塩酸
塩化水素
塩素
にはそれぞれどのような違いがあるんでしょうか?
塩酸と塩化水素の違いは?
塩化水素が水にとけたものを塩酸といいます。
塩化水素は気体でHClです。その気体を水に溶かしたものが塩酸と呼ばれています。
塩酸をイオン式で表すとHCl→H+ + Cl‐ に電離すると言われていますが、
実際には水溶液なので、HCl+H2O→H3O+ + Cl‐ が正しいです。
塩酸は水と塩化水素の混合物なので純物質ではありません。塩酸という化合物は存在しません。
塩酸が「反応に寄与する」ときには実際に働いているのが塩化水素なので塩化水素の化学式が出てきますが、「塩酸の化学式」なんていうものはありません。
液体と気体の違いがありますが化学式では同じです。強いて書くならHCl(aq)ですね。
塩化水素と塩素の違いは?
塩化水素と塩素は全く別の気体です。
■塩化水素(化学式HCl)
・ハロゲン化水素
・無色の気体
・刺激臭有り
・水に良く溶けて、強い酸性を示す
・その水溶液は塩酸という
・揮発性が強い
塩化水素(HCl)は無色の気体で刺激臭がある化合物。水によく溶けて強い酸性を示します。塩化水素が溶けた水のことを塩酸と言います。
■塩素(化学式Cl2)
・ハロゲン
・黄緑色の気体
・刺激臭有り
・強い漂白作用を示す
・水に少し溶けて、酸性を示す
・その水溶液は、塩酸と次亜塩素酸の混合物となっている
・酸化力が強い
塩素(Cl2)は黄緑色の気体で単体、刺激臭がある。水にわずかに溶けて弱酸性を示し、塩化水素(HCl)と次亜塩素酸(HClO)になります。
化学反応式ではCl2+H2O→HCl+HClOですね。HClOに殺菌作用が認められるので塩素を水に溶かして飲料水を消毒しております。
やはり最大の違いは色ですね。
「塩化水素」のように「~化」と付くものは化合物です。
「塩化」で言えば、「塩化ナトリウム」「塩化銅」「四塩化炭素」などなど。
他に「~化」となる有名なものとしては、
酸素→酸化 例えば酸化鉄
硫黄→硫化 例えば硫化銅
フッ素→フッ化 例えばフッ化水素
臭素→臭化 例えば臭化カリウム
ヨウ素→ヨウ化 例えばヨウ化ナトリウム
などでしょうか。
逆に、「塩素」のように名前に「~素」が付いているものは元素・原子か単体を指します。「素」という字は「味○素(あ○のもと)」のように「もと」と読むことができ、この場合「もととなるもの」を意味しています。
つまり、「塩素」なら「塩のもととなるもの」です。この名前は「塩化ナトリウム(食塩)」「塩化マグネシウム(苦塩)」のように塩に「塩素」が多く含まれていることからきているんだったと思います。
塩酸と塩素の違いは?
塩酸と塩素は全くの別物です。
[塩素]
Cl2(分子量は70g/mol)の黄緑色刺激臭のガスで、腐食性,毒性があります。
[塩酸]
塩化水素HCl(分子量は36g/mol)の無色刺激臭のガスを水に溶かした水溶液で、この水溶液は強酸性を示します。
また、水溶液から毒性のある塩化水素ガスが発生します。