水溶液にして硝酸銀を加えると白色の沈殿が出来るものの成分元素は?
硝酸銀水溶液に加えると白くにごる水溶液は食塩水と塩酸なんでしょうか?
硝酸銀水溶液|白く濁る(白色の沈殿)は食塩水?塩酸?化学式は?
硝酸銀水溶液に食塩水か塩酸を混ぜると白く濁る理由は、化学反応によって白色の沈殿物が生成されるからです。
硝酸銀水溶液(AgNO3)は、銀イオン(Ag+)と硝酸イオン(NO3-)から成り立っています。一方で、食塩水(NaCl)や塩酸(HCl)には塩化物イオン(Cl-)が含まれています。
銀イオン(Ag+)は、塩化物イオン(Cl-)と反応すると、白色の不溶性沈殿物である塩化銀(AgCl)を生成します。この反応式は以下のように表されます。
Ag+(aq) + Cl-(aq) → AgCl↓
この沈殿物が水中に浮かび上がり、水溶液が白く濁るのです。つまり、硝酸銀水溶液に食塩水か塩酸を加えると、銀イオンと塩化物イオンが反応して不溶性の白色沈殿物が生成され、それが水中に浮遊して白く見えるのが理由です。
硝酸銀水溶液とは?
硝酸銀水溶液とは、硝酸銀を水に溶かした溶液です。硝酸銀は、銀と硝酸からなる化合物で、組成式は AgNO3 です。
硝酸銀水溶液は、無色透明の液体です。水に溶けやすく、水溶液は中性です。
硝酸銀水溶液は、さまざまな用途に使用されています。
- 写真フィルムや写真紙などの銀塩写真の原料
- めっきの試薬
- 塩化物イオンの検出
- 殺菌剤
硝酸銀水溶液は、劇物に指定されています。取り扱いには注意が必要です。
写真フィルムや写真紙などの銀塩写真の原料
硝酸銀は、写真フィルムや写真紙の表面に塗布されています。光に当たると、銀イオンが還元されて銀の結晶となり、画像が現れます。
めっきの試薬
硝酸銀は、銀めっきの試薬として使用されます。銀めっきを行う際に、硝酸銀水溶液をめっきする対象物に塗布すると、銀イオンが還元されて銀の結晶が析出します。
塩化物イオンの検出
硝酸銀水溶液は、塩化物イオンの検出に使用されます。塩化物イオンを含む水溶液に硝酸銀水溶液を加えると、白色の沈殿が生じます。この沈殿は、塩化銀です。
殺菌剤
硝酸銀水溶液は、殺菌剤として使用されます。硝酸銀水溶液は、細菌やウイルスを殺す効果があります。
まとめ:硝酸銀水溶液|白く濁る(白色の沈殿)は食塩水?塩酸?化学式は?
硝酸銀水溶液に食塩水や塩酸を混ぜると、白く濁るのは、銀イオンと塩化物イオンが反応して、水に溶けない塩化銀が沈殿するからです。
食塩水や塩酸には、塩化物イオンが含まれています。塩化物イオンは、マイナスの電気を帯びたイオンです。
硝酸銀水溶液には、銀イオンが含まれています。銀イオンは、プラスの電気を帯びたイオンです。
プラスの電気を帯びた銀イオンと、マイナスの電気を帯びた塩化物イオンが出会うと、引き合って反応します。
反応の結果、水に溶けない塩化銀が生成されます。塩化銀は、白色の固体です。
そのため、硝酸銀水溶液に食塩水や塩酸を混ぜると、白く濁るわけです。
わかりやすい例えを挙げると、
「銀イオンと塩化物イオンは、磁石のN極とS極のようなものです。N極とS極が近づくと、引き合ってくっつきますよね。銀イオンと塩化物イオンも同じで、引き合って反応して、白く濁る沈殿を作ります。」