雨穴さんの作品「あの日、彼らは何をした」は、青く光るホテルの窓、発見された白骨遺体、そして不可解な事故死など、数々の謎が絡み合うホラーミステリー
物語は、雑誌記者の新谷さんが体験した不思議な出来事をきっかけに展開し、次第に恐ろしい真相へと近づいていきます。
雨穴「あの日、彼らは何をした」あらすじ
「あの日、彼らは何をした」は、人気アイドル春木名美来の失踪事件を発端に、彼女の熱狂的なファンたちが不可解な事件に巻き込まれていくホラーミステリーです。
物語は、地方の寂れたホテル「ひちやぎホテル」で起こったある出来事から始まります。雑誌記者の新谷は、取材のためにこのホテルに宿泊した夜、窓の外に奇妙な青い光を目撃します。
一方、美来の失踪事件は迷宮入りし、悲しみに暮れるファンたちは、母親である春木名沙緒理が立ち上げたインターネット掲示板に集まり、情報交換や捜索活動を行っていました。 しかし、ある日、沙緒理は掲示板に「犯人から連絡があり、遺体の場所を教えられた」という衝撃的なメッセージを投稿します。
沙緒理の指示に従い、ファンたちは遺体捜索のためひちやぎホテルに集結しますが、そこで彼らを待ち受けていたのは、想像を絶する真相と、更なる恐怖の連鎖で・・・。
雨穴「あの日、彼らは何をした」ネタバレ考察・解説
雨穴さんの最新作「あの日、彼らは何をした」は、アイドル春木名美来さんの失踪事件を発端に、ファンたちが巻き込まれる複雑な物語です。
**物語の中心となるのは、美来さんの母親である春木名沙緒理さんと、美来さんのファンを装って事件に関与する倉辺誠二という男です。
** 沙緒理さんは倉辺に対して、過去の出来事に対する深い恨みを抱いており、綿密な計画を立てて復讐を実行します。
物語は、大きく分けて以下の３つのパートに分かれています。
- 青い光: 三重県のひちやぎホテルに宿泊した雑誌記者・新谷さんが、深夜に不可解な青い光を目撃する。後に、その夜にホテル付近で倉辺誠二という男が事故死し、彼の車から美来さんの遺体が発見される。新谷さんは、この２つの出来事の関連性に疑問を抱く。
- 八人の真相: 美来さんの熱狂的なファンである奈崎さんは、美来さんの失踪後、沙緒理さんが開設した掲示板に参加し、他のファンと共に捜索活動を行う。しかし、沙緒理さんから犯行声明が届いたことをきっかけに、事態は急変する。沙緒理さんの指示に従い、奈崎さんを含むファンたちはひちやぎホテルに集められるが、奈崎さんは沙緒理さんへの不信感を募らせ、計画実行直前に離脱する。
- 9月8日の真相: 奈崎さんから話を聞いた筆者は、事件の真相に迫るべく調査を進める。その結果、沙緒理さんと倉辺誠二の間には、美来さんを介した深い因縁があることが明らかになる。
雨穴「あの日、彼らは何をした」ネタバレ考察・解説｜犯人はサオリ？ミライ？
- 疑問1： 沙緒理さんの復讐計画は、成功率が低く、杜撰なように思える。
- 沙緒理さんの執念や狂気を表現するための演出だった可能性が考えられます
- 疑問2： なぜ美来さんの所属事務所は、大阪か名古屋ではなく東京だったのか？
- 沙緒理さんが美来さんを有名にするために、あえて東京の事務所を選んだ可能性が考えられます
- 疑問3： 沙緒理さんは、なぜ倉辺を直接殺害せず、遠隔操作のような方法を選んだのか？
- 沙緒理さんが警察の捜査を逃れると同時に、美来さんのファンを利用して倉辺を精神的に追い詰める意図があったと推測されます。
■物語の結末について。**
- 掲示板に残された「犯人を闇に葬りました」というメッセージは、沙緒理さんを指しているのか、それとも別の真犯人が存在するのか？
- このメッセージが沙緒理さんを指している可能性が高いとしながらも、別の解釈もあります。
** 倉辺誠二には双子の兄・張柄誠一がいることを明らかにしています。**
- リミさんが残したメッセージは、誠一と誠二の兄弟を指している可能性もあり、誠一が真犯人であり、誠二は兄の身代わりとして利用されていた可能性も考えられます。
沙緒理さんと倉辺兄弟の過去に何があったのか、美来さんは本当に沙緒理さんに殺害されたのか、そして、掲示板に残された「犯人を闇に葬りました」というメッセージの真意とは何なのか。
これらの謎は、今後の展開で明らかになる可能性があります。
「犯人は闇に葬りました」とは？雨穴「あの日、彼らは何をした」ネタバレ考察・解説
「犯人は闇に葬りました」という発言の解釈には、主に二つの説があります。
- ① 急だったとはいえ遠隔殺人計画に加担した奈崎さん以外のメンバーも、計画実行後に美来さんを殺した真犯人に思い当たった説。 彼らは美来さんの熱狂的なファンであり、沙緒理さんを信奉していたものの、最終的に美来さんを殺害した犯人＝沙緒理さんに復讐したと考えられます。
- ② 奈崎さん以外のメンバーは実は張柄家の息のかかった者であり、誠二さんを身代わりに仕立て上げることで、リミさんを襲った真犯人の存在を闇に葬った説。
②については、様々な問題点が残るため、①の説が有力だと考える人もいます。
誰が犯人であるかについては、作中で明確な答えは示されていません。 しかし、いくつかの手がかりから考察することができます。
まず、「犯人は闇に葬りました」というメッセージに猿張の名前が書かれていない点です。 この掲示板では、本名と身分証の提示が参加条件となっていました。 沙緒理さんは、ホテルを利用する際に「猿張直希」という偽名を使っていましたが、掲示板では本名である「春木名沙緒理」で参加していました。 つまり、掲示板のメンバーは沙緒理さんが「猿張直希」という偽名を使っていることを知りません。 したがって、「犯人は闇に葬りました」というメッセージに猿張の名前がないのは当然であり、闇に葬られたのは沙緒理さんであると考えるのが自然です。
また、奈崎さんは計画実行前に沙緒理さんへの不信感を募らせ、計画に加担することなくホテルを去りました。 しかし、他のメンバーは計画実行後に沙緒理さんと倉辺の関係や、自分たちの行動が倉辺の死に繋がったことに気づいた可能性があります。 彼らにとって重要なのは、自分たちが信奉していた美来さんが沙緒理さんに殺害されたという事実です。 そのため、経緯は不明ですが、沙緒理さんに復讐したと考えられます。
これらのことから、「犯人は闇に葬りました」という発言は、沙緒理さんが他のメンバーによって殺害されたことを意味する可能性が高いと言えるでしょう。
しかし、なぜ沙緒理さんが美来さんを殺害したのか、その動機については明らかになっていません。
