塩化ナトリウムと濃硫酸の反応式は不揮発性?なぜ加熱?

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塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱すると硫酸水素ナトリウムになるのはなぜ?

塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱すると塩化水素が発生する反応で、硫酸ナトリウムにならず、

2NaCl+H2SO4→2HCl+Na2SO4(誤)

ではなく、

NaCl+H2SO4→2HCl+NaHSO4(正)

となるのは、なぜなんでしょうか?

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塩化ナトリウムと濃硫酸の反応式は不揮発性?なぜ加熱?

塩化ナトリウムに濃硫酸を加えると塩化水素が遊離する反応は硫酸の不揮発性によるものです。

まず、塩酸が揮発性であり、不揮発性の酸を揮発性の酸の塩に加えると、揮発性の酸が遊離するからです。

不揮発性の硫酸を塩化ナトリウムに加えると、以下の反応式のように塩化水素が生じます。

NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl

硫酸は二価の酸なので二段階で電離しますよね。

H2SO4→H+ + HSO4- …①

HSO4+→H+ + SO4~2- …②

硫酸は強酸なので水溶液中でほとんどが電離していますが②と①を比べると①の電離度の方が大きいです。

次に、弱酸遊離の反応は弱酸HAの塩XAに強酸をHBを入れると以下の反応が起こりますよね。

XA + HB→XB + HA (Xは一価の陽イオン)

これはHBとHAの酸の強さを見るとHB>HAだから起こります。
少し別の視点で見るならHBの電離度がHAよりも大きいから起こります。

塩酸よりも硫酸の方が強い酸だから塩化水素が発生する反応が起こります。

なぜこうなるかというと硫酸の二段回目の電離(②)が塩酸の電離度よりも小さいため②では弱酸遊離の反応を起こすことができないからです。

そのため、塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて加熱した時の反応式は

NaCl + H2SO4→NaHSO4 + HCl

となります。

高校化学の問題で濃硫酸と塩化ナトリウムが反応してどうして塩化水素が発生する理由は不揮発性と習いますが、実際には弱酸遊離の反応によって発生しています。

希硫酸に塩化ナトリウムを加えて加熱すると硫酸が不揮発性の酸なので

H2SO4 + 2NaCl→Na2SO4 + 2HCl

の反応が起こります。

同様にNaHSO?の水溶液にNaClを加えて加熱を行うと②の電離度は塩酸よりも小さいですが不揮発性によって

NaHSO4 + NaCl→Na2SO4 + HCl

の反応が起こります。

酸としての強さは

H2SO4(第一電離)>HCl>HNO3>HSO4->HF

硫酸の第一電離はHFより強いので、硫酸はH+とHSO4-になることでF-にH+を与えることが出来ます。

さらに、硫酸の第二電離もHFより強いので、硫酸水素イオンはF-にH+を渡してSO42-になることが出来ます。

HSO4-は自分より酸として弱いHFの陰イオンにはH+を渡せるわけです
(H2SO4とHFだったらH2SO4の方がH+を押しつける力が強いので、H2SO4とF-があるときHSO4-とHFになる。さらに、HSO4-とHFだったらHSO4-の方がH+を押しつける力が強いので、HSO4-はF-にH+を渡してSO42-になる)。

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