安倍首相が難病指定されている潰瘍性大腸炎の再発により「治療が必要」な状態となったことから、辞任を発表。
発表同日に記者会見を開き、辞任に至る経緯などをコメントしています。
安倍晋三首相の辞任会見全文!コメントを文字起こし!
猛暑が続く中、国民の皆さまにはコロナウイルス対策、そして熱中症対策、ダブルの対策に万全を期していただいておりますこと、国や地方自治体からさまざまな要請に対して、ご協力をいただいておりますことに対して、心から感謝申し上げます。
コロナウイルス対策につきましては、今年の1月から正体不明の敵と悪戦苦闘する中、少しでも感染を抑え、極力重症化を防ぎ、そして、
国民の命を守るため、その時々の知見の中で最善の努力を重ねてきたつもりであります。それでも残念ながら多くの方々が、新型コロナウイルスにより命を落とされました。
お亡くなりになられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。今、この瞬間も患者の治療に全力を尽くしてくださっている医療従事者の皆さまにも、重ねて御礼申し上げます。
本日、夏から秋、そして冬の到来を見据えた今後のコロナ対策を決定いたしました。この半年で多くのことがわかってきました。
3密を徹底的に回避するといった予防策により、社会経済活動との両立は十分に可能であります。
レムデシビルなど症状に応じた治療法も進歩し、今、40代以下の若い世代の致死率は0.1%を下回ります。
他方、お亡くなりになった方の半分以上は80代以上の世代です。重症化リスクが高いのは高齢者や基礎疾患のある方々であり、一人でも多くの命を守るためには、こうしたみなさんへの対策が最大のカギとなります。
冬に向けてはコロナに加え、インフルエンザなどの流行で発熱患者の増加が予想されます。医療の負担軽減のため、重症化リスクの高い方々に重点を置いた対策へ今から転換する必要があります。
まずは、検査能力を抜本的に拡充することです。冬までにインフルエンザとの同時検査が可能となるよう、1日20万件の検査態勢を目指します。
特に重症化リスクの高い方がおられる高齢者施設や病院では、地域の感染状況などを考慮し、職員のみなさんに対し、定期的に一斉検査をおこなうようにし、
高齢者や基礎疾患のある方々への集団感染を防止します。医療支援も高齢者の方々など、重症化リスクの高い皆さんに重点化する方針です。
新型コロナウイルス感染症については、感染症法上、結核やSARS、MARSといった入院感染症以上の扱いをしてまいりました。これまでの知見を踏まえ、今後は政令改正を含め、運用を見直します。
軽症者や無症状者は、宿泊施設や自宅での療養を徹底し、保険所や医療機関の負担軽減を図ってまいります。コロナ患者を受け入れている医療機関、大学病院などでは大幅な減収となっており、国民のために日夜ご尽力いただいているにもかかわらず、大変な経営上のご苦労をおかけしております。経営上の懸念を払しょくする万全の支援を行います。
インフルエンザ流行期にも十分な医療提供体制を必ず確保いたします。以上の対策について順次、予備費によって措置を行い、直ちに実行に移してまいります。
コロナ対策とならんで、一時の空白も許されないのが、我が国をとりまく厳しい安全保障環境への対応でございます。
北朝鮮は弾道ミサイル能力を大きく向上させていますので、これに対し、迎撃能力を向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのか、一昨日の国家安全保障会議では現下の厳しい安全保障環境を踏まえ、ミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針を協議いたしました今後速やかに与党調整に入り、その具体化をすすめます。
以上、2つのことを国民のみなさまにご報告させていただいたうえで私自身の健康上の問題について、お話をさせていただきたいと思います。
13年前、私の持病である潰瘍性大腸炎が悪化をし、わずか1年で突然総理の職を辞することとなり、国民のみなさまには大変なご迷惑をおかけしました。その後さいわい、新しい薬が効いて、体調が万全となり、そして国民のみなさまからご支持をいただき、再び総理大臣の重責を担うこととなりました。この8年近くの間、しっかりと持病をコントロールしながら、なんら支障なく総理大臣の仕事に毎日全力投球することができました。
しかし、本年6月の定期健診で、再発の兆候がみられると指摘を受けました。その後も薬を使いながら、全力で職務にあたってまいりましたが、先月なかごろから、体調に異変が生じ、体力をかなり消耗する状態となりました。そして8月上旬には潰瘍性大腸炎の再発が確認されました。今後の治療として、現在の薬に加えまして、さらに新しい薬の投与をおこなうことといたしました。今週はじめの再検診においては、投薬の効果はあることは確認されたものの、この投薬はある程度、継続的な処方が必要であり、予断は許しません。政治においてはもっとも重要なことは、結果を出す事である。私は政権発足以来そう申し上げ、結果を出すために、全身全霊を傾けてまいりました。病気と治療を抱え、体力が万全でないということのなか、大切な政治判断を誤ること、結果を出せないことがあってはなりません。国民のみなさまの付託に自信をもってこたえられる状況でなくなった以上、総理大臣の地位にありつづけるべきでないと、判断しました。総理大臣の職を辞することといたします。
最大の課題であるコロナ対応に障害が生じるようなことはできる限り避けなければならない。この1カ月その一心でありました。悩みに悩みましたがこの足元において7月以降の感染拡大が減少傾向へと転じたこと、そして冬を見据えて実施すべき対応策を取りまとめることができたことから、新体制に移行するのであればこのタイミングしかないと判断いたしました。この7年8カ月様々な課題にチャレンジしてまいりました。残された課題も残念ながら多々ありますが、同時に、様々な課題に挑戦する中で達成できたこと、実践できたこともあります。すべては国政選挙のたびに力強い信任を与えてくださった背中を押していただいた国民の皆様のおかげであります。本当にありがとうございました。
そうしたご支援をいただいたにもかかわらず、任期をまだ1年残し、他の様々な政策が実践途上にある中、コロナ禍の中、職を辞することとなったことについて、国民の皆様に、心よりお詫びを申し上げます。
拉致問題をこの手で解決できなかったことは、痛恨の極みであります。ロシアとの平和条約、また、憲法改正、志半ばで職を去ることは、断腸の思いであります。しかしいずれも、自民党として国民の皆様にお約束をした政策であり、新たな強力な体制のもと、さらなる制作推進力を得て、実現に向けて進んでいくものと確信しております。もとより次の総理が任命されるまでの間、最後までしっかりとその責任を果たしてまいります。そして、治療によってなんとか体調を万全とし、新体制を一議員として支えてまいりたいと考えております。国民の皆さま、8年近くに渡しまして、本当にありがとうございました。