スキージャンプ競技ではスーツやスキー板に厳格な規定が設けられています。
少しでも大きなスーツが空気抵抗を得て有利になるため、ミリ単位で規定違反とみなされます。
スキージャンプスーツ規定違反とは?
船木和喜氏 スーツ規定違反は防ぐことができた事態…目視で分かったはず
【ジャンプ斬る 船木和喜】スーツの規定違反は諸条件で避けられないケースもある。夏場は汗で空気の透過量が少なくなるため、チェックも行われないほどだ。ただし、高梨の太腿部分が本当に2センチ、ルールより余裕があったのであれば、避けることができた事態だ。06年のトリノ五輪で原田さんが失格しているが、問題だったのは目に見えない体重。今回は目視でチェックすれば分かったのではないか。五輪用に新調したであろうスーツ。長いシーズン中に、疲労などで体形が変化したという状況は考えにくい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e9db614004ec5c0fa0283bcc00a61f4f595c7060
スキージャンプ競技ではジャンプスーツと呼ばれる、サーフィンのウェットスーツのようなものを着用します。
国際スキー連盟(FIS)の規則「SPECIFICATIONS FOR COMPETITIONEQUIPMENT」では「直立姿勢で、スーツ寸法はボディーと一致しなければならず、最大許容差はスーツのあらゆる部分において、ボディーに対しプラス1センチ~3センチ(女子は同2センチ~4センチ)とする」と決められてい
2015年7月時点の規定だと夏、冬ともにスーツの厚さは4~6mm以内、通気性は40?/m2/秒以上と決目られていました。
このようにスキージャンプ競技ではスーツに余裕があると空中で空気をためることができるため、厳しい規定が設けられています。
ただ、ギリギリの数値で製作されたスーツは選手の体形の微妙な変化や、生地の伸縮などで違反とされることがW杯でも実際にちょくちょく発生しています。
高梨沙羅さんもW杯では18年12月1日のリレハンメル(ノルウェー)大会と21年2月5日のヒンツェンバッハ(オーストリア)で2度の失格を経験しています。
小林陵侑も今季W杯第2戦の予選で失格しています。
2022年の北京五輪ではオーストリアのダニエラ・イラシュコシュトルツ、ドイツのカタリナ・アルトハウス、ノルウェーのアンナオディネ・ストロム、シリエ・オプセトの2人の女性選手が失格を申し渡されていました。
一方でさきほどの高梨沙羅さんがスーツ違反で失格となった翌日の試合で同じスーツを着用していたにも関わらず優勝するケースもあるように、スキージャンプのスーツ規定は万全というわけではないようです。
結局、スーツ規定は人が測定して違反しているかどうかを判断するので多少の誤差が生じてしまい、国際スキー連盟とは議論になっているようです。
スーツそのものには厳格な規定を設けているものの、運用面では明確な判断基準があるわけではなくその場の状況によって違反の基準に振れ幅が生じてしまうようです。
2022年の北京五輪・スキージャンプ混合が行われた当時、ジャンプ台の気温は、氷点下16度の極寒のコンディションだったため筋肉が萎縮してしまい、結果的に予期せぬ、誤差が生まれたのかもしれません。