「sentimentalisme(サンチマンタリスム)」というフランス語の意味は
芥川龍之介はなぜ羅生門でサンチマンタリスムを用いたのでしょうか?
文中に「サンチマンタリスム」というフランス語が出てきますが、日本語で書かずにフランス語で表記することにはどのような意味があった?
なぜ「センチメンタリズム」を「サンチマンタリズム」と変えて読んだ?
サンチマンタリスムの意味は?
「Sentimentalisme」は英語では,「sentimentalism」,現代でも外来語として「センチメンタリズム」で意味が通じます
「感傷におぼれる心理的傾向や態度。感傷主義。涙もろさ。」といった意味になりますね。
ただ,大正時代に,フランス語が読者層に広まっていたとは考えがたく,読者が,明確に「サンチマンタリスム」=「Sentimentalisme」=「感傷癖,感傷主義」との意味を即座に正確に理解したと考えるには無理が有ると思われます.
サンチマンタリスムなぜ羅生門?
芥川龍之介はなぜ羅生門でフランス語「sentimentalisme(サンチマンタリスム)」を用いたのかというと、インテリ特有の衒学趣味だという見方も、芥川が用いた意図を忖度するならあながち外れてはいないでしょう。
Sentimentalisme(サンチマンタリスム)はフランス語ですが、英語では誰でも知っていてかっこよくない。このころは英語以外の西洋語(ドイツ語、フランス語など)をときおり文中に挿入するのが流行でもありました。
とくにフランス語はかなり長い間ヨーロッパにおける社交言語でした。このころのロシア文学にはどれだけ多くのフランス語が挿入されることか。フランス語を話せることが上流階級の条件でしたから、また日本とは事情もちがうわけですが。
それでもフランス語は日本人にとってもかっこいい上品な言葉だったのです。
ちなみに、ほぼ同時期に書かれた『鼻』では,「デリケイト」という英語を用いています.しかもローマ字読みの片仮名表記.
単に,「現代にも通じる話なのだ」という表現技法であれば,英語かローマ字表記の方が効率的だったと考えられます
まとめ:サンチマンタリスムの意味は?なぜ羅生門?
「サンチマンタリスム」とは、「知性や理性よりも、感情や感覚を重んじる心理的な傾向」を表すフランス語の言葉です12。英語では「sentimentalism」と言います
芥川龍之介が『羅生門』でこの言葉を使ったのは、下人の心理描写において、日本語よりもフランス語のほうが効果的だと考えたからだと思われます3。下人は自分の境遇に対して感傷に浸っているが、それを直接的に表現すると単純になってしまうかもしれません。そこで、外国語を用いることで、下人の感情の複雑さや矛盾さを示唆したのではないでしょうか。
サンチマンタリスムはsentimentalisme(フランス語)に由来
芥川龍之介の「羅生門」で用いられている「サンチマンタリスム」とは、フランス語の「sentimentalisme」に由来する言葉で、「感傷的であること」「涙もろいこと」という意味です。芥川龍之介は、この言葉を、下人の心理状態を表すために用いています。
下人は、羅生門の下で雨宿りをしているときに、老婆が死体の髪を抜いているのを見ます。下人は、老婆の行為に驚き、不快に思います。しかし、下人はすぐに、老婆と同じように、自分の利益のために悪事を働こうと考えるようになります。このことから、下人は、自分の境遇に悲しみ、自分の将来に希望を持てない、悲観的な人間であることがわかります。
芥川龍之介は、「サンチマンタリスム」という言葉を用いることで、下人の悲観的な心理状態をより鮮明に描き出しています。また、この言葉は、人間の善性と悪性の両面を描き出すためにも用いられています。下人は、最初は、老婆の行為に驚き、不快に思います。しかし、すぐに、老婆と同じように、自分の利益のために悪事を働こうと考えるようになってしまいます。このことから、人間は、いつ悪事を働いてもおかしくない存在であり、また、人間には善性と悪性の両面が存在するということを示唆しているのかもしれません。