アンビリバボーでは抗NMDA受容体脳炎による症状に悩まされ、奇跡の回復を遂げたスザンナ・キャハランさんの物語が紹介されました。
Brain on Fire(彼女が目覚めるその日まで)のあらすじ
2009年のある日、24歳のスザンナ・キャハランは見知らぬ病室で一人で目を覚まし、自分が拘束されていることに気づきます。
ベッドに縛り付けられ、ガード下に置かれ、動くことも話すこともできないスザンナの前に「紫色の女性」が姿を現しスザンナをなだめようとスザンナは怒って被害妄想に陥ります。
すると「紫色の女性」はスザンナの頭からワイヤーを引っ張り始め、彼女の手首にオレンジ色で「フライトリスク」とマークされているバンドがあることを伝えます。
そこには彼女の医療記録があり、内容は1ヶ月間の入院生活では全く記憶がないが、幻覚、暴力、危険な不安定さが示されていた…
Brain on Fire(彼女が目覚めるその日まで)ネタバレ
スザンナ・キャハランと抗NMDA受容体脳炎の闘病の様子は「Brain on Fire」という自叙伝にまとめられアメリカでベストセラーとなりました。
その後、『Brain on Fire(邦題:彼女が目覚めるその日まで)』として映画化され、単なるスリル満点の読み物ではなく、心を揺さぶる医療ミステリーでもあるは、自分のアイデンティティを取り戻し、残された断片の中から自分自身を再発見しようとする一人の女性の奮闘を描いた力強い物語である。病院の記録や監視カメラの映像、家族や友人とのインタビュー、父親が病気の間に保存していた感動的な日記の抜粋などをもとに、彼女の「失われた月」の物語を紡ぎ出し、記憶とアイデンティティ、信仰と愛についての忘れられない回顧録を書き上げています。
スザンナは大学を卒業して数ヶ月、ニューヨーク・ポスト紙記者としていつか新聞の1面を飾る記者になることを目標に有望なキャリアを積んでいたが、しびれ、被害妄想、光に対する過敏さ、不規則な行動を経験し始めた。
こうした症状に悩まされながらも懸命に職務を果たそうとするものの、スザンナはトップ記事になるはずの大切な取材で、大失態を犯してしまいます。
スザンナは幻覚や幻聴のために不眠になりますがそれは仕事のストレスによるものだと考えていたものの、ついに全身がけいれんする激しい発作を起こしします。
症状は悪化していき衝動的な発作、幻覚、精神病的な行動は彼女の症状は家族を怖がらせ、一連の医師を困惑させました。
スザンナの体を乗っ取った見知らぬ人物は誰なのか?彼女の心に何が起こっていたのか?
医師のチームは、何が問題なのかを医学的に説明するために必死に突き止めようと1ヶ月間の入院と100万ドル相当の血液検査や脳スキャンを行った結果、結論は出ません。
一方、日が経ち、スザンナは次第に手足が動かなくなり、全身が硬直し、会話もできなくなっていました。
スザンナの家族、ボーイフレンド、友人がなすすべもなくベッドに横たわるスザンナのそばで見守るしかなかったものの、
土壇場で、著名な神経科医のスーヘル・ナジャールがスザンナの医療チームに加わり、スザンナの命は救われます。
彼は彼女に紙に時計の絵を描くように頼みました。
スザンナは言われた通りに円を描き時計の右側に1 から 12まですべての数字 を描いたつもりでしたが、実際には左側半分は完全に空白でした。
スーヘル・ナジャールはスザンナの右脳に何らかの異常が起きているのではないか?という仮説に至り、
年間300万人に1人発症する抗NMDA受容体脳炎という脳を攻撃することができるまれな自己免疫疾患の治療につながります。
この病気は、統合失調症と自閉症の両方に関連していると考えられており、おそらく歴史上の「悪魔憑き」の根源であると考えられ、
映画『エクソシスト』のモデルになった実在の少年の臨床像そのものと指摘されています。
スザンナも最初は単なる体調不良と甘く考えていましたが、仕事に支障が出るほど物忘れが激しくなり、取材相手や上司に暴言を吐くように。
しまいには仕事中にいきなり机の上に立ってはしゃいだりするようになります。自分のことをコントロールできなくなっていく恐怖にさいなまれていきます。
8年越しの花嫁も抗NMDA受容体脳炎
日本では中原麻衣さんが抗NMDA受容体脳炎と診断され、なんと1年半も意識不明のこん睡状態となったものの、奇跡の回復を果たします。
その一連の様子は「8年越しの花嫁」という自叙伝にまとめられ同名のタイトルで映画化もされています。
中原麻衣さんと中原尚志さんの結婚式あと3カ月後に迫っていて2007年のこと、麻衣さんは突然記憶障害や幻覚に見舞われ発作を起こします。
容体はみるみる悪化していき精神科に入院した3日後には心肺停止し一命はとりとめるものの、昏睡状態となり意識が回復する様子はありません。
さらに中原麻衣さんの体が勝手に動く症状に見舞われ「抗NMDA受容体脳炎」と診断され、それから2人の長い闘病生活が始まります。
中原尚志さんは毎日病院を訪れ麻衣さんに寄り添う生活をなんと、1年半も続け中原麻衣さんは昏睡状態から目を覚まします。
ところが、その時には尚志さんのことを中原麻衣さんはすっかり忘れてしまっていたので尚志は麻衣との思い出を語り、麻衣の記憶を呼び覚まそうとするも、2人の間の溝は縮まるどころか逆にすれ違う一方。
尚志さんは次第に「自分の存在が麻衣を苦しめてしまっているのではないか」と思い始め、一時は麻衣さんと別れる決意をしますが、
周囲のサポートもあり、尚志が強く自分を思ってくれていることを理解できた麻衣さんは「また好きになった」と言い、2017年12月に8年越しの結婚式を迎えることになりました。