「他人をあてにする」という言葉がありますが、この「あて」は漢字で書くとどうなるんでしょうか?
いい意味なんですか?それとも悪い意味?
あてにするの漢字は?
「他人をあてにする」という言葉の「あて」は漢字で書くと【当て】となります。
「あて」は「あてる」の名詞形です
旺文社辞典よると、
【当て】
①物事を行ううえでの見込み。目当て。目標。「―もなくさまよい歩く」「―が外れる」「借金の―がある」
②頼りにすること。頼み。期待。「他人の懐(ふところ)を―にする」
大辞林 第三版の解説
https://dictionary.sanseido-publ.co.jp/dict/ssd13905
あてる【当てる・中てる・充てる・宛てる】
( 動タ下一 ) [文] タ下二 あ・つ
①
物を移動させて、他の物に勢いよく触れるようにする。ぶつける。 《当》 「ボールを打者の頭に-・ててしまう」 「馬に鞭むちを-・てる」
②
めざした地点に物を届かせる。命中させる。 《当・中》 「矢を的に-・てる」
③
光・雨・風などの作用を受けさせる。 《当》 「鉢植えの花は時々日光に-・てなさい」 「風に-・てて乾かす」
④
物や体の一部を他の物に接触・密着させる。あてがう。 《当》 「手を額に-・てて熱をみる」 「座布団を-・てて下さい」
⑤
くじ引きなどで、賞を得る。 《当・中》 「宝くじで一等を-・てる」 「福引きでテレビを-・てた」
⑥
経験や勘によって、予測・推測を的中させる。 「どっちが重いか-・ててごらん」 「競馬で大穴を-・てた」
⑦
(他の動詞の連用形の下に付いて)求めていた物を得る。 《当》 「金鉱石を掘り-・てる」 「友人の家を探し-・てる」
⑧
(事業・興行・商売・企画が成功して)大いに利益を得る。 《当》 「一山-・てる」 「株で-・てて大もうけをする」
⑨
何人かの中で、ある特定の人を指名して課題を与える。 《当》 「講読の時間では毎回学生に-・てて訳させる」 「先生に-・てられたが答えられなかった」
⑩
ある物をある方向に振り向ける。
ある物をある用途に振り向ける。充当する。 《充》 「店の二階を住居に-・てる」 「ボーナスをローンの返済に-・てる」
手紙や荷物の行き先をある人・土地とする。 《宛》 「先生に-・てた手紙」 「大阪支店に-・てられた書類」
対応させる。 「仮名に漢字を-・てる」
⑪
あてがう。 「食物など-・てて哀あはれめば/今昔 15」 〔「当たる」に対する他動詞〕 → あてられる
[慣用] 光を- ・一山- ・山を- / 毒気どつけに当てられる ・目も当てられない
[表記] あてる(当・中▽・充・宛)
「当てる」は“ぶつける。触れさせる。命中させる”の意。「ボールを壁に当てる」「布団を日光に当てる」「矢を的に当てる(この場合「中てる」とも書く)」 「充てる」は“ふりむける。充当する”の意。「貯金を建築費に充てる」「後任には課長補佐を充てる」 「宛てる」は“届け先(宛て先)とする”の意。「先生に宛てた手紙」
あてにするの意味は?
「「行くあてがない」は、「行く目当てがない」という意味です。
「目当て」とは、<事をするときの到達点・基準などとして心に決めていること>という意味です。つまり、行くところがないということです。
この場合の「アテ」は、目当ての「アテ」を使って「当て」とかきます。
この語自体に、良い・悪いというニュアンスはありませんが、使われている文脈全体を見ると、「お前なんかあてにならない」のようにあまりよくない意味であることが多いようです。
例えば、
「親の遺産を当てにして、マンションを買った」という場合、「当てにする」という部分だけを見れば、「頼りにする」「期待する」という「よい意味」に見えます。
しかし、「頼りにして」とは違うのは、「自分の努力はさておいて、まずは他人に頼る」とか「一方的に相手に期待をかける」というニュアンスがある点です。
「現地の友人を当てにして旅行に行ったが、忙しくて案内してもらえなかった」
のように、「頼りにしたのに、期待はずれだった」という場合も「当てにする」がよく使われます。
期待どおりだった場合、「現地の友人を当てにして旅行に行ったら、あちこちへ連れていってくれた」とは、あまり言いません。こういう場合には、「当てにして」ではなく「頼って」と言うのが普通でしょう。