クロノクロス(クロノ・クロス、Chrono Cross)のストーリーは、クロノ・トリガーの続編という位置づけではありながら時間軸が交錯するパラレルワールド。
そのためストーリーは難しいと言われますが、クロノクロスのストーリーを簡単にまとめると?
クロノクロスのストーリーを簡単に解説してもらう
遠い未来、前作のラヴォスの欠片である「凍てついた炎」を利用した実験の最中、
事故が起こって研究室ごと大昔の時代へとタイムスリップしてしまう。
そして別のパラレルワールドで同じように進化していた竜人達も、その余波を受けて同じ過去へ引き摺られてしまう。
そこで竜人&龍神vs人間の戦いが起こるが、人間側が辛くも勝利。龍神達は封印されてしまう。
その後、人間側のコンピューター「フェイト」は未来へ人類を存続させるため、人々の行動を監視するようになった。
時は流れて現代、ふとした事故で主人公が「フェイト」の動力源である「凍てついた炎」に接触して「調停者」として選ばれてしまい、
「フェイト」はその機能を完全に利用する事が出来なくなってしまった。
なんだかんだで主人公の体を乗っ取り、「凍てついた炎」への接触に成功した「フェイト」だったが、
人類への監視が行き過ぎたために、間を置かずして主人公達に倒されてしまう。
しかしそれにより、封印されていた龍神達が完全復活。
今まで色々と手を貸してくれた龍神達だが、人類を滅ぼすためいきなり敵対行動に出てくる。
ところで時の彼方には「時喰い」と呼ばれる存在がいつの頃からかいるのだが、
それは怨念や無念といった負の感情を取り込みながら成長し、終いにはその世界を消滅させてしまう。
その「時喰い」と化していたラヴォスに、龍神達と前作のサラが融合してしまった。
消滅の運命から逃れるため、「調停者」として選ばれた主人公が「時喰い」を解放し、世界は救われるのだった。
ちなみに「フェイト」が「凍てついた炎」に接触出来なくなったのは、
「凍てついた炎」自体意思を持っていて、選ばれた者以外干渉出来なくなってしまうから。
それと主人公が「フェイト」に隠されてた「凍てついた炎」に接触できたのは、
「時喰い」に融合してたサラが「フェイト」の防衛機能にちょっかいを出したためだとか、
事故だと言われてる未来から過去へのタイムスリップは、
「時喰い」の存在を知った前作のガッシュ(タイムスリップで未来にいた)が、
世界を救う「調停者」を過去において作り出すため、意図的に起こしたんじゃないかとか、
そんな設定もある。(「時喰い」が存在する以上、遠い未来必ず世界は消滅する)
あとクロノクロスではガルディア王国は既に滅んでるし、ルッカはフェイトによって殺されてる。
ただしこれらはパラレルワールドでのお話。
前作の将来が必ずしもこうなるとは限らない。
クロノクロスの難しいストーリー解説を教えてもらう
誰かが何かを成してある未来を掴み取ったとき、その陰では選ばれなかった未来の世界が消えていっている。
しかし、選ばれなかった未来の世界はただ消えるのではなく、その妄執、怨嗟は残る。
クロノたちによって滅びの運命が回避された未来の世界で、理の賢者ガッシュは
そういった妄執が凝り固まって「時喰い」という存在となり、いずれあらゆる未来を飲み込むことを予見した。
そこでガッシュは、時喰いを浄化する計画「プロジェクト・キッド」を開始した。
以下の展開の多くはガッシュの「プロジェクト・キッド」の影響下にあると思われる。
未来の世界AD2300年で、「凍てついた炎」という測り知れない力を秘めた石を利用して
時間を操る研究を行っていたエルニドという地域にある研究都市、「クロノ・ポリス」。
しかし実験中に「タイム・クラッシュ」と呼ばれる事故を起こし、
AD2300年の未来世界から、はるか昔であるBC10000年へと飛ばされる。
クロノポリスのマザーコンピュータ「フェイト」は、繁栄していた未来へと進む歴史に
悪影響を及ぼさないため、エルニドを外部から極力隔離、管理してゆくことを選択する。
クロノポリス職員の子孫であるエルニド住民たちの記憶からすらそのことを消し、隠したままで。
また、平行世界のAD2300年で繁栄していた竜人たちの都も
タイムクラッシュの影響により、同じBC10000年のエルニドへと飛ばされた。
竜人たちの都とクロノポリスは戦争となり、クロノポリス側が勝利。
竜人たちが自然を操作するために作り出していた7体の生体マシンたちは
フェイトの抑制のもと、人間社会へ敵対することを抑制されてしまい、
「龍神」として自然に加護を与えて暮らすこととなってしまった。
それから長い長い年月が過ぎた。
クロノトリガーでの「現代」であるAD1000年より数年たったエルニドでは、
「セルジュ」という幼い少年が、「あるきっかけ」により、クロノポリスにおいて凍てついた炎と接触してしまう。
そのことで、セルジュは凍てついた炎に選ばれた「調停者」となってしまった。
これに危機感を感じたフェイトはさらにその数年後にセルジュをひそかに殺害。
しかしこのときに「何者か」の介入があり、世界が「セルジュが死んでいる世界(アナザー)」と
「セルジュが生きている世界(ホーム)」に分かれてしまった。
さらに数年たったある日、「ホーム」で16歳になっているセルジュは、「アナザー」に移動してしまう。
セルジュはその世界で「ヤマネコ」という獣人にたびたび立ちはだかられる。
ヤマネコは実はフェイトが操る存在で、凍てついた炎に選ばれたセルジュの体を奪って自分の体にしてしまおうと画策しているのだった。
守るはずの人間達に害をなし始めるなど、ファイトが暴走しはじめていることもあり、
セルジュはヤマネコにある「恨み」を持つ盗賊の少女「キッド」などの仲間たちとともにフェイトを破壊する。
しかし、フェイトの抑制が無くなったことで龍神達はひとつの巨大な龍へと変じ、人類に対する復讐を開始する。
いや、時喰いのかけらである「凍てついた炎」さえも取り込み、怨讐に燃えるそれは、
すでに「時を喰らうもの」の化身となってしまっていた。
それと戦い、倒したセルジュたち。だが時を喰らうものの本体をどうにかしなければ。
しかも、ただ倒すだけではその怨念は解決できず、いずれは時喰いとして再び現れるだろう。
しかしセルジュたちは、時喰いを倒すのではなく、
「竜の涙」という竜人と人間の共生の証となる宝珠から生成した「クロノクロス」というアイテムを使った。
その力により、時喰いの怨念は浄化される。
こうして、理の賢者ガッシュが画策した「プロジェクト・キッド」が完了したのだった。
クロノクロスのストーリー解説補足 キャラクター編
■サラ:海底神殿でラヴォスが目覚めたときに時空の歪みに巻き込まれる。その時空の歪みの中で、
自らの力のせいでジール王国が滅んだことへの自責の念や消えてしまうことを望む負の感情からか、
時喰いに取り込まれてしまった。
ちなみに、本来クロノポリスの防御システムに厳重に守られているはずの「凍てついた炎」に
幼いセルジュが接触できたのは、時空の歪みの中のサラが幼いセルジュの泣き声にひかれて
その時代に接触を図ったために磁気嵐が発生、そのせいでクロノポリスのシステムが短い間ダウンしたため。
セルジュの泣き声にひかれたサラからは、サラのペンダントの力により、
サラの分身、すなわちこのゲームのヒロインであるキッドが赤ん坊としてその時代に生み出された。
キッドはペンダントとともにルッカに拾われ、ルッカの孤児院で育てられていくこととなる。
しかしキッドにはサラの記憶は残っていないため別人と言っていい。
■ロボ:登場しない。しかし、彼のもう一つの名前「プロメテス」に近い名前と話し方を持つ
「プロメテウス」という人工知能が、クロノポリスのシステムに仕込まれた回路として登場する。
ルッカの考想に基づいて、クロノポリスの初代責任者であった頃のガッシュが仕込んだものらしい。
プロメテウスは、「調停者」であるセルジュ以外を「凍てついた炎」にアクセスできないようにしていた。
その結果、クロノポリスのマザーコンピュータであるフェイトですら「凍てついた炎」へのアクセスを遮断された。
その状況を打開したいフェイトは、セルジュを殺したりセルジュの体を奪ったりすることを画策することとなる。
■ルッカ:孤児院を開いていたが、孤児院はヤマネコおよび龍神の一体であるツクヨミによる焼き討ちにあう。
フェイトも龍神はどちらも、自分たちが「凍てついた炎」に接触するという目的を持っており、
そのためにはプロメテウスがどうしても邪魔であったため、一時協力してルッカを拉致し、
ルッカにプロメテウスを排除させようとしたのだ。
その焼き討ち事件後、消息不明。ヤマネコたちへの協力を拒んで殺害された可能性も。キッドのヤマネコへの「恨み」とはこれ。
小さな子供の姿で登場はするが、「私たちは、この時間軸には存在しないの」とも言っている。
■クロノ、マール:消息不明。ルッカとともに子供の姿では登場する。
ガルディア王国は戦乱により滅亡しているため、無事とは考えにくい。
■エイラ:登場しない。しかし仲間の中に「子供が生まれたらエイラと名づける」と語る原始人の女の子が登場しており、
エイラの母親となる人間ではないかと思われる。
■魔王:登場しない。しかし仲間の中に台詞の端々や行動に魔王を彷彿とさせる魔導師が存在する。
ただし全くの同一人物と言うわけでは無いらしい。
クロノクロス制作初期では同一人物にする予定だったが、予定変更になったとか。
■ハッシュ:言動や外見からみておそらく同一人物である人物が登場する。
ただしサブイベントにしか関係の無い場所に居り、シナリオには全く関わらない。
■ガッシュ:このゲームのキーマン。クロノトリガーでの破滅した未来では狂っていたが、
ラヴォスが倒されたことで歴史が変わり、繁栄した未来の世界では科学者ととして頭角を現し、クロノポリスを設立した。
だがタイム・クラッシュが起こるより以前に既にクロノポリスから去っている。
時間について研究する中で、時喰いについてを知り、それへの対策である「プロジェクト・キッド」を発案した。
自らが作り上げたタイムマシン「ネオシルバード」によりセルジュ達の時代にやってきている。
■カエル、ボッシュ:全く登場しない。
クロノクロスのストーリー解説補足 用語編
■ヤマネコの正体
ヤマネコの中にある”精神”はクロノポリスに存在する”フェイト”である。フェイトはクロノ達の歴史改革による未来において、滅びの未来に存在した”マザーブレイン”を元にして誕生した人類の守護者である。A、D2400年の未来にエルニド海(神の庭or死海)で発見された”凍てついた炎”—ありとあらゆる願いをかなえる輝石を見つめつづける中で、彼もまた、マザーブレインと同じように夢を見る。人と機械が同化し、新たなる種へと進化する夢を。
フェイトはタイムクラッシュにより1万年前のエルニドへ来た時、時を同じくして現れたディノポリスとの戦争に勝利、彼ら龍人たちの守護神”龍神”と6匹の龍を凍てついた炎で封印する。それ以後、フェイトはH,A二つの世界を”エレメント”と”運命の書”を使って陰で操ってきた。自然の摂理を6属性のエレメントで、人々の行動をフェイトの末端装置、運命の書で。運命の書をとおしてフェイトは人々に暗示をかけ、フェイトの知る過去が大きく変わらないように操り続けた。エルニドにて未来が大きく変わるような事件が発生すると、クロノポリスも、そしてフェイトも未来に存在する可能性がなくなってしまう—それらをフェイトはもっとも怖れていた。
しかし、14年前の嵐の夜、激しい磁気嵐によってフェイトの機能が一時停止、神の庭に人間が入り込んでしまう。それが、ヒョウ鬼に襲われ、重傷を負ったセルジュと父ワヅキ、そしてワヅキの親友であり、レナの父であるミゲル。凍てついた炎の声を聞いたワヅキは、セルジュを炎に触れさせる。
セルジュは一命を取り留めるが、そのせいで凍てついた炎はセルジュを”炎に選ばれしもの(調停者)”として認識、その上、セルジュ以外の調停者のデータを受け付けなくなってしまう。それ以前は、幾人も調停者(フェイトもそうだと思われる)が存在し、複数の人間が凍てついた炎を操っていたようだ。
そして、フェイトの中に眠る機械暴走防止のセーフティ・プログラム”プロメテウス”がフェイトの一時停止に伴い発動、フェイトの暴走を止めてしまう。フェイト自身すら、気付かぬほど巧妙に仕掛けられたプロメテウスは、11世紀の科学者ルッカ・アシュティアが発明したもので、A、D2300年の未来において、彼女と同じ思想を持つ理の賢者ガッシュがフェイトにこの回路を組み入れた。自ら動くことのできなくなったフェイトは人の肉体を欲し、息子の死の恐怖におびえ、精神が不安定だったワヅキに入り込む。
ワヅキの身体を手に入れたフェイト。ヤマネコの姿をしているのは、肉体をのっとられたワヅキの憎しみ、彼の息子の死に怯える恐怖のイメージを表している。
そして、炎が新たなる調停者を認識するよう10年前、セルジュを溺れさせて殺してしまう。しかし、14年前の出来事により、フェイトはHワールドの世界に直接介入できなくなってしまう。運命の書を使って辛うじてその世界の事柄を知ることができるのみになってしまったのだ。H,Aで事柄が違うのはこの為ということになる。
当面の彼の目的はプロメテウス排除である。フェイトの暴走防止と、凍てついた炎を守るプロメテウス—その作成者を殺害する、その目的に本来敵であるはずの”龍人”も協力する。どちらも、凍てついた炎を欲し、その邪魔になるプロメテウスの排除が第一目的だったからだ。
しかし、それには失敗している。その間にあったルッカとヤマネコの接触内容についてはまったく不明だが、ヤマネコは凍てついた炎を奪わんとルッカを脅していたはず。しかし、それを蹴られたがゆえに、彼は孤児院の焼き討ちの強硬手段にでた。ルッカはヤマネコが漏らす数少ない情報から、自分たちが改革した未来に再びひずみが生じ、彼女自身が危惧していたこと(ルッカからキッドへの手紙参照)がやって来たことを悟ったのだろう。それを幼かったキッドはそばで見ていたに違いない。プロメテウスの情報が漏れないよう何らかの手段をとったのち、ルッカははヤマネコに殺害されてしまう。
これが、およそ5年前の出来事である。結果的にルッカの作戦がちでプロメテウスの排除に失敗したヤマネコは10年前にセルジュを殺したことを後悔しているはず。しかし、10年前にH,A二つの世界に分かたれたことを認識していたヤマネコは、Hのセルジュが生存していることを利用し、セルジュを助けたものが、Aへセルジュを呼び寄せる時を待つ。
その一方で、凍てついた炎の情報を元に、蛇骨大佐と接触、パレポリからの独立を望む彼の心を取り込む。そのまた一方で、パレポリとも組み、蛇骨大佐らがテルミナを離れる時を漏らしている。
古龍の砦で、セルジュの肉体を己のものとすりかえたフェイトは魔物の群れを率いて反乱をおこす。これは、フェイトの人への愛憎とセルジュ、そしてワヅキの精神が混ざり合い、混乱したからだと思われる。セルジュの肉体を手に入れ、クロノポリスへと戻ったフェイトは、凍てついた炎と接触する。つまり、セルジュの肉体を持つことで、フェイト自らがセルジュとして凍てついた炎にリンクしたのだ。 炎の力でプロメテウスの排除を実行することに成功、しかし、本来の姿を取り戻したセルジュにより、フェイトは倒されてしまう。
フェイトのもっとも怖れていたこと—未来に彼が存在することを許されなくなっってしまった。
それが「死」である。
そして結局は、凍てついた炎は他者の手に渡ってしまう。
すべては、シナリオどおりだったと言うのか・・・・星による人への、龍族によるフェイトへの復讐という名の・・・・・・。
この作品はある意味、父と子が互いを傷つけあう残酷せいを持っている。
■キッドの正体
キッドの年齢は16歳になっているが、実際に誕生したのは14年前である。ヒョウ鬼に負わされた傷にうなされて泣くセルジュの泣き声に惹かれ、自らを消去しようとしていた女性—ラヴォスによって時空ゲートに飲まれた魔法王国ジールの王女サラの、分身である。王家に伝わる不思議なペンダントを彼女に託し、自身は時空の彼方へ飲まれてしまう。
この時の大嵐は、サラが時間軸にかかわった為に起こったものである。
あんたの中には、無に帰りたいと言う強い衝動がある—・・・クロノポリスでツクヨミに指摘されたのはキッドではなくサラのことを指している。そして、その後タイムクラッシュの説明をしているのはサラの人格だ。彼女は何故キッドを生み出したのか?いくつかの可能性があるが、ツクヨミのセリフからしても、あくまで善意や好意であった、というわけではなさそうだ。
誕生したキッドはルッカによって拾われる。これは、偶然としてはできすぎている。それ自身は、ガッシュが仕組んだと思われる。サラが持っていたペンダントをキッドに所持させ、なおかつその容貌からキッドとサラのつながりを暗示させ、星の見る夢が終結していない事を知らせている。ルッカもそれに気付いたからこそ、その中にジャキの名前を記している。
A,D2300年の未来において、理の賢者ガッシュは、マザーブレインからフェイト作成と、様々な開発を手がけている。その中で、ガッシュはクロノポリスがタイムクラッシュを起こし、そのため歴史が再び滅びの未来をたどる可能性があることを知ってしまう。
ガッシュはそれを回避する為に、プロジェクト・キッドを考案、人々の前から姿を消し、未来が変わらぬよう奔走する。プロジェクト・キッド—H,A二つの世界の鍵を握るセルジュの生死を別れさせ、二つの世界が違う歴史を歩むようガッシュは仕向ける。セルジュの存在は、Hワールドに死海が存在する意味から考えても、人類にとっても、フェイトにとっても邪魔者である。しかし、この世界は流動的なもので、その後のセルジュの行動によっては大きく変わる世界である。ガッシュはそのため、キッドを使って10年前、セルジュを助けている。ヤマネコによって溺れさせられたセルジュを助けたのはキッドと言うことだ。キッドが浜辺で立っているムービーはこの時のことをセルジュが回想しているのだろう。
当のキッドは、凍てついた炎に触れたときの反応からしても、自分=サラとは受け入れていない。これは当然だろう。いきなり自分の存在が、はるか過去の人間の分身だと言われても、なかなか受け入れることなどできるわけがない。ルッカはいずれそのことを告げるつもりだったのだろうが、その願いは彼女自身も分かっていたとおり、叶うことはなかった。
セルジュも世界の運命のためにその生死を左右されたが、キッドもまた、そうである。セルジュは最後に記憶を失い、Hワールドへ戻される。キッドは10年前に遡り、セルジュを助ける。二人の出会いは必然ではなくなる。エンディングの最後は、このクロスの物語は、こういう形で完結したけど、無限にあるパラレルワールドでは、また違った物語が展開されているかもしれない—ムービーで後ろに立つ少女はそれを表してる。
■ツクヨミの正体
ツクヨミの誕生はキッドと同時期になる。サラが14年前に自分の分身—キッドを生み出したことで、激しい磁気嵐を巻き起こした。それに伴うフェイトの機能の一時停止も伴って、龍神—一万年前にフェイトに敗れ、凍てついた炎によって封印されていたものの一部が溶けてしまったことにより、誕生したのが、ツクヨミである。
人の形を取っているものの、彼女は龍族である。龍ほど大きな役割りを持たず、あくまでエレメント(六龍)を統合する働きをもっていた。人の行いにより、誕生した龍の娘—星とラヴォスの子供として人が存在していたのに対して、彼女は人と龍の間に生まれた子、とも取れる。
凍てついた炎によって封印されている彼女ら龍族にとっても、炎を守っているプロメテウスは邪魔である。そこで、その排除が最優先のヤマネコ(フェイト)とツクヨミは一時的に手を組むことに。
しかし、それに失敗したツクヨミらは、新たな作戦に出る。
しかし、古龍の砦でセルジュの肉体を手に入れたヤマネコには、ツクヨミとはもう手を組む必要はなくなる。フェイトに先を越されそうになったツクヨミは、今度はセルジュを利用する。あくまで、見方のふりをし、セルジュがヤマネコを追いやすいように仕向けている。しかし、ツクヨミはただ、龍族の為に彼らを利用していたわけではないようだ。人と、龍との間にいた自分は、本当はどうするべきなのか。龍とも、人とも取れる自分・・・・セルジュと、ヤマネコ。仲間から去る間際に流す涙・・・・・星の子に語った全て。「お前が一人破滅の坂道を転がり落ちるのは勝手だ、しかし、それにセルジュや他の皆を巻き込むのはやめにしてくれ」——彼らが星の為に戦う姿を見て、彼女なりに考える所があったのだろう。ツクヨミが最後に漏らした本音、これはキッドに向けられたものなのか、それともその奥に潜むセルジュの運命を変えたものにか・・・・。
フェイトが倒れ、仲間がクロノポリスの上空に集まり、ツクヨミに大きな雄たけびを上げ、最後の仕事を急かす。ムービーに映る悲しげな表情のツクヨミ・・・・来るべき彼らとの最終決戦がついに来た。彼女のキッドへのセリフは、暗に六龍を目覚めさせるな、と言っていることにもなる。
しかし、キッドは炎を開放する。ツクヨミは、ある意味闘いたくもない戦いをキッドによって強制させられたとなるのか。ツクヨミは戦うとなれば、己が滅びる道を選び取る性格ではない。最後は、凍てついた炎を持ち去り、上空の兄弟たちと合流した。
■炎に選ばれしもの(調停者)
凍てついた炎を使うことのできる者の総称で、セルジュのことを指す。凍てついた炎を使って炎の生命体(本体)と星の生命二者の争いを(いわゆるラヴォスとヒトないしは龍)調停することが可能になる。炎の力を手に入れることができるため、調停者は強大な力を入手できるが、その力でもって生命同士の調停――――二者の争いを止められなかった場合、自身が争いの中で起こる負の感情と別次元で倒された炎を飲み込み、時喰いとなって世界を破滅に導くことになる。
なお、凍てついた炎=ドリストーンで作られた魔神器やグランドリオンを操れたサラやカエルは調停者に近い存在だったと推測できる。特にサラは時喰いの一部となっているあたり、本物の調停者であったと考えてもいいかもしれない。
■タイムクラッシュ
A・D2400年の未来における、クロノポリスと別次元の同時代にあったディノポリスが起こした事故。反時空転移――つまり過去へのタイムスリップの実験に際して起こったもの。極小のブラックホールを用いて”時の卵”を作り、過去へと物質を滑らせる――事故として扱われるものの、実験は成功したことになる。クロノポリスの職員は建物ごと一万年前の時空へと横滑りした。
それが現在のA神の庭である。ディノポリスが起こしたタイムクラッシュについては、クロノポリスでキッドが(と言うかその奥に潜む人格が)かたるとおり、星の意志により、無理に引き起こされたといってもいいだろう。そして、クロノポリスのタイムクラッシュも、B・C15000年前の文明古代においてクロノ達に倒される可能性を見出したラヴォスがそれを阻止する為に呼び寄せたといってもいい。一万年前のクロノポリスが存在する(ヒトが恐竜人に勝利した)時間軸へとディノポリスは引っ張り出された。
今まで互いの存在を遥か過去に討ち滅ぼしたと思っていたクロノポリス=人間とディノポリス=龍人の両者は、再び大地の覇権を廻って争う。龍人たちの生体マシーン龍神と人の運命を司るフェイト、両者は激しくぶつかり合い、勝利したフェイトは凍てついた炎を使って龍人たちと六龍、そして彼らの居城ディノポリス=(星の塔)を封印した。クロノポリスの人間は未来の記憶をフェイトによって消され、エルニドの原住民となる。
龍神は無念のあまり、時喰いに飲まれてしまった。
■クロノポリス
魔法王国ジールの理の賢者ガッシュがA・D2300年の未来へ飛ばされた先で結成した時間研究所。王女サラが時喰いに飲まれ、さらにセルジュの存在により再び滅びの未来の訪れを察知したガッシュはプロジェクト・キッドを考案、研究所より姿を消して奔走することになる。
ガッシュは同年の滅びの未来に存在したマザーブレインからフェイトを作成、その中にプロメテウスを配置する。表向きは軍事施設とされていたが、中では禁断に等しい時間研究が行われていた。凍てついた炎も、ここに置かれていた。
ここまでして得たいものはなんだったのかは不明。やはり未来や過去へのタイプスリップだったのだろうか。あの時ああしていればよかった、未来がこうなればいい・・・・人間の究極の欲望のひとつだろうが、それを知ることはタイムクラッシュが引き起こされたことから考えても不可能ではなかった、と思われる。
一万年前へと横滑りしたクロノポリスは同時間軸へと飛ばされたディノポリスとの戦いに勝利、ラヴォスが滅びの未来を作る歴史を再び歩むことになる。
■ディノポリス
クロノポリスと同時代の別の時間軸における龍人たちの時間研究所。原始時代において、サル(=猿人類)に勝利した歴史をもち、恐竜人から龍人へと進化した。
その知能や思考は人間とさほど大差はないようで、似た文化を持ち、そして同じように時間を研究するようになる。しかし、人間たちが星との共存を拒否したのに対し、彼らは星(自然)と調和し、それに近い進化を遂げている。それはクロノポリス(神の庭)とディノポリス(星の塔)の構造の違いからも伝わってくる。
クロノポリスがタイムクラッシュによって遥か過去へと飛んでしまったことが星を喰らうラヴォスが原因で、再び滅びの未来をたどることを知った星が、ディノポリスをクロノポリスと同時間軸へと呼び出してしまう。しかし、ディノポリスは敗れ、力を持つ星の塔も六龍も凍てついた炎で封印されてしまう。結果として星は滅びを回避する手段を失うことに。
■神の庭と死海
神の庭(過去と未来が交わる凍てついた炎のありか)――A・D2400年の未来からタイムクラッシュによって一万年前へと横滑りしてきたクロノポリスが存在する場所。龍族がその入り口を封印した為、現在Aワールドから直接入ることは不可能。フェイトの本体もここに存在している。しかし、14年前の嵐の夜に一時その入り口が開き、そこにワヅキとミゲル、そしてセルジュが迷い込んでしまう。
ほんの数分の奇跡か最悪のシナリオか、凍てついた炎が”調停者”を発見してしまう。ワヅキは凍てついた炎に触れさせることにより息子の命を救ったが、凍てついた炎がそのときの衝撃でセルジュ以外のデータを受け付けなくなってしまう。
プロメテウスによるセーフティ・プログラムと己のデータを受け付けなくなったことにより怒り狂ったフェイトはワヅキの精神をのっとることに。また、死の恐怖と年老いていくことへの恐れを感じていたミゲルを虜にし、神の庭に留めることになる。
死海(中では、時間が逆転しているという噂もある)――14年前まではAワールド同様神の庭と呼ばれていた場所。そこで死ぬはずだったセルジュは一命をとりとめ、HとAで違った歴史が流れることになる。死海の凄惨な姿は前作で回避したはずの滅びの未来の姿である。セルジュが死海を訪れた時点では、セルジュが時喰いに飲まれ、ともに世界を滅ぼしてしまうという可能性が高かった為といえる。
コレはそのままセルジュが調停者という証拠にも繋がる。マールディアの鐘のあるリーネ広場ではレナの父であるミゲルが存在する。フェイトがHワールドに直接介入できなくなった為、監視者として留めた――神の庭ではそう語られている。つまり、ミゲルはフェイトそのものとしてHワールドに存在していたことになる。彼が死ぬことのより死海が消滅することもそれを裏付けている。
■凍てついた炎
あらゆる望みを叶える伝説の宝、と信じられている輝石。これはある生命体がの分離した一部である。この物語でキッドが追い求めているものは、A・D2300年の未来で発見され、タイムクラッシュによって一万年前から現在に至るまで封印されていたもので、かけらの中でも巨大で強い力を持つ。その生命体=ラヴォスである。つまり凍てついた炎はラヴォスなのだ。しかし、炎の力を使えるのは炎に選ばれし者=調停者のみ。そのため、炎が使う人間を選ぶように見えるため、意志を持つ石とも言われている。
ここで、前作トリガーに”赤い石”がテーマのイベントがあったはず。赤きナイフ=グランドリオン、それと同じ材質で作られたサラ(マール)のペンダント、魔神器。これらもラヴォスが姿を変えたものである。凍てついた炎そのものではないからか、複数の人間が扱えたわけだが、そのへんはかなりあいまいで真実は不明。いずれにせよ、冒険中では強力な力をもつアイテムとして登場している。グランドリオンが魔剣化したのも、今回の事件とは無関係ではないはず。
■時喰い(時を喰らう者)
次元の彼方に巣食う新種生命体。とある次元軸にて倒された”ラヴォス”が、それと同じ無念をもつ生命を吸収し、新たなる種へと進化した。
生命が発する憎しみや怒り、絶望などの負の感情との融合を続け、それが完全なものとなると時喰いは目覚め、時空そのものを喰らいはじめる。それが始まると止めることはできず、全てが無にかえる。
時喰いが完全となる場合はふたつある。
一つは長き時の流れによるもので、時喰いが次元の彼方に巣食う限り負の感情との融合は永遠に続き、いずれはすべての生命が飲み込まれてしまう。
もう一つは調停者を取り込んだとき。H死海=(滅びの未来)が存在するのは、セルジュが時喰いに取り込まれる未来を暗示している。
AとHでそれぞれ事情が違うの単にセルジュの生死が関係しているのみなのだが、クロノポリスが存在する意味から考えても、A・D2400年の段階では滅びは未だやってきていないようだ。
時喰いには、龍神、六龍、そしてジール王国の王女サラが飲み込まれている。サラが調停者ならとっくに世界は崩壊していてもおかしくない。しかし、サラを助けないこといはベストエンディングは見ることができない。そのことから考えて、調停者でなくとも、それに近い、時喰いにおおきな影響を与える存在であった、と考える。クロノクロス(=星のメロディ)で彼女の深い憎しみと絶望を癒すと、時喰いそのものを消滅させることができるのは、このためなのかも知れない。