今里仁さんは2007年に高知空港で発生した全日空機高知空港胴体着陸事故の機長。
高知空港で前輪が出ないトラブルが発生し、胴体着陸を余儀なくされました。幸い、乗員乗客60名にけが人はいませんでした。
全日空機高知空港胴体着陸事故（今里仁機長）の経緯
2007年3月13日、全日本空輸（ANA）1603便（ボンバルディア DHC8-Q400型）が、大阪国際空港を午前8時9分に離陸。
■前輪が出ないトラブル発生
離陸して約40分後の午前8時49分頃、高知・桂浜上空で高知空港への着陸態勢に移ろうとしたところ、機長から空港管制塔へ「ノーズギア（前輪）が出ない」と連絡が入りました。
■タッチ・アンド・ゴーの試み
管制塔の指示により、高度を下げて前輪が出ていないことを確認し、衝撃で前輪を降ろそうと10時半ごろ滑走路に出ている主脚を接地させて衝撃を加え、すぐに高度を上げる「タッチ・アンド・ゴー」を2回行いましたが、成功しませんでした。
全日空機高知空港胴体着陸事故（今里仁機長）の原因
前輪が出ないことが確認され、タッチ・アンド・ゴーも不成功に終わったため、機長は最後の手段として胴体着陸を決断しました。
■緊急着陸
1603便は午前10時54分に胴体着陸を決行し、メインギア（後輪）のみを滑走路に接地させて機首を水平やや上方に保った状態で15秒ほど滑走した後、緩やかに機首を下ろして滑走路と接触させながら減速し、機首接地の15秒後には無事停止して緊急着陸に成功しました。
事故の原因
国土交通省航空・鉄道事故調査委員会による調査の結果、事故原因は次のとおりでした。
■前輪格納庫開閉アームの支点部分のボルトの紛失
前輪格納庫の開閉扉を動かすアーム部に装着されている円筒形状の部品（スリーブ）が、本来の装着位置よりずれて機体側に引っ掛かっていた原因は、この部品を固定するボルト1個が紛失していたためです。ボルトで固定されるべき部品が、離着陸を重ねるごとに徐々にずれて機体側に引っかかりロックしてしまったため、バックアップの手動操作も機能しませんでした。
■ボルト紛失の原因
ボルト紛失の原因は、製造過程におけるミスと推定されています。事故調査委員会は、事故原因となった前脚ドア部を接合する筒状部品にボルトが入っていた痕跡がないため、事故機の製造過程からボルトを入れ損ねていた可能性が高いとの見方を固めました。
■点検整備の不備
また、メーカーによるマニュアルのチェックリストに載っていなかったため、全日空は2005年7月の機体受領以来、該当部分の点検整備自体をしていませんでした。
今里仁機長wikiプロフィール｜全日空機高知空港胴体着陸事故
全日空機の高知空港での胴体着陸事故で、機長として奮闘した今里仁さんについて詳しく説明します。
今里仁さんは、1971年に熊本県芦北郡芦北町で生まれました。幼少期から航空パイロットを夢見ており、八代高校を卒業後は航空大学に進学し、その後1995年にANAの関連会社であるエアーセントラルに入社しました。
当時の報道によれば、今里仁さんは冷静沈着な人物であり、総飛行時間は約7900～8000時間でした。事故を起こした機種での飛行時間も900時間以上ありました。関係者からは経験豊富でありながらも、冷静な対応ができる人物として評価されていました。
また、今里仁さんは優しい人柄も持っていました。事故後、母親に安心させるために電話をかけるなど、家族想いであることがうかがえます。
胴体着陸事故では、燃料が残りわずかになりながらも、乗客の安全を最優先に考え、冷静に状況を把握し、的確な判断を下しました。機内アナウンスでも落ち着いた声で段取りや注意事項を説明し、乗客の動揺を最小限に抑えました。
その結果、無事に胴体着陸を成功させ、乗客やクルーの命を守りました。事故後は、会社に冷静に報告し、その対応は称賛されました。
今里仁のwiki現在｜全日空機高知空港胴体着陸事故の機長
2007年4月、今里機長は、国土交通省航空局長官表彰を受賞しました。これは、航空機の安全運航に特に貢献した個人に対して贈られる表彰です。
その後、新聞やテレビでは、今里機長のインタビューや関係者の証言が報道されました。
インターネット上でも、今里機長の功績を称賛する声が多数寄せられました。
ただ、現在の今里仁さんの様子については、ネット上での情報がほとんどありません。顔写真や現在の活動についても確認できていません。ただし、51歳という年齢から考えると、依然としてパイロットとして活躍している可能性が高いです。
今里仁さんの勇気と冷静さは、多くの人々に感銘を与えました。彼の行動は、単なる職務以上のものであり、その姿勢は多くの人々に勇気と希望を与えています。
