チャイルドシートを助手席に設置できるのかというと、
法律では規制されているわけではないので設置して良いモノの、
チャイルドシートのメーカー各社のホームページや取扱説明書では、
チャイルドシートの助手席設置は推奨されていません。
チャイルドシートを助手席に設置することが非推奨となっている理由は、
助手席エアバッグの衝撃を想定していないからです。
ただ子供一人と大人一人といったケースで、
どうしてもチャイルドシートを助手席に設置しなければいけない場合、
助手席をできる限り後ろに下げて、エアバッグの衝撃を受けにくくする
といった処置をしておく必要があります。
ちなみに、交通事故の統計データによれば、
シートベルトをキチンと着用していれば、
助手席でも後部座席でも致死率はそれほど変わりません。
助手席は事故が起きたときに危ないと言われるものの、
チャイルドシートを座席シートに正しく固定していれば、
安全性は高いと考えて良いでしょう。
チャイルドシートの助手席設置はメーカー非推奨
チャイルドシートのメーカーと言えばエールべべやコンビ、
日本育児などがありますが、これらのメーカーから発売されている
チャイルドシート(ベビーシート・ジュニアシートを含む)の
取扱説明書を調べてみました。
調べた限りでは、すべてのチャイルドシートに関して、
助手席の設置は推奨されていませんでした。
たとえば、エールべべのクルットスリーアイ、サラット3ステップ
といったチャイルドシートの取り扱い説明書では、
「エアバックが装備されている座席で使用しない」
と明記されています。
チャイルドシートのメーカーが助手席設置を非推奨としているのは、
助手席エアバッグの衝撃を想定していないからです。
エアバッグは内蔵されている火薬に点火させ、
爆発の威力で膨らむ仕組みになっています。
この時の衝撃(爆発速度)はなんと時速100~300km!
助手席にはハンドルがない分、運転席よりスペースが広くなるため、
運転席よりエアバッグが大きく作られています。
さらに助手席に装着されているエアバックは、
あくまでも標準的な体格の大人を守ることを想定して設計されています。
チャイルドシートに乗せた子供を守ることも考えているわけではないので、
万が一の際、エアバッグによって二次災害が起きる危険性があるわけです。
isofixも助手席には設置されていないことが多い
チャイルドシートには近年、isofixという規格が生まれ、
チャイルドシートと車の座席の両方がisofixに対応していれば、
チャイルドシートの設置が非常に簡単になります。
力の弱い女性でも重たいチャイルドシートを
座席シートにスムーズに正しく固定できるものの、
多くの車種ではisofixは後部座席のみとなっています。
この点から考えると、トヨタや日産、ホンダなど、
自動車メーカーとしても助手席にチャイルドシートを設置するのは、
あまり推奨していないという風に考えられます。
法律ではチャイルドシートの助手席設置はOK
ただ、道路交通法の規定を見てみると、
チャイルドシートを設置する座席には特に触れられていません。
6歳未満or身長140cm未満の子供には、
チャイルドシート着用の義務はあるものの、
助手席でも後部座席でも構わない、といった感じです。
助手席チャイルドシートは危険で後部座席は安全なの?
交通事故ではどこの席が危ないのかというと、
助手席が最も危険と言われることがあります。
確かに、死亡率が高くなる正面衝突のようなケースでは、
運転手はとっさにハンドルを右に切ることが多いらしく、
そのせいで助手席側のダメージが大きくなる傾向があるようです。
ただよくよく調べてみると、交通事故で最も多いのは、
駐停車中の追突とか出会い頭の衝突、右左折時の衝突といったものです。
重症をおいやすい正面衝突の頻度は非常に少ないうえに、
仮に正面衝突をした場合もシートベルトの着用の有無で、
死傷率は大幅に変わります。
シートベルトを着用していなかったら、
実は助手席よりも後部座席の方が致死率が高くなり、
シートベルトを着用していたら、
助手席でも後部座でも致死率はほぼ同じような数字になります。
むしろ、駐停車中の追突事故が多い点を考えると、
たとえばミニバンの3列目にチャイルドシートを設置するほうが、
より大きな衝撃を受けやすく危険性が高いとも考えられます。
「チャイルドシートは後部座席に設置するのが安全!」
とは言われるものの、
あくまでも座席に正しくチャイルドシートを固定して、
子供を正しくチャイルドシートに乗せていることが前提です。
チャイルドシートを正しく利用していれば、
助手席でも後部座席でも安全性はそれほど変わらないと言えるでしょう。
チャイルドシートを助手席設置する際の注意点
チャイルドシートのメーカーは推奨していないとはいえ、
やむを得ない事情があって助手席にチャイルドシートを
設置しなければいけないケースというのはあります。
チャイルドシートを助手席に設置するにあたっては、
- ベビーシート(新生児から1歳頃まで)
- チャイルドシート(1歳頃から4歳頃まで)
- ジュニアシート(4歳頃からの学童用)
という3つのタイプごとに注意点すべき点があります。
0歳(ベビーシート)の乳児は助手席NG!
新生児など首の座らない0歳児を乗せたベビーシートを
助手席に設置することはできません。
確かに法律上では規制されていないものの、
首の座らない0歳児・新生児は後ろ向きに乗せなければいけません。
どうしても前に大きくせり出す形になってしまうため、
交通事故の時にはエアバッグの衝撃が
モロにベビーシートに加わります。
車の説明書や助手席の天井にあるサンバイザーに書かれた注意書きを見ても、
チャイルドシートの後ろ向き設置は厳禁と表記されている車種も多いので、
0歳(ベビーシート)の乳児を助手席に乗せるのは避けましょう。
1歳、2歳、3歳などのチャイルドシート設置
カーナビの画面で動画を見れるようになっていれば、
助手席は特等席になるので、子供も非常にうれしいんじゃないでしょうか。
助手席にチャイルドシートを設置する場合、
エアバッグの衝撃をまともに受けないようにするために、
助手席を目いっぱい後ろに下げるようにしましょう。
またチャイルドシートに乗った子供というのは、
とにかく落ち着きがなくてあちこちイタズラするものです。
助手席を目いっぱい後ろに下げておけば、
エアコンのスイッチやカーナビの設定などをいじったり、
足伸ばした時に触って誤作動させる心配もありません。
ただ一つ気を付けたいのは、
運転席に座ったドライバーが
助手席の子供に気を取られ過ぎないようにすること。
助手席の子供がおやつを要求してきたり、
退屈だからとちょっかいを出してきても、
運転に集中するように気を付けましょう。
4歳、5歳、6歳などのジュニアシート設置
ジュニアシートの場合だと背もたれがないタイプが一般的なので、
助手席をそれほど下げる必要はないでしょう。
ただ1歳児とか2歳児、3歳児に比べると
だいぶ知恵がついてきているし、手を伸ばせばあちこちに届くので、
危険なところに触らないようにきつく注意しなければいけません。
ドアや窓で遊ぶのを防ぐためにドアロック・窓ロックをし、
手を伸ばしてもエアコンスイッチなどには触れない位置まで、
助手席シートを後ろに下げた方が良さそうです。
落ち着きのない子供を助手席に乗せなければいけず、
不安を感じるようであれば、u-nextで動画をダウンロードしておいて、
好きなアニメでも見させておくと安心じゃないかと思います。
まとめ:助手席・後部座席でも正しいチャイルドシートの装着が大切!
交通事故で時速40km程度で車や建造物に衝突した時、
車に乗っている人の身体には体重の30倍以上の衝撃が加わります。
体重50kgの人だと約1.5tもの力が加わり、
体重10kgの身体の小さな子供でも300kgの力が加わります。
シートベルトを着用しているかどうかで
交通事故時の死亡率は大きく違うので、
高速道路でも一般道路でも、
助手席・後部座席共にシートベルトは必須です。
チャイルドシートに関しても、
ただ乗せるだけじゃなくて正しく設置して、
正しく子供を座らせなければいけません。
チャイルドシート未使用で交通事故に遭った場合、
死亡重傷率は使用していた場合に比べて約2.1倍に増加。
チャイルドシートが正しく設置されていなかった場合の死亡重傷率は
正しく設置されていた場合の約6.0倍に跳ね上がります。
こうした背景を踏まえると、助手席・後部座席でも
正しいチャイルドシートの装着が何よりも大切です。
まだ首の座らない新生児をチャイルドシートに乗せる場合、
後ろ向きに設置しなければいけないため、
助手席は避けなければいけません。
チャイルドシートを固定する際は、手で揺らしてみて
がたつき・ぐらつきが2.5cm以内に収まる範囲で
固定させなければいけません。
その他、チャイルドシートの取扱説明書を見て、
安全を確保する処置を正しく行うようにしましょう。
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