塩化水素(HCL)なぜイオン結合じゃないんでしょうか?
塩化水素(HCL)の結合はイオン結合じゃないとすれば共有結合?
電離したらH+とCl-となり、共有結合としても見れますがH+は金属じゃないからイオン結合じゃないんでしょうか?
塩化水素(HCL)なぜイオン結合じゃない?共有結合の理由は?
HCl(塩化水素)は、イオン結合ではなく共有結合である理由について、イオン結合とは、電子が片側に偏って取られてしまい、プラスとマイナスの電気的な引き合いによって物質が結びつく結合のことです。一方で、共有結合は、原子同士が電子を共有することで結びつく結合です。
HClの場合、水素原子(H)の電子は塩素原子(Cl)に完全に引き寄せられているわけではなく、一部は水素原子の外側の軌道(K殻)にも回っています。このため、HとClの電子が共有されていると考えられます。つまり、HCl分子は共有結合によって結びついているのです。
共有結合では、原子同士が電子を共有するため、電子が均等に分布している状態が一般的です。ただし、HClのように電気陰性度の差が比較的大きい場合、電子は一部だけが塩素原子に引き寄せられ、Hがわずかに正の電荷(δ+)、Clがわずかに負の電荷(δ-)を帯びることになります。この状態を「イオン結合性を持つ共有結合」と表現します。
具体的には、HCl分子の中で、Clがわずかに電子を引き寄せることで、HCl分子全体が一部イオン結合的な性質を持ちつつも、基本的には共有結合によって結びついていると言えるのです。
なお、化学的な結合は完全なイオン結合でも完全な共有結合でもなく、電気陰性度の差によってイオン結合性と共有結合性の比率が異なります。一般的に、電気陰性度の差が大きいほどイオン結合的性質が強まりますが、実際の物質ではその組み合わせはさまざまで、厳密な区別は難しい場合もあります。
イオン結合と共有結合の違い
イオン結合とは、電気的な偏りを持つ原子(イオン)同士が結合することです。一方、共有結合とは、電子を共有して結合することです。
イオン結合では、原子から電子が移動します。そのため、イオン結合を形成した原子は、正電荷または負電荷を帯びます。共有結合では、原子は電子を共有しますが、電子が移動することはありません。そのため、共有結合を形成した原子は、電気的に中性です。
イオン結合は、金属と非金属の間でよく見られます。たとえば、塩化ナトリウム(NaCl)は、ナトリウムイオン(Na+)と塩素イオン(Cl-)が結合した物質です。ナトリウム原子は電子を1つ失い、塩素原子は電子を1つ得て、イオンになります。これらのイオンが引き合うことで、イオン結合が形成されます。
共有結合は、非金属同士の間でよく見られます。たとえば、水素分子(H2)は、水素原子2個が電子を1個ずつ共有して結合した物質です。水素原子は電子を1個ずつしか持っていないため、電子を共有することで外殻が閉じます。このため、共有結合が形成されます。
■イオン結合
電気的な偏りを持つ原子(イオン)同士が結合する
原子から電子が移動する
原子は、正電荷または負電荷を帯びる
金属と非金属の間でよく見られる
■共有結合
電子を共有して結合する
原子は電子を共有する
原子は、電気的に中性
非金属同士の間でよく見られる
まとめ:塩化水素(HCL)なぜイオン結合じゃない?共有結合の理由は?
塩化水素(HCl)の結合は、以下の理由によりイオン結合ではなく共有結合となります。
電気陰性度の差が小さい(塩素: 3.04、水素: 2.20)
共有電子対の偏りが小さい
分子全体として電気的に中性
- HClは共有結合である理由は、水素原子(H)と塩素原子(Cl)の電子が一部共有されているためです。
- 共有結合では、原子同士が電子を共有することで結びつきます。
- HClの電子は完全に塩素原子に引き寄せられているわけではなく、一部は水素原子の外側の軌道にも回っています。
- このため、HClは電子が共有されている共有結合として存在します。
- HCl分子内で、塩素原子が電子を引き寄せることで微量のイオン結合的性質も持ちますが、基本的には共有結合によって結びついています。
例えば塩化ナトリウムNaClは電気陰性度の差が大きいので、共有結合性はなくイオン結合です。
しかし、塩化水素は電気陰性度の差がそこまでないので、イオン結合するほどではありません。イオン結合には、2つの元素の電気陰性度に差がないと成り立たないからです。
ちなみに、完全な共有結合ではなくてイオン結合の要素も持ち合わせています
実は塩化水素にはイオン結合性はあります。
しかし、共有結合性もあるのです。
塩化水素はイオン結合と共有結合の間というか、まあそんな感じで、極性共有結合という名前が付いています。
なので分極を起こし、水のように水素結合します。