希硫酸と濃硫酸にはどんな違いがあるんでしょうか?見分け方は?
希硫酸と濃硫酸は化学式は同じなのになにが違うんでしょうか?どっちが危ない?
希硫酸と濃硫酸の違いは?見分け方は?
硫酸…H2SO4→純物質(化合物)
希硫酸…H2SO4水溶液→混合物
・濃度が小さい
・強酸性
・イオン化傾向が水素より大きい金属と反応
濃硫酸…H2SO4水溶液→混合物
・濃度90%以上
・溶解熱が大きい
・吸湿性あり→乾燥剤として用いられる
・脱水作用あり
・不揮発性
・加熱をするとAu,Pt以外の金属と反応
希硫酸と濃硫酸の違いは濃度で90%を境に呼び名が違います。
ちなみに、硫酸(濃硫酸です。)の作り方は接触法と呼ばれます。3段階の手順を踏みます。(1.を省略して2段階、ということもあります)
1.硫黄を燃やして二酸化硫黄にする。 S+02→SO2
2.二酸化硫黄を酸化バナジウム(Ⅴ)を触媒にして酸化させ三酸化硫黄にする。 2SO2+O2→2SO3
3.三酸化硫黄を濃硫酸に吸収させたのち発煙硫酸にして希硫酸で薄めて濃硫酸にする。 SO3+H2O→H2SO4
希硫酸と濃硫酸はどっちが危ない?
希硫酸と濃硫酸はどっちが危ないのかというと、危険なのは濃硫酸です。
危険度としては
希硫酸<硫酸<濃硫酸
です
硫酸の化学的性質としては主に酸と酸化剤としての性質がありますが、いずれも水が存在しない状態では媒介となるプロトン、電子の授受が行えないため、反応しません。
しかし、一般的に水が存在しない状態で「危険性」を論ずるでしょうか? 特に人体は水の塊です。また、濃硫酸は水と混和するときに大量の水和熱を発生しますので、濃硫酸を希硫酸に薄めるだけで危険が伴います。 仮に希硫酸が体にかかったら水をかければどうということはありませんが、濃硫酸だと確実にやけどします。
肌についたとたんに化学やけどをひきおこし、服に付着すれば、服に穴があきます。
大量の水をかけるしかないのですが、それもやけど覚悟で、二次的な損傷を防ぐためです。
硫酸も常温では酸化力はなく、熱濃硫酸のみ酸化力があります。濃硫酸はほとんど電離しないので酸性は示さず、酸性に関しては希硫酸のほうが強いです(酸化力はありません)。
希硫酸も強酸なのでもちろん取り扱いに注意は必要ですが、衣服に付着しても即時に洗えば問題ないかもしれません。しかしその点が落とし穴かもしれません。
希硫酸は付着したときに気付かなければ、水分だけ蒸発して知らぬ間に濃硫酸になり、知らぬ間に付着した希硫酸による化学やけどをひきおこすかもしれないので危険であることは間違いありません。
濃硫酸が危険だと言われるのはむしろ脱水作用および水と反応した時の発熱でこの性質は生物にとって非常に危険な性質なので危険度は濃硫酸のほうが高いと言えます。