星新一著「ボッコちゃん」の最後の意味は？
薬が混ざった酒は回収すれば済んだ話だと思うのですが、店主はなぜ毒のはいった酒を皆におごるなど無理心中のようなことをしたのでしょうか？
なぜ自分飲んで自殺してしまったのでしょうか。
ボッコちゃんのあらすじは？
あるバーのマスターが女のロボットを作る。
名前はボッコちゃん。
マスターはボッコちゃんをお店に座らせてお客の相手をさせる。
ボッコちゃんは酔わないし飲んだお酒は回収できるので経済的。
ボッコちゃんに惚れた男がいた。
しかしボッコちゃんはロボットなのでとにかく素っ気ない。
男はついにキレてボッコちゃんに毒を酒に混ぜ飲ませ帰ってしまう。
迷惑な客が帰り上機嫌なマスターは
ボッコちゃんが飲んだ酒を出し皆に勧める。
その夜、静まり返ったバーの中でボッコちゃんはひとりで酒を飲んでいた。
彼女の名前はボッコチャン。主人公（バーのオーナー）が作った接客人形。
客の言ったことに鸚鵡返ししかできないが、客の人気は上々だった。
みんなボッコちゃんが人形だとは知らない。彼女が飲んだ客のおごりのお酒は背中の
パイプから取り出して再利用しているなんてことも知らない。
ある日ボッコチャンと良思いと勘違いしている一人の客が「妻とは別れるから」と
ボッコちゃんにプロポーズ。
「ボッコチャン、僕と結婚してくれ。」
「ボッコちゃんはあなたと結婚するわ。」
鸚鵡返ししか出来ないボッコちゃんの言葉を鵜呑みにした男は、
そのままボッコチャンとかけおちしようとするがオーナーが止める。
オーナーもまた自分が作ったボッコちゃんを愛してしまっていた。
男を何とか帰したあと、
オーナー『君は僕のものだ、どこにもいくな」
ボッコチャン『私はあなたのものよ、どこにもいかない」
約束をかわすボッコちゃんとオーナー。
一方男はボッコちゃんと愛し合っていると信じて疑わない。
そんな夫をさげすんだ目で見る奥さん。
「脇女の子にいい年下おじさんが遊ばれてるのよ、わからないの？」
その言葉に逆上し、男は思わず奥さんを殺してしまう。
次の日ボッコちゃんのもとへ行く男。
「ボッコちゃん、僕とは遊びだったのかい。」
「あなたとは遊びだったわ。」
「僕のことを愛していないのかい」
「あなたのことを愛してないわ。」
ボッコチャンの言葉に怒り狂ったおとこは彼女に毒の酒を飲ませて
その場を立ち去る。
ボッコチャンはロボットなので毒など効かない。
それを知らないオーナーは客に例の再利用酒を出してしまう。
酒を客からおごられたオーナーもまたその毒杯をあおってしまい…
屍が転がる店内にラジオ放送が流れる。
「今夜の放送を終了します、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
ただ一人たたずむボッコちゃん・・・
ボッコちゃんの意味をネタバレ考察！解説は？
星新一著「ボッコちゃん」の最後で薬を飲ませた男はもうバーに来ないようですし、男が言いふらさなければ、痴情のもつれによる殺人事件(ロボットですが)が起きたとばれないのではないでしょうか？
ボッコちゃんがロボットだとバレないようにする工夫はいくらでもあったのではないでしょうか。
ショートショートは短い分、想像の幅が広がります。
だから自分なりの答えがあってよいと思います。
ボッコちゃんはロボットですから毒を飲んでも何の変化もありません。当然店主はボッコちゃんが飲んだお酒に毒が入っていたなんて全く気が付きません。
ですから、てっきり普通のお酒だと思い込んで、いつもと同じように回収してその酒をそのまま出したらみんな死んでしまったという話です。
次の客が来なければ回収した酒は捨てるしかないですから、捨てるくらいならタダで飲ませるということでしょう。
この店はボッコちゃん目当てで来る客ばかりです。店主も心得ていて、ボッコちゃんが困る質問がある場合、すぐさま駆けつけてくる。
そして、「そんなことを聞いちゃあいけませんよ」と助け船を出す事で、商売が成り立っていた。
マスターは常にボッコちゃんと客の会話に聞き耳を立てている訳です。そうしないと、ボッコちゃんがアンドロイドとばれてしまいますから。
青年の
「殺していい？」「殺していいわ」「勝手に死ね」「勝手に死ぬわ」も聞いている可能性は非常に高い。
そこで出てくるのが
「今日はわたしのおごりだ。好きなだけ飲んでくれ」です。
さらに
「もう管を使って酒を注文するような客はいない」
とあります。
あくまで文章を作為的に絡ませて考えると、ではありますが。
店主はボッコちゃんを使った商売が今後出来ないことをわかっています。そして、この店はボッコちゃん目当ての客しかいないような店。
つまり、彼はボッコちゃんがいなくなれば全てが終わりと分かっていた。それゆえ、やけっぱちで最後に客まで巻き込んで自殺した。
と解釈する事もできます。
