EDRとは?飯塚幸三被告の池袋暴走事故の証拠になる?

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EDR(イベント・データ・レコーダー)とは航空機事故では事故解析に使う「フライトレコーダー」のように事故が起こった基準時間を測定し、前後数秒の衝突速度をはじめとするさまざまなデータを記録する装置のことです。

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EDRとは?

EDRについては明治大学 法学部 専任講師で弁護士の栁川鋭士さんが作成した資料に詳しい記述がありました。

EDRでは、下記のようなデータを記録できるとしています。

車速
アクセルペダル開度
エンジンスロットル開度
エンジン回転数
モーター回転数
ブレーキのON/OFF
ステアリング操舵角
シフトポジション

EDRとは「衝突等の事象が発生した時、その前後の時間において、車両速度等の車両状態にかかる計測データを時系列で記録する装置又は機能」のことで、
日本では2006年9月からEDRを搭載した車が市場に出始めているようで、EDRが普及した背景にはエアバッグが正常に展開したかどうか?を確認するため目的に設置され始めたようです。

プリウスにEDRは搭載されている?

プリウスには1997年~2003年に発売された初代プリウス(NHW10、NHW11)の時点ですでに簡易なEDRが設置されています。

参考:事故原因は人かクルマか… 池袋の暴走事故もデータで解析? 車両に組み込まれる「EDR」とは

そして2003年~2011年に発売された2代目プリウス(NHW20)からは本格的にEDRが設置されるようになっています。

3代目プリウス ZVW30(2009年 – 2015年)
プリウスPHV ZVW35(2012年 – 2016年)
4代目プリウス ZVW50(2015年 – )

にももちろんEDRが設置されていて、2代目プリウスのEDRよりもより詳細なデータがより長い時間にわたって記録できるようになっています。

具体的には「%」で表示されるアクセル開度、ブレーキ踏力、速度、衝突した時の減速G、ハンドル切った方向と横方向のGを、衝突の5秒前に遡りデータが引き出せるようになっています。

2代目プリウスのEDRだと事故直前の2秒程度ならアクセルを踏んでいたかブレーキを踏んでいたかといった記録は確認できるとのこと。

EDRは飯塚幸三被告の池袋暴走事故の証拠になる?

池袋暴走事故を引き起こした飯塚幸三被告は2020年10月8日から行われた裁判で無罪を主張しています。

遺族に謝罪したうえで「アクセルを踏み続けたことはなく車に何らかの異常が発生して加速したと思っています」と述べています。

飯塚幸三被告が事故当時に運転していた車種はプリウスで、報道では2代目プリウスとされているのでEDRは搭載されていたはずです。

ネットではEDRを解析すれば飯塚幸三被告の有罪がすぐに立証できるだろ!という論調が目立ちますが、
そもそも論として、EDRが裁判の証拠として採用されるのかどうか?EDRの有効性並びに信頼性が証拠して評価されるのかという問題があります。

日本の裁判というのはおおむね、過去の判例にならうことが多いのですが、
調べてみると2016年12月に起きた病院にタクシーが突っ込み、3人が死亡、7人が重軽傷を負った事故でEDRの記録が証拠として採用されていました。

https://www.asahi.com/articles/ASM3R744TM3RTIPE024.html

自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)罪に問われた元タクシー運転手の松岡龍生(たつお)被告の弁護側は、
「ブレーキを踏んだが、踏み込めなかった。踏み間違えておらず、車両に不具合があった」「EDRの記録は正確でない」と無罪を主張。

判決ではEDRの解析などから得られた速度やアクセル、ブレーキの状況といった記録から「装置踏み間違えたと強く推認される」と判断されています。

弁護側の「車内の駆動系のコンピューターが誤作動を起こした」という訴えに対しても平塚裁判長は「コンピューターには不具合があれば減速する仕組みがあり、考えがたい」として退けています。

この事故の判例にのっとるならば、飯塚幸三被告の池袋暴走事故でもEDRが証拠として採用される可能性が高く、
EDRを解析することによって、事故当時の真相が裁判によって明らかにされるとみられます。

飯塚幸三被告の主張が正しいことが裏付けられることも考えられるし、逆に車(プリウス)に異常はなく単純に飯塚幸三被告のブレーキとアクセル操作の踏み間違えであることが立証されることになりそうです。

東京・池袋の都道で19年4月19日に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、今年2月に自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で東京地検に在宅起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)の初公判(下津健司裁判長)が8日、東京地裁で開かれた。

被害者参加制度を使って裁判に参加した、真菜さんの夫の松永拓也さん(34)と真菜さんの父の上原義教さん(63)が初公判後、会見を開いた。松永さんは、飯塚被告が「アクセルペダルを踏み続けたことはないと記憶しております。車に何らかの異常が生じたから暴走した」と起訴内容を否認したことについて「本当に妻と遺族の命、遺族の無念と向き合えているのか…加害者の心は分かりませんが、今日、受けた印象では、命と無念と向き合えているとは私は思えなかった」と悔しさを吐露した。

その上で「被害者参加制度を使って、証拠を見ることが出来た。どう見ても操作を間違っている。車の不具合というのはおかしい」と主張。「加害者の心は私にコントロールできない。私たちの言葉を聞いて、車の不具合、無罪と言った…考えて欲しいし向き合って欲しい」と憤りをあらわにした。

https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202010080000334.html
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