化学でルイス酸とルイス塩基の違いの見分け方は?
H2Oや、CO2、H2などはルイス酸とルイス塩基のどっち何でしょうか?覚え方はある?
ルイス酸・ルイス塩基の定義の違いは?
ルイス酸は、電子を受け入れることができる物質です。これは、元素や化合物が他の物質から電子をもらう役割を果たすときに使われる言葉です。例えば、BやAlなどの元素には空っぽの場所(空軌道)があるため、他の物質から電子を受け取ることができます。また、アルカリ金属イオン(Li, Na, Kなど)もルイス酸になります。それと同じく、水素原子も電子を受け入れることができるので、弱いルイス酸として機能します。
ルイス塩基は、電子を提供することができる物質です。これは、元素や化合物が他の物質に電子を与える役割を果たすときに使われる言葉です。非金属元素(ハロゲン、15族元素、16族元素)などがルイス塩基になります。アンモニア(NH3)のように、非共有電子対(ローンペア)を持っている化合物が典型的な例です。
ルイス酸・ルイス塩基の見分け方・覚え方は?
ルイス酸・ルイス塩基の見分け方・覚え方について具体的な例を挙げて説明しましょう。
■アンモニア(NH3)と水(H2O)の反応
アンモニアは非共有電子対(ローンペア)を持っているので、ルイス塩基です。一方、水は非共有電子対を持っていませんが、アンモニアの非共有電子対が攻撃して水から電子を受け取ることで、水はルイス酸として機能します。つまり、アンモニアのローンペアが水の水素に電子を与えています。
■アンモニア(NH3)と三フッ化ホウ素(BF3)の反応
アンモニアはローンペアを持っているので、ルイス塩基です。一方、三フッ化ホウ素はローンペアを持っていないため、ルイス酸です。この反応では、アンモニアの窒素原子のローンペアが三フッ化ホウ素のホウ素の空の軌道に電子を提供しています。
要するに、ルイス酸は電子を受け取る物質であり、ルイス塩基は電子を提供する物質です。非共有電子対(ローンペア)を持っているかどうかが見分けるポイントです。例えば、アンモニアはローンペアを持っているのでルイス塩基、水はアンモニアのローンペアから電子を受け取ることでルイス酸として働きます。同様に、三フッ化ホウ素はローンペアを持っていないためルイス酸になります。
まとめ:ルイス酸・ルイス塩基の見分け方・覚え方は?定義の違いは?
ルイスの酸塩基の定義は簡単に言えばこんな感じです。
ルイス酸→電子対を受け取ることができる→空軌道を持つ
ルイス塩基→電子対を与えることができる→非共有電子対を持つ
個々の化学物質についてルイス酸、ルイス塩基という分類があるのではなくて、化学反応が起こったときに非共有電子対を共有電子対として提供した側がルイス塩基、電子対を受け入れた側がルイス酸という定義です。
「物質Aはルイス酸である」という言い方をすることがありますが、これは何らかの相手があり、「物質Aはある物質Bと反応するときはルイス酸になる(物質Bはルイス塩基になる)」という意味です。
1)(CHの3)の2のNH
Nは非共有電子対を持っていますね。こいつはルイス塩基です。
2)MgBrの2
Mgは空の軌道を持っていますね。こいつはルイス酸です。
3)(CHの3)の3のB
Bが空軌道を持ちます。ルイス酸です。
塩化水素(気体)を水に吹き込むと、次の反応が進行する。HCl(aq)+H2O(l)→H3O+(aq)+Cl-(aq)…①、この時、HCl分子はH2OにH+をわたすから、HClは酸とみなせる。アンモニア(気体)を水に吹き込むと、次の反応が進行する。NH3(aq)+H2O(l)→NH4+(aq)+OH-(aq)…②、この時OH-はNH3分子から放出されるわけではないから、アレニウスの定義では、塩基とみなせない。ブレンステッドーローリーの定義では、NH3がH+を受け取っているからNH3を塩基とみなすことができる。
ルイスによる酸、塩基の定義では、ルイス酸は電子対を受け取る化学種と定義されるが、①式で電子対を受け取っているのはHClから放出されるH+。H+は、H2O分子中のO原子がもつ非共有電子対を受け取っているから、ルイスの定義だと、HClというよりもH+が酸ということになる。②式では、電子対を与えているのはNH3で、NH3分子のN原子がもつ非共有電子対が、H2Oから放出されるH+に与えられているから、NH3はルイス塩基とみなせる。