スペインで、特定の気象条件が整った際に生じる「波の花」によって町全体が波の花に包まれる自然現象が起きました。
2021年9月のバラエティー番組「所でナンじゃこりゃ」では「海の泡で泡地獄」としてスペインの波の花が紹介されました。
ちなみに、トッサ・デル・マール(Tossa De Mar)は日本ではあまりなじみがないとは思いますが、ヨーロッパ人の間では有数の観光地として知られています。
夏には、バルセロナからフランスにかけての海沿いの町は、バカンスで訪れたヨーロッパ人でいっぱいになり、市壁に囲まれた旧市街地が当時(14世紀)のまま保存されています。
スペインの波の花の原因・真相は?「海の泡で泡地獄」所でナンじゃこりゃ
スペインのカタルーニャ州にある小さな海辺の町トッサ・デル・マール(Tossa De Mar)で、海から吹き付ける強風と一緒に次々と海泡「波の花」が押し寄せてくる様子がSNSで世界中に拡散されました。
スペインに襲来した嵐「グロリア」の影響で、「波の花」の洪水となって海岸線のレストランや企業を通り過ぎて旧市街へと流れて動く様子が投稿された動画から分かります。
建物の壁は泡で覆われた状態になっていますが、アメリカ海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration 略称NOAA)によると、「波の花」は基本的には人間に無害とのこと。
英語でシーフォーム(sea foam)と呼ばれる波の花はアメリカ、イギリス、オーストラリアなどの海岸でもたびたび見られる現象。
海の中のプランクトンや海藻に含まれる粘液が荒波に揉まれて、石鹸のように泡立つことで発生します。
日本気象協会によると、この波の花ができる気象条件は、
気温0℃以下
風速13m/s以上
波の高さは4メートル
といった条件を満たした場合で、時間が経つにつれて海岸の砂や岩場のコケなどと交じり合って薄黄色や薄茶色に変色していきます。
そのため、本当に真っ白な「波の花」を見られるタイミングは実はごく短時間で、きれいなうちに「波の花」の中に入ってみたいと思う人もいるかもしれませんが、避けたほうが良さそうです。
海の中のプランクトンや海藻の中には人間にとって有害な成分を含んでいる危険もあるからです。
スペインでは実際に海岸近くで腐敗する水の華(アオコ)は有害藻類ブルームが「波の花」に含まれている可能性が指摘されています。
※有害藻類ブルームとは、淡水系または海水系に藻類が急速に蓄積する現象
他にも、化石燃料や下水、洗剤などに含まれる汚染物質が「波の花」の発生に寄与することもある。
スペイン東部の港町、トッサ・デル・マール(Tossa De Mar)では住民一丸となって泡を取り除こうとしますが、「波の花」は消えないどころか、海から吹き付ける風と一緒に次々と押し寄せていました。
海沿いの飲食店などは営業を中止し、土嚢(どのう)やベニヤ板で泡が入ってこないよう対策に追われていました。