塩素イオンと塩化物イオンの違いは?
どちらも、クロム酸カリウムを指示薬として、硝酸銀で滴定で出て来ることがありますが、塩素イオンと塩化物イオンの違いは?
塩素のイオンはなぜ塩化物イオンと言うんでしょうか?
塩素イオンと塩化物イオンの違いは?
塩素イオンも塩化物イオンも、どちらも、Cl-、のことで同じもの・同じ意味です。
実は塩素イオンは古い呼称で、30年くらい以前では、中学高校でも、化学界でもそのように呼んでいました。
その後、塩化物イオンに呼称変更・統一され、今日に至っています。
塩素のイオンをなぜ塩化物イオンと呼ぶようになったのかというと、塩素イオンのような、「元素名+イオン」は陽イオンのことを言うと定義してるからです。それにCl-は塩化物を構成するイオンでしょ。
ただし、二酸化炭素を炭酸ガス(古い言い方)という研究者もいるように、一度馴染んだものはなかなか抜けきれなくて、未だに塩化物イオンのことを「塩素イオン」を使う人はいます。
ちなみに、塩素の原子番号は17で、塩化物イオンは1価の陰イオンなので、電子の数は17+1=18個となり、電子配置は原子番号18のアルゴンArと等しくなります。
まとめ:塩素イオンと塩化物イオンの違いは?
厳密な定義で言えば塩素イオンは世の中に存在しません。
Cl-は塩化物イオンです。塩素イオンはCl+のことです。日本語の名前の付け方として、陰イオンには~化物イオンもしくは~酸イオンと呼ぶことになっています。
一方、陽イオンは~イオンとなります。よって、塩素イオンはCl+です。もしかして、塩素酸イオンと塩化物イオンの違いを知りたいのでしょうか?
塩素のイオンをなぜ塩化物イオンと呼ぶのかというと、基本的には定義だからとしか言いようがありませんが、たとえば、水素とかであれば、H+だけではなく、H-もちょくちょく出て来ます。
前者を水素イオンと呼ぶならば、後者にはそれとは別の名称が必要です。そうした中で、〇〇化物イオンの名称に統一されています。つまり、H-は水素化物イオンと呼ばれます。
英語のchloride ionに関しても、その訳を塩素イオンとするのは無理があると思います。塩素はchlorineであり、chlorideではないからです。
英語であれば、上述の水素化物イオンはhydride ionとよばれ、”ide”で終わっているという点でchlorideと同じです。OH-はhydroxide、アセチレンからH+が取れて生じる陰イオンはacetylideというように、陰イオンもしくはそれと同等のものについて、すべてとまでは言いませんけど、ideで終わる名称が使われます。
化合物というのは無数に存在するわけで、その呼称に関して何らかの規則を決めておかなければ混乱を招く可能性があります。
塩素イオンと言わずに塩化物イオンと言わなければならない理由は簡単に言うと命名法としてそのように定められているから、ということになります。
陽イオンであるか陰イオンであるかを明確に区別するために、このような命名法になったのです。
「(元素名+イオン)は陽イオンを表す」という決まりになっていますから、「塩素イオン」と言った場合、「塩素の陽イオン(Cl7+とか)ですか?」みたいな意地の悪い解釈もできてしまうわけです。
参考:塩素イオンと塩化物イオンの違いは?
一種類の元素が陽イオンになるとき、そのままの名前にイオンをつける。
例、水素イオン、銅イオン、鉄イオン、カルシウムイオン
一種類の原子が陰イオンになるとき、○○化物イオンと言う名前にした。
例、塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオンなど、、、。
中学レベルでは、一種類の原子がイオンになるとき、陽イオンになるか陰イオンになるほぼ決まっていますが、、、
だんだんレベルが上がっていくと陽イオンにも陰イオンにもなれるというものが存在してきます。
例えば、水素元素。水素イオンって普通は陽イオンですが、水素化金属って言う化合物を作るとき陰イオンになる。そのときの名前は『水素化物イオン』ってなる。