映画『ラストマイル』は、日本の物流業界を舞台に、ブラックフライデーの最中に発生する連続爆破事件を描いたサスペンスドラマ
「ラストマイル」のストーリーについて、1度見ただけではっきりとしない要素も多く「意味がわからない」「意味不明」という感想も多く見られます。
たとえば、爆弾の数について、11個はブラックフライデーのセール中に犯人が買ったものに仕込まれていましたが、犯人の購入履歴も確認して刑事たちがそれを隈なく探してこれで最後だと、持ってきた製品には爆弾が入ってないと確認してたあの存在は結局なんだったんでしょうか?
爆弾の数は12個じゃない?
ラストマイル(映画)意味がわからない!ストーリー解説
映画「ラストマイル」は、近未来の日本を舞台に、巨大化した物流システムの闇と、そこで働く人々の葛藤を描いたサスペンス作品です。ストーリーの中心となるのは、大手ショッピングサイト「DAILY FAST」で起きる連続爆破事件です。
物語は、ブラックフライデー前夜に「DAILY FAST」から発送された荷物が爆発し、日本中を巻き込む大事件へと発展するシーンから始まります。
事件の真相と登場人物たちの苦悩
事件の真相を追うのは、関東センター長の舟渡エレナと、チームマネージャーの梨本孔です。彼らは、警察と共に、事件の背後に隠された巨大な陰謀に立ち向かっていきます。
5年前、エレナの前任である山崎たすくが、西武蔵野ロジスティクスセンターでベルトコンベアの上に飛び降り自殺を図った事件がありました。彼は恋人の筧まりかと結婚を考えていましたが、仕事で思い詰めていた様子でした。
筧まりかは、山﨑が自ら命を絶つような行動をとったのはデリファスの責任だと考えていました。しかし、会社側は彼女の訴えに耳を傾けようとしません。そこで彼女は、山﨑の死を無駄にしないため、そして彼を追い詰めた世界に復讐するため、自らも命を絶つ覚悟で連続爆破事件を起こしたのです。
謎のメッセージ「2.7m/s → 0 70kg」の意味
作中で重要な意味を持つのが、過去に「DAILY FAST」で働いていた山崎が残した謎のメッセージ「2.7m/s → 0 70kg」です。
- 2.7m/sは、物流センター内で稼働するベルトコンベアの速度を、70kgはその上に載せられる重量の限界を示唆しています。
- 山崎は過酷な労働環境に追い詰められ、自らの体(約70kg)をベルトコンベアに投げ出すことで、システムを止めようとしました。
- しかし、彼の死は一時的な混乱をもたらしただけに過ぎず、巨大なシステムはすぐに復旧してしまいます。
これは、個人の力では抗うことのできない、現代社会のシステムの巨大さと冷酷さを象徴しています。
映画が投げかけるメッセージ
「ラストマイル」は、単なるサスペンス映画ではなく、現代社会における様々な問題を私たちに突き付けています。
- 効率化の果てに: AI技術やオートメーション化が進む現代において、私たちは効率性を追求するあまりに、本当に大切なものを失ってはいないでしょうか。
- 責任の所在: 便利なサービスの裏側で、過酷な労働を強いられている人々がいる現実。私たちは、その責任の一端を担っているのではないでしょうか。
- 希望と絶望の狭間で: 巨大なシステムに対峙する人間の無力さと、それでも未来を変えようとする希望の光。
事件後、変化は訪れたのか?
映画は、佐野親子によって最後の爆弾が食い止められ、すべての爆弾事件が解決した後、エレナはデイリーファーストを辞める決心をしたところで幕を閉じます。そして、梨本孔が新しいセンター長になります。
デイリーファーストは、この事件から何も学ばなかったのでしょうか?
いくつかの変化はありました。
- 羊急便やその他運送会社の抗議により、デリファスからの配送の成果報酬が1つ150円から170円に上がった。
しかし、根本的な解決には至っていません。
- 脚本家の野木さんは、過去にも労働者が声を上げる映画や作品はいくつも作られていますが、現場の一声ではもうどうにもならない状況があちこちにあると述べています。
- エレナのような、あるいはもっと上の立場の人たちが行動を起こさなければ、システムや社会を変えるのは難しいという見解を示しています。
ラストマイル(映画)爆弾の数は12個?まだある?
映画『ラストマイル』で爆弾の数は全部で 12個 でした。
- 筧まりかはブラックフライデーのセール前に、セール対象商品を事前に購入し、爆弾を仕掛けた後、デリファスの配送システムに紛れ込ませるという方法で爆弾を送り込みました。
- 最初の1つは、筧まりか自身がアパートで爆発させ、自分が死亡したように見せかけました。 これは、彼女自身の罪を償うと同時に、デイリーファーストが爆弾の脅威に気づいて物流を止めるかどうかを試すためでもありました。
- 残りの11個は、ブラックフライデーのセール期間中に購入されるように仕掛けられました。
- 警察は筧まりかの購入履歴を辿り、爆弾が仕掛けられた商品を探し出しました。 最後の1つは、シングルマザーの家に届けられた安眠まくらで、洗濯機に入れて爆発を防ぎました。
筧まりかは、恋人を死に追いやったデイリーファーストと、その背後にある巨大なシステムへの復讐のために爆弾テロを起こしました。 彼女は、この事件を通して、多くの人が無意識に加害者になっているという現実を突きつけました。
ラストマイル(映画)最後・ラストシーンの意味を解説
映画「ラストマイル」のラストシーンでは、いくつかの重要な出来事が描かれています。
- エレナはデイリーファーストを退職し、孔にセンター長の座を譲ります。これは、巨大な組織の中で、不正に立ち向かうことの難しさと、それでも未来を変えようとする人間の意志を表しています。 エレナは、アメリカ本社が爆弾予告を把握しながら隠蔽していたことに失望し、組織に変化をもたらすことを諦めたとも解釈できます。
- 五十嵐は、コストアップの責任を取らされ、関東センターに左遷されます。 これは、組織における保身の論理と、不正を告発することの難しさを示しています。
- 孔は、新しいセンター長となり、山﨑のロッカーを開けて「2.7m/s→70kg→0」のメッセージを目にします。 彼は、山﨑の行動の真の意味と、自分が背負うことになった責任の重さに改めて気づき、複雑な表情を見せます。 これは、巨大なシステムに立ち向かう苦悩と、それでも未来を変えようとする希望、そしてその責任の重さを表していると言えるでしょう。
ラストシーンに込められたメッセージ
これらのシーンは、一見すると希望が薄いようにも見えますが、同時に観客に希望を託しているとも解釈できます。
- 山﨑の行動は、直接的にはシステムを変えることはできませんでしたが、結果として運送会社との単価交渉のきっかけとなり、労働環境の改善に繋がりました。
- 孔は、山﨑のメッセージを受け継ぎ、これからどのようにセンターを運営していくのか、観客は彼の未来に希望を見出すことができます。
ラストシーンに対する様々な解釈
ラストシーン、特に五十嵐の行動について、いくつかの解釈が示されています。
- 五十嵐は、エレナから「爆弾はもう一つある」と告げられた後、サラから連絡を受け、山﨑のロッカーに爆弾に関する情報があるのではないかと考え、慌てて探し始めたという解釈があります。
- また、五十嵐は山﨑の死を自殺だと決めつけていましたが、ロッカーのメッセージを見て、彼が命がけでシステムに抵抗しようとしたのだと初めて気づき、衝撃を受けたという解釈もあります。
- さらに、五十嵐自身も巨大なシステムの犠牲者であり、山﨑の死の真相を知って、自分自身の保身のために真実を隠蔽していたことに気づき、罪悪感を抱いたという解釈も考えられます。
これらの解釈は、いずれもソースに基づいた推測であり、映画内で明確な答えが示されているわけではありません。
ラストマイル(映画)あらすじ
巨大物流倉庫のセンター長・舟渡エレナとチームマネージャー・梨本孔が、事件の真相解明に奔走する様子を描いています。
作中では「2.7m/s → 70kg → 0」という謎のメッセージが登場し、これは物流倉庫のベルトコンベアの速度と限界重量、そしてシステムの停止を象徴的に表しています。 このメッセージは、過酷な労働環境や人間の犠牲によって成り立つ現代社会の物流システムの問題点を浮き彫りにしています。 また、事件の背景には、過去に起きた社員の飛び降り自殺とその恋人による復讐劇が深く関わっており、作品全体を通して現代社会の闇や人間の心の闇が描かれています。
ラストマイル(映画)キャスト・登場人物
舟渡エレナ(ふなど えれな)
- 大手通販サイト「デイリーファースト」の関東センター長。
- 物語の主人公の一人。
- アメリカ本社から赴任してきた優秀な人物。
- チームマネージャーの梨本孔と共に、センターのノルマ達成に日々奮闘している。
- ブラックフライデー前夜に発生した爆破事件の解決に奔走する中で、事件の真相、そして巨大な物流システムの闇に直面していくことになる。
- かつてアメリカ本社勤務時代に、後に爆破事件の犯人となる筧まりかと面識があった。
- 事件後、責任を感じてデイリーファーストを辞める決断をする。
梨本孔(なしもと こう)
- デイリーファースト関東センターのチームマネージャー。
- 物語のもう一人の主人公。
- エレナと共にセンターのノルマ達成に尽力する。
- かつてはホワイトハッカーだったという過去を持つ。
- 山崎が残したロッカーのメッセージの意味を理解し、事件解決の糸口を見つける。
- エレナからセンター長の座を引き継ぎ、新たなセンター長となる。
山崎たすく(やまさき たすく)
- 5年前、デイリーファースト西武蔵野ロジスティクスセンターでベルトコンベアに飛び降り自殺を図った元社員。
- 当時、恋人である筧まりかと結婚を考えていた。
- 仕事で思い詰めていた様子が描かれている。
- 彼の残した「2.7m/s → 0 70kg」という謎のメッセージが、事件の真相解明の鍵となる。
筧まりか(かけい まりか)
- 山崎たすくの元恋人。
- 連続爆破事件の真犯人。
- 恋人を死に追いやったデイリーファースト、そして巨大な物流システムに復讐するために、爆弾テロを起こす。
- 自身も最初の爆弾で死亡しており、その目的や真意は様々な解釈を呼ぶ。
五十嵐道元(いがらし どうげん)
- エレナの上司であり、日本支社の統括本部長。
- 山崎の死の真相を隠蔽しようとするなど、保身的な行動が目立つ人物。
- ラストシーンでは、山﨑のロッカーを探し、その中のメッセージを見て衝撃を受ける。
- コストアップの責任を取らされ、関東センターに左遷される。
その他の登場人物
- 佐野亘(さの わたる): 羊急便の配達員。佐野昭の息子。
- 松本里帆(まつもと りほ): シングルマザー。
- 佐野昭(さの あきら): 羊急便の委託ドライバー。佐野亘の父親。
- 八木竜平(やぎ りゅうへい): 羊急便の関東局局長。
「アンナチュラル」「MIU404」からの登場人物
- 三澄ミコト(みすみ みこと): UDIラボの法医解剖医。
- 中堂系(なかどう けい): UDIラボの法医解剖医。
- 伊吹藍(いぶき あい): 警視庁刑事部第4機動捜査隊刑事。
- 志摩一未(しま かずみ): 警視庁刑事部第4機動捜査隊刑事。
まとめ:ラストマイル(映画)意味がわからない!爆弾の数は12個?まだある?
ラストシーンでは、孔は山崎のロッカーを見て複雑な表情を見せます。そして、五十嵐は山﨑のロッカーを探し、そこに書かれた「2.7m/s→70kg→0」というメッセージを見て衝撃を受けます。
これらのシーンは、巨大なシステムに対峙する人間の無力さと、それでも未来を変えようとする希望の光を同時に表していると考えられます。
■観客への問いかけ
「ラストマイル」は、現代社会の歪みを描くと同時に、観客一人ひとりに「あなたは本当にこのままで良いと思っているのか?」と問いかけています。
- 事件の背景には、消費者の「より速く、より安く」という欲望に応えようとする企業の論理があります。
- そして、その欲望を加速させているのは、私たち消費者自身なのです。
映画は、より良い未来を創造するためには、私たち一人ひとりが意識を変えていく必要があることを示唆していると言えるでしょう。