NHK朝ドラ「虎に翼」で「毒饅頭殺人事件」という劇中劇が披露されました。
第3週「女は三界に家なし?」では伊藤沙莉さん演じるヒロイン・寅子の小鮎明律大学女子部が生徒数が減り、存続の危機に陥ったため、宣伝のため3年生と合同で法廷劇を上演することになりました。
秋の明律祭で披露することになった法廷劇「毒饅頭殺人事件」の実在モデルは?
毒饅頭殺人事件の実在モデル|虎に翼
NHK朝ドラ「虎に翼」で「毒饅頭殺人事件」という劇中劇が披露されましたが、、チフス饅頭事件という実在の事件がモデルになっているとみられます。
チフス饅頭事件は、1939年に兵庫県神戸市で起こった事件です。この事件では、医師宅に届けられたチフス菌が仕込まれた饅頭を食べた12人が感染し、うち1人が亡くなるという悲劇が起きました。
事件は、神戸市立川池小学校の職員が自宅から持ち込んだ饅頭を教師たちと一緒に食べたところ、チフスを発病したことで発覚しました。その饅頭は、副院長の未入籍の妻であるH(仮名)によってチフス菌が仕込まれていました。Hは副院長との関係が悪化し、彼を苦しめるために犯行に及んだとされています。
Hは医師としての経験や細菌研究所での知識を用いてチフス菌を饅頭に仕込み、副院長宅に送りつけました。その結果、副院長の実弟が亡くなり、多くの人々が感染しました。事件後、Hは逮捕され裁判にかけられました。裁判では、Hの行為は殺人未遂として有罪が言い渡されましたが、同情の余地を見いだして懲役3年の刑が言い渡されました。
しかし、検察側はこの判決に不服を申し立て、控訴が行われました。控訴審では、殺人と殺人未遂が認定され、懲役8年の刑が言い渡されました。その後も上告が行われましたが、最終的に懲役8年の刑が確定しました。
Hは模範囚として早期出所し、その後は医師として活動しました。彼女の行動は、恋愛関係の終焉や復讐心から生じたものであり、彼女自身は殺意はなかったと主張しています。
虎に翼での毒饅頭殺人事件
「虎に翼」では医学生だった乙蔵と恋に落ちたカフェの女給・甲子。彼女はいつか結婚するつもりで乙蔵に5年以上も資金援助を続けていた。
けれど、乙蔵は医師になった途端に甲子を捨てる。乙蔵の家族にまで冷たくあしらわれた甲子は一家の殺害を決意。
防虫剤入りの饅頭を贈り、それを食べた乙蔵と両親が重体に。不運なことに無関係の祖父が死亡してしまった。この事件を巡り、検事と弁護士が法廷で白熱の火花を散らします。
寅子の母・はる(石田ゆり子)が被告人の甲子、下宿人の優三(仲野太賀)が被害者の乙蔵を演じています。
因島毒饅頭殺人事件とは?
1961年(昭和36年)1月8日に広島県因島市(現在の尾道市因島)で発生した、女児が毒饅頭(どら焼き)を食べて死亡したという実在の事件がモデルになっているとみられます。
この事件は、周囲の人々の噂や状況から、猟奇的な殺人事件と見なされ、無実の男性が誤って巻き込まれ、冤罪事件となりました。
事件の概要は、女の子が饅頭を食べて亡くなった後、警察によって捜査が始まりました。被告人である男性は逮捕され、自白供述により5人を殺害したと自白しました。しかし、物的証拠はなく、自白も一貫性に欠けるものでした。
裁判では、一審で有罪判決が言い渡されましたが、控訴審では無罪とされました。自白が唯一の証拠であったため、その信用性が問題視されました。また、事件の背景には、島の閉鎖的で陰湿な風土があり、このような雰囲気が権力と結びついて冤罪を生むことがあると考えられました。
さらに、事件の裏には憎しみや背信の感情が絡んでいました。花子という女性は、自分の内縁の夫である男性に憎しみを抱き、彼を苦しめるために毒入りの饅頭を送りつけました。しかし、殺意はなかったと主張しました。
■事件の特徴
この事件は、狭い島社会の噂話がもとで発生したとされています。
Mは、病的な虚言癖があったとされています。
裁判では、自白の信用性が争点となりました。
■事件の教訓
この事件は、冤罪事件の恐ろしさを改めて認識させてくれました。
裁判では、証拠に基づいて判断することが重要です。
噂話には安易に流されないようにすることが大切です。
虎に翼(第3週)あらすじ|毒饅頭殺人事件の劇中劇
生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは3年生と合同で法廷劇を上演することになった。よね(土居志央梨)は涼子(桜井ユキ)が書いた法廷劇の脚本を「甘い」と批判し、寅子と言い合いになる。本番の日。女子部をからかう男子学生・小橋(名村辰)らの妨害があり、法廷劇は中止に追い込まれる。けがをしたよねを運んだ女子部一同は、よねが働きながら苦労して弁護士を目指していることを知る。かける言葉が見つからない寅子は、実際の事件を徹底的に調べようと提案する。