クロノスタシスとはふと時計を見ると、秒針が一秒以上遅く進むような現象を指す言葉。
Chronostasis(クロノスタシス、あるいはクロノステイシス)の仕組みをわかりやすく解説!
クロノスタシス本当の意味・仕組みをわかりやすく!
しばらく目を隠して急に時計を見ると、一瞬秒針が止まったように感じるのは錯覚の一種で、「クロノスタシス」と呼ばれています。
物を見ている時、目は一時も止まることなく短時間に視点を動かしています。
この動きをサッカードというのです。
視力や色を見分ける能力は、目の中心部分が最も良いのですが、このサッカードにより中心部で視野に存在する多くの物を見ることができます。
しかしこのサッカードには一定の時間(0.1秒前後)がかかってしまいます。
そして、視野が目まぐるしく移り変わっていくのですが、私たちは普段それを感じることがありません。
サッカードの間も視覚情報が送られてくるのですが、脳はその情報を無視します。
(もし無視しないと、視野が安定せず正確に物を見れません)
すると、視覚が連続的ではなく隙間だらけになってしまいます。
脳はこの隙間の後に着た情報を利用して時間を遡ってその隙間を埋めるので、視覚の滑らかな時間を感じることができるのです。
秒針が動いた直後に、そこに目が止まると上で説明たように視野が動いた瞬間の情報(秒針が動いている瞬間と重なる時)を無視し、その後の秒針が止まっている情報で時間を遡ってその隙間(秒針が動いていた間)を埋めるので、いつもより長い間秒針が止まっているように感じるのです。
これがクロノスタシスと呼ばれる現象のメカニズムなのですが、視覚だけでなく聴覚や触覚でも起こる場合もあるそうです。
引用:https://nouai.blog.fc2.com/
眼球運動には、反射と随意運動があるが、前者の例として前庭動眼反射と視機性眼球反応、後者の例としてサッケード眼球運動と滑動性追跡眼球がある。
・反射
前庭動眼反射は、頭の動きを補償する姿勢保持の反射である(本を読んでいる時に頭を動かしても、この反射により字を読めるが、本を動かすとそうはいかない)。視機性眼球反応は、動物をとりまく外界の大きな動きに対して生じる姿勢保持の眼球運動である。前庭動眼反射と視機性眼球反応は、前庭核と小脳の神経回路を共有する。
・随意運動
滑動性追跡眼球とは、ゆっくり動く視標を網膜の中心窩で捉え注視する運動で、霊長類で特異的に見られる。サッケード眼球運動は、視野の周辺部に提示された視標を、ステップ状の速い眼の動きによって捉える眼球運動である。サッケード眼球運動は、ネコやサル、ヒトによく発達している(げっ歯類では眼よりも頭の運動を用いる)。遠くに見える動くものを注視しようとするとき、まずサッケード眼球運動が生じて視標を中心窩の近くにもっていき、さらに滑動性眼球運動を用いて、視標を中心窩で捉える。サッケード眼球運動の制御には、脳幹、上丘、小脳と前頭眼野が関与する。
詳しくは、
認識と行動の脳科学 (シリーズ脳科学)
サッケードには一回ごとに必ず一定の時間が必要になるが、視界があちこちに絶えず移動するということも、目の前が真っ暗になって何も見えなくなるということもない。
このサッケードの影響を消すために、脳は目の動いている間に送られる視覚情報を無視している。つまり、情報のない隙間ができるわけだが、脳はこの隙間を、後から時間を遡って埋める。隙間を埋めるには、目の動きが止まってから得られた情報を利用する。
例えば視点を大きく移した後に目を時計に止めると、秒針がいつもより長い時間をかけて動くように見えるといった現象である。これは錯視の一種で「クロノスタシス」と呼ばれている。
クロノスタシスは、長い間視覚だけの現象と考えられてきたが、聴覚でも触覚でも確認された。