『源氏物語』「幻(まぼろし)」で中将の君の服装にふさわしい儀礼行事とは?
「幻」は『源氏物語』五十四帖の巻名のひとつで第41帖
源氏物語の幻で中将の君の服装は?儀礼行事
『源氏物語』「幻」で次のような一説が見られます。
「(中将の君は)紅の黄ばみたる気添ひたる袴、萱草(くわんざう)色の単衣、いと濃き鈍色(にびいろ)に黒きなど、うるはしからず重なりて、裳、唐衣も脱ぎすべしたりけるを、とかく引きかけなどす」とあるが、
この「中将の君」の服装にふさわしい儀礼行事を、
【A】冠
【B】婚
【C】葬
【D】祭
この中でどれになるのかというと、【C】葬です。
中将の君の服装にみられる鈍(にび)色は平安時代公家の喪服に用いられた色で、 亡くなった人との関係と亡くなった後の年月によって、色の濃さを変えました。
喪服として、男子は衣冠、直衣(のうし)、狩衣(かりぎぬ)、布衣(ほい)、下襲(したがさね)、指貫(さしぬき)などに用いたといいます。女子は袿(うちき)に鈍色のものを着用します。
ちなみに、源氏物語の頭中将は紫の上付きの女人で、源氏とも関係があった人です。
血筋でいえば左大臣の嫡男。母は桐壷帝の同腹の妹ですから、高貴な血筋。
左大臣の長男として生まれ、母親は大宮。葵の上の兄であり、葵上の兄弟なので源氏とは義理の兄弟で、親友、ライバルでもある。
源氏が須磨に流謫しているときは、弘徽殿大后の勘気をはばからず、はるばる須磨まで見舞いに行って「おとこぎ」を見せる。
が、源氏が政界に復帰してからは冷泉帝后妃の立后問題で、源氏に負けて悔しさをかみしめる。以後 緊張関係にあったが、娘の雲居雁と源氏の嫡男夕霧の結婚を許して、関係修復。
対立もあったが、やはり長い目で見れば無二の親友でしょう。(柏木の死因は知らないのですから)
やがて、太政大臣になり、朧月夜の君に柏木と女三の宮の結婚を頼み込んだり、失恋して恋にやつれる柏木への女二の宮の降嫁をお願いするなど、愛する息子の為に奔走する。
まだ若い冷泉帝が譲位すると知り、頭の中将(太政大臣)も職を辞し、隠居生活を送る。しかし、柏木を亡くし、雲居の雁は夕霧の浮気により里帰り。隠居して政治から遠ざかっても、平穏な日々を送ることなく、子供達への気苦労は耐えなかった。