クジラの嘔吐物とは貴重な香料の一種とされる龍涎香(りゅうぜんこう)
クジラの嘔吐物(龍涎香)は形成されるまでに何年もかかり、買取価格の相場は1グラムの価値はなんと2000円以上にもなる超高級品として知られています。
クジラの嘔吐物とは?龍涎香はどんな香り?
クジラの嘔吐物(龍涎香)は、マッコウクジラの消化器官で生成される鈍い灰色または黒っぽい色をした固体のワックス状の可燃性物質
クジラの嘔吐物(龍涎香)の塊の中から巨大なイカのくちばしが発見されたことから、クジラが食べた硬くて尖ったものの通過を容易にするために消化管で生成された物質ではないかと考えられている。
クジラの嘔吐物(龍涎香)は通常は糞便のように排出されるとみられますが、腸を通らないほどの大きさのクジラの嘔吐物(龍涎香)の塊もあることから、口から排出される可能性も指摘されています。
生成されたばかりのクジラの嘔吐物(龍涎香)には、海洋性の糞便臭がありますが、熟成させると麝香(じゃこう)に似た甘い土のような香りがして、一般的には蒸気のような化学臭のない消毒用アルコールの香りに例えられます。
クジラの嘔吐物(龍涎香)見つけ方・日本は?
クジラの嘔吐物(龍涎香)は、主に大西洋で発見されることが多いとされています。
他にも、南アフリカ、ブラジル、マダガスカル、東インド諸島、モルディブ、中国、インド、オーストラリア、ニュージーランド、モルッカ諸島、そして日本の海岸で見つかっています。
商業的に採取されるクジラの嘔吐物(龍涎香)のほとんどは、大西洋のバハマ、特にニュープロビデンスで採取されます。
マッコウクジラの腸内にある胆管から分泌されたクジラの嘔吐物(龍涎香)は、海に浮かんでいたり、海岸線に打ち上げられていたりします。
また死んだマッコウクジラの腹部からクジラの嘔吐物(龍涎香)発見されることもあります。
クジラの嘔吐物(龍涎香)は様々な形や大きさの塊で、通常は15グラムから50キログラム以上の重さがあります。
濃いグレーや黒の色、カサカサとしたワックスのような質感、そして独特の匂いを持つようになります。
また大部分は油でできているため、加熱すると溶けるという特徴を持ちます。ライターなどで龍涎香を炙ると溶け出すので見分けることは比較的、簡単のようです。
クジラの嘔吐物(龍涎香)買取価格は?
2021年にはイエメン沖で漁師が280ポンドのクジラの嘔吐物(龍涎香)を発見し、150万米ドル(日本円で約1.7億円)の値がついた。 175万年前のクジラの嘔吐物(龍涎香)の化石も見つかっています。。
クジラの嘔吐物(龍涎香)は、香りをより長く持続させる固定剤として香水メーカーに高く評価されてきましたが、現在ではほとんどがアンブロキソール塩酸塩に取って代わられています。
現在は、最重要香気成分テトラノルラブダン オキサイド(tetranorlabdane oxide)を精密有機合成でつくりだした「アンバー(amber)香」を有する香料が、香水産業にとって大変重要なものとなっています。
引用:https://www.kanebo-cosmetics.co.jp/company/news_material/pdf/20130301-01.pdf
天然のクジラの嘔吐物(龍涎香)は破格の値段となっているものの、現代は同じ香りを化学的に合成できるようになっています。
龍涎香の香りは「アンバー系」と呼ばれ香水・美容品で楽しめるようになっています。