銅イオン（Ｃｕ）はなぜ、イオンの価数が変わるのですか？
銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)の違いは何なんでしょうか？
銅イオン（Ｃｕ）なぜイオンの価数が変わる？
銅イオンの価数は、原子番号が29の銅が、電子を失ったり得たりして、イオン化した状態のことです。銅は、原子状態ではK殻に2個、L殻に8個、M殻に18個、N殻に1個の電子を持っています。
高校化学では、価電子数は、最外殻の電子数であると教わります。この考え方に基づくと、銅の価電子数は8であり、最外殻が8個の電子で満たされているため、電子を失って陽イオンになるのは難しいと考えられます。しかし、実際には、銅は1価の陽イオンCu+と2価の陽イオンCu2+の両方ができます。
なぜ、銅の価数は変わるのでしょうか。その理由は、電子のエネルギー準位にあります。エネルギー準位とは、電子が存在できるエネルギーの状態のことです。電子は、できるだけ低いエネルギーの状態を好みます。
銅の電子配置をエネルギー準位の観点から見ると、K殻とL殻は、エネルギーが比較的低く、電子が安定して存在できる状態です。しかし、M殻とN殻は、エネルギーが比較的高く、電子が安定して存在できる状態ではありません。
そのため、銅は、M殻やN殻の電子を失って、K殻とL殻の電子で安定しようとします。M殻の電子を1個失うと1価の陽イオンCu+になり、M殻の電子を2個失うと2価の陽イオンCu2+になります。
また、銅は、N殻の電子を1個失って、K殻とL殻とN殻で安定しようとすることもあります。しかし、この状態は、M殻の電子を1個失った状態よりもエネルギー的に不安定です。そのため、銅は、通常はN殻の電子を失って1価の陽イオンCu+になることがほとんどです。
なお、銅を加熱すると、2価の酸化銅から1価の酸化銅に変化します。これは、加熱によって、N殻の電子がM殻に移動し、M殻の電子が1個失われるためです。
銅イオン（Ｃｕ）の価数｜銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)の違いは？
銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)は、同じ元素の銅ですが、価数（電子を失った数）が異なるため、性質や色が異なります。
■銅(Ⅰ)の性質
価数：1
電子配置：K殻2, L殻8, M殻18, N殻1
色：赤色
性質：
比較的安定
水に溶けにくい
酸化剤
■銅(Ⅱ)の性質
価数：2
電子配置：K殻2, L殻8, M殻18
色：黒色
性質：
比較的不安定
水に溶けやすい
還元剤
銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)の違いの原因
銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)の違いの原因は、電子のエネルギー準位にあります。電子は、できるだけ低いエネルギーの状態を好みます。
銅は、原子状態では、K殻とL殻は比較的低いエネルギーの状態にあり、電子が安定して存在することができます。しかし、M殻とN殻は比較的高いエネルギーの状態にあり、電子が安定して存在することができません。
そのため、銅は、M殻やN殻の電子を失って、K殻とL殻の電子で安定しようとします。M殻の電子を1個失うと1価の銅イオンCu+になり、M殻の電子を2個失うと2価の銅イオンCu2+になります。
つまり、銅(Ⅰ)は、M殻の電子を1個失った状態であり、銅(Ⅱ)は、M殻の電子を2個失った状態であると言えます。
銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)の性質の違い
銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)の性質の違いは、価数の違いに起因しています。
価数は、電子を失った数を表すため、価数が大きいほど、電子を失いやすい性質があります。そのため、銅(Ⅱ)は銅(Ⅰ)よりも電子を失いやすく、不安定な性質になります。
また、価数は、水に溶けやすさや酸化剤・還元剤としての性質にも影響します。価数が大きいほど、水に溶けやすく、酸化剤としての性質が強くなります。そのため、銅(Ⅱ)は銅(Ⅰ)よりも水に溶けやすく、酸化剤としての性質が強い性質になります。
まとめ：銅イオン（Ｃｕ）なぜイオンの価数が変わる？銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)の違いは？
銅イオン（Cu）がイオンの価数を変える理由について、イオンの価数は、元素の性質を理解する上で重要な指標です。通常、元素は特定の価数でイオン化する傾向がありますが、一部の元素には例外が存在します。そのため、価数の変動には幾つかの理由があります。
まず、高校で習った内容と実際の科学知識にはずれがあることを知っておく必要があります。科学の世界では、高校で習った内容を簡略化して教えることがありますが、実際にはもう少し複雑なものです。具体的には、電子殻の概念に関して、教科書や授業では「K殻に２つ、L殻に８つの電子が入る」と習いますが、これは便宜上の説明で実際の電子の動きはもう少し複雑です。
実際の銅イオンの場合、価数が変わる理由は、エネルギー準位という概念にあります。エネルギー準位は、電子のエネルギーが低い順番に配置されたものです。このエネルギー準位を理解すると、イオンの価数が変わる理由がわかりやすくなります。
例えば、銅イオンは通常、２価のイオンとして存在しますが、２価から１価に変わることがあります。これは、エネルギー準位の考え方を使うと説明できます。エネルギー準位をマラソンの走路に例えると、100mのトラックと150mのトラックがあるとします。100mのトラックが低いエネルギーで、150mのトラックが高いエネルギーです。最初は100mのトラックに人が入りますが、限られた数の人しか入れないので、余った人が150mのトラックに移動するイメージです。
さらに、銅イオンの２価から１価への変化は、エネルギー的に安定な状態に移るために起こります。例えば、２価の銅イオンは普段、エネルギー的には安定していますが、外部から熱を与えると、エネルギー的により安定な状態である１価に変化します。ただし、これは熱を加えた場合であり、熱をやめて冷ますと元に戻ります。
銅(Ⅰ)と銅(Ⅱ)は、同じ元素の銅ですが、価数が異なるため、性質や色が異なります。
銅(Ⅰ)は比較的安定で、水に溶けにくい性質を持ちます。また、酸化剤として利用されています。
銅(Ⅱ)は比較的不安定で、水に溶けやすい性質を持ちます。また、還元剤として利用されています。
