「アルジャーノンに花束を」の最後の一文の意味を考察。
感動的な結末を意味しているのでしょうか？
アルジャーノンに花束を｜の最後の一文の意味は？
「アルジャーノンに花束を」の最後の一文は、主人公のチャーリーが、知性を失いつつある中で、同じく実験を受けたネズミのアルジャーノンに捧げる、友情と哀悼の気持ちを表したものです。
チャーリーは、知能向上手術によって、幼少期に失った知性を回復し、世界を理解し、恋をするまでになりました。しかし、その手術には副作用があり、徐々に知性を失い始めます。
そんな中、アルジャーノンもまた、知性を失い始めます。アルジャーノンは、チャーリーにとって唯一の理解者であり、親友でした。アルジャーノンの死は、チャーリーにとって大きな喪失であり、彼の知性喪失を加速させます。
最後の一文は、そんなチャーリーが、アルジャーノンに捧げる、友情と哀悼の気持ちを表しています。
「ついでがあったら」とは、チャーリー自身がもうすぐ死ぬことを、そして自分はアルジャーノンの墓参りに行くことができないことを意味しています。
「うらにわのアルジャーノンのおはかに」とは、アルジャーノンの墓が、大学の裏庭にあることを意味しています。
「花束をそなえてください」とは、アルジャーノンの死を悼み、彼を偲ぶために、花束を供えてほしいという願いです。
アルジャーノンに花束を｜の最後の一文の感想は泣ける？
「アルジャーノンに花束を」の最後の一文は、読者の心境を大きく揺さぶりにかかっています。その理由は、次の2つが考えられます。
1つは、チャーリーの人間性を表すものであるからです。知性を失いつつある中であっても、チャーリーは、アルジャーノンへの友情と哀悼の気持ちを忘れませんでした。このことは、チャーリーの人間性の強さ、そして彼が失った知性よりも大切なものを守ろうとしたことを表しています。
もう1つは、理不尽な運命を嘆くものであるからです。チャーリーは、知能向上手術によって、世界を理解し、恋をするまでになりました。しかし、その手術には副作用があり、彼はすべてを失い、死んでいきます。この理不尽な運命を嘆くチャーリーの姿は、読者の心を強く揺さぶります。
まとめ：アルジャーノンに花束を｜の最後の一文の意味は？泣ける？
「アルジャーノンに花束を」の最後の一文は、物語の感動的な結末を暗示しています。この文は、主人公の内面や物語全体のテーマに深い意味を持っています。
この一文では、主人公であるチャーリーが最後に自らの人間性を示そうとする姿が表現されています。彼は知性を取り戻し、成長していく一方で、自分の知能が衰えていく運命に苦しんでいます。この状況の中で、彼は友情を築いたネズミのアルジャーノンが亡くなり、自分も同じように死を迎えることを悟り始めています。
この文の中で「どーかついでにあったらうわにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてください」という表現は、チャーリーが自分の死期が近づいていることを暗示しています。彼は自分の死に向けて受け入れを始め、自らが残すメッセージを語っています。
さらに、この一文には「自分のお墓参りのついで」という意味も含まれています。つまり、彼自身が生前に自分の死を予期し、自分の墓に花束を手向けることができないため、他者に代わって行ってほしいという思いが込められています。
一方で「アルジャーノンに花束を」の物語を通じてチャーリーは、人体実験で知能を高める手術を受けたことで知的に成長し、人間関係や感情にも深く触れるようになりました。
しかし、その後、急速に知能が低下し、最終的には手術前の知能を下回るという運命に直面します。この急激な変化や、自分の死期を自覚する彼の姿は、読者の共感や同情を引き起こす要素となっています。
アルジャーノンに花束をあらすじ
知的障害を持つ青年チャーリイは、かしこくなって、周りの友達と同じになりたいと願っていた。他人を疑うことを知らず、周囲に笑顔をふりまき、誰にでも親切であろうとする、大きな体に小さな子供の心を持った優しい性格の青年だった。
彼は叔父の知り合いが営むパン屋で働くかたわら、知的障害者専門の学習クラスに通っていた。ある日、クラスの担任である大学教授・アリスから、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められる。先に動物実験で対象となったハツカネズミの「アルジャーノン」は、驚くべき記憶・思考力を発揮し、チャーリイと難関の迷路実験で対決し、彼に勝ってしまう。彼は手術を受けることを快諾し、この手術の人間に対する臨床試験の被験者第1号に選ばれたのだった。
手術は成功し、チャーリイのIQは68から徐々に上昇し、数か月でIQ185の知能を持つ天才となった。チャーリイは大学で学生に混じって勉強することを許され、知識を得る喜び・難しい問題を考える楽しみを満たしていく。だが、頭が良くなるにつれ、これまで友達だと信じていた仕事仲間にだまされいじめられていたこと、自分の知能の低さが理由で母親に捨てられたことなど、知りたくもない事実を理解するようになる。
また、高い知能に反してチャーリイの感情は幼いままだった。突然に急成長を果たした天才的な知能とのバランスが取れず、妥協を知らないまま正義感を振り回し、自尊心が高まり、知らず知らず他人を見下すようになっていく。周囲の人間が離れていく中で、チャーリイは手術前には抱いたことも無い孤独感を抱くのだった。さらに、忘れていた記憶の未整理な奔流もチャーリイを苦悩の日々へと追い込んでいく。
そんなある日、自分より先に脳手術を受け、彼が世話をしていたアルジャーノンに異変が起こる。チャーリイは自分でアルジャーノンの異変について調査を始め、手術は一時的に知能を発達させるものの、性格の発達がそれに追いつかず社会性が損なわれること、そしてピークに達した知能は、やがて失われ元よりも下降してしまうという欠陥を突き止める。彼は失われ行く知能の中で、退行を引き止める手段を模索するが、知能の退行を止めることはできず、チャーリイは元の知能の知的障害者に戻ってしまう。自身のゆく末と、知的障害者の立場を知ってしまったチャーリイは、自らの意思で障害者収容施設へと向かう。
彼は経過報告日誌の最後に、正気を失ったまま寿命が尽きてしまったアルジャーノンの死を悼み、これを読むであろう大学教授に向けたメッセージ（「ついしん」）として、「どうかついでがあったら、うらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやってください」と締め括る。
