ショパンコンクールの出場者でもミスタッチをします。
反田恭平さんも2次予選や3次予選でミスタッチはあったもののファイナルに残りましたが評価基準でミスタッチはどうなっているんでしょうか?
ショパンコンクールのミスタッチ評価基準は?
ショパンコンクールに限らずどんなピアノのコンテストでも出場者に「どんな風にこの曲を弾きたいのか」と尋ねても間違っても「ノーミスで」と答える人はいないでしょう。
もっと積極的に自分の演奏というものを創り上げて行くような姿勢の方が高い評価を得られるのだと思います。
2010年のショパンコンクールではアブデーエワさんが優勝していますが、一次予選では引き始めにいきなりミスタッチがみられました。
作品62の1のノクターン(夜想曲)の冒頭部でミスタッチをやらかしています。ですが、このノクターンは、テンポを落としながら劇性を高めた導入部の造形が大変に魅力的だったのです。そして、劇性を高めた導入部の強い印象と、後半の高速パッセージでの速度超過気味の派手な表現が絶妙なコントラストを見せていて、全体の構成感がオリジナルで効果的だったのです。「いきなりミスタッチをした人が何故優勝?」と思う人(実は彼女は本選のコンチェルトでも冒頭にミスをしています)もあるかもしれませんが、とにかく新しい造形を創り、それを自分で美しいと確信し、その造形を音にするために努力をした結果、聞き手に強い印象を残すことに成功したのです。天才だからではないのです。
https://www.newsweekjapan.jp/reizei/2010/10/post-214.php
2021年のショパンコンクールだと角野隼斗さんは2次予選のワルツでソプラノのミスタッチがありましたが、全体的には本当に素晴らしい演奏で3次予選にコマを進めています。
そして反田恭平さんはショパンコンクール三次予選の英雄ポロネーズで明らかなミスタッチがありました。
ショパンコンクールはもちろん、コンクール全般で評価基準は、曲の表現を中心に審査するので表現に影響しないようです。
ショパンコンクール3次予選の反田さんの演奏は想像を超えて素晴らしく、その演奏は審査員の方々にも届いたのだと思います。
もちろん、根本的な技術不足を露呈するミスタッチは評価を下げるでしょうが、審査委員たちはそんなことより、ピアニストの本質的な才能を見極めようとしているようです。