甲斐の言葉の由来・語源|「生き甲斐」「甲斐性」と甲斐の国の関係は?

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甲斐という言葉の由来・語源は?

「生き甲斐」「甲斐性」などの甲斐と「甲斐の国」の甲斐は関係があるんでしょうか?

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甲斐の言葉の由来・語源|「生き甲斐」「甲斐性」と甲斐の国の関係は?

「甲斐」という言葉には、大きく分けて2つの意味があります。

1つは、「効き目」「効果」「値打ち」という意味です。

もう1つは、「山梨県」の古称です。

これらの2つの意味は、語源としては全く関係がありません。

「効き目」「効果」「値打ち」という意味の「甲斐」は、古くは「代」や「債」などの字で表記されていました。

「代」は「代わる」という意味で、「債」は「借りる」という意味です。

これらの字からわかるように、もともとは「交換」「代償」などの意味を持っていました。

その後、「代わる」や「借りる」といった意味から、「交換によって得られる利益」や「代償として得られる価値」*という意味に変化していきました。

そして、鎌倉時代以降には「甲斐」の字が当てられるようになりました。

甲斐の言葉の由来・語源|「山梨県」の古称

「山梨県」の古称である「甲斐」は、その由来について諸説があります。

山と山の間の峡谷(かい)に由来する説
東海道と東山道が交わる場所に由来する説
ヤマト政権の東国支配における重要な結節点の行政軍事上の役割が「交ひ」に由来する説
馬を飼う「かい」に由来する説

これらの説のうち、最も有力な説は、「東海道と東山道が交わる場所に由来する説」です。

甲斐国は、東海道と東山道の交わる場所に位置しており、古くから交通の要衝として栄えてきました。

このことから、甲斐国が「交ひ(甲斐)」と呼ばれたのではないかと考えられています。

なお、この「甲斐」の「斐」の字は、古くは「ひ」と発音されていましたが、時代が下るにつれて「かい」と発音されるようになりました。

甲斐の言葉の由来・語源|万葉集

万葉集の例は

味飯乎/水爾釀成/吾待之/代?曾无/
直爾之不有?
うまいひを/水に釀(か)みなし/あが待ちし/かひはかつてなし/ただにし有らねば
〈万葉集3810、訓みは「新校注萬葉集」(井手至・毛利正守校注、2008年、和泉書院)による〉

ここで「代」の字が使われているように「代ひ」「替ひ」に由来すると思われます。
「甲斐」の字を宛てるのは中世以後で、上代においては「甲斐」の「斐」は甲類、「代ひ」の「ひ」は乙類で別音です。

まとめ:甲斐の言葉の由来・語源|「生き甲斐」「甲斐性」と甲斐の国の関係は?

「甲斐」という言葉は、古文では「かひ」と書かれ、古代のころは「効」という字を使って表されました。その意味は効き目や効果といったものを指しています。この言葉の語源には、二つのものが交換されることを指す「かう(行きかう)」や「変える」「違い」「買う(代金と品物の交換)」などが関係しています。そこから、何かを行うことによって得られる対価や効果を指すようになったのです。「かいがいしい」や「甲斐性」などの言葉は、一生懸命働くことから派生した表現です。

一方、「甲斐の国」の「甲斐」の由来については、はっきりとは分かっていません。昔は山の間や山と山が交わる場所を意味する「峡」に由来するという説もありましたが、後の研究で否定されました。平川南氏は、交通の要所であったことから「交ひ(行き交い)」に由来するのではないかという説を唱えましたが、発音上の問題からその説も疑問視されています。

「かい(効)」の意味に「甲斐」の字が使われるようになったのは、鎌倉時代以降のことです。そして、「甲斐国」の「甲斐」という字は、国名として使われる以前に当て字として使われたものです。かつては「かい(代)」「債」「詮」という字が使われていました。

信玄が絶大な勢力を持った山梨県は、海に面しておらず塩に関しては戦略的にも苦労しました。特別な城を持たずに国を守り抜く姿勢を見せた武田信玄は、山梨県の人々から尊敬されています。彼は「人は石垣、人は城」という言葉を残し、国を守るのは城ではなく領民であるという姿勢を示しました。これが彼らの心に深く刻まれたのです。

「甲斐」の由来には複数の説がありますが、古代の言葉や字が変化していった経緯から、「甲斐国」「生き甲斐」「甲斐性」といった言葉の由来は、元々は「交ひ」という言葉が変化して生まれたものだと考えられています。

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