの微量だと思いますが人体の内部に到達していると考えられます。
ただ強い放射線を浴びるような場合とは違って、内臓機能に影響を与えるとか細胞分裂を止めるといったほどの影響はないと思われます。
たとえていうならば、真夏の暑い日でもクーラーの効いた部屋の窓から太陽を眺める分には、太陽の暑さを感じない(窓によって熱を持った電磁波、つまり赤外線が遮られる)のと同じような理屈です。