映画「華麗なるギャツビー」でデイジーは悪女なんでしょうか?デイジーのその後は?
華麗なるギャツビーは実話?
映画「華麗なるギャツビー」は実話ではなくフィッツジェラルドの小説が原作でフィクションです。
ただ完全なるフィクションではなく実話をかなりモチーフとしています。
フィッツジェラルドの妻はフランス海軍のジョーザンと浮気し原作者のフィッツジェラルドがデイジーの夫のトムの立場です。
ギャッツビーのヤクザの親分のウルフシャイムは実在のヤクザのアーノルド・ロススタインがモデルとされています。
大リーグの八百長は実話で、実在のロススタインがホワイトソックスの選手を買収しています。
ギャッツビーが殺されたのも実は背後でヤクザの親分のウルフシャイムが動いていたようです。
華麗なるギャツビーでデイジーは悪女?その後は?
映画「華麗なるギャツビー」についてです。
最後ギャツビーが打たれるシーンでニックから電話がかかってくると、執事はなぜデイジーからの電話ではないのに「ギャツビー様がお喜びになると思います」と言っています。
これはデイジーからの電話と思わせるミスリードでしょう。
電話の相手はニックなのですが、執事が「お喜びになります」というのは執事が思わず漏らした「優しさ」です。
執事は破滅しつつあるギャッツビーをとても心配しています。
執事は「私用」電話がかかってくるとはギャッツビーから言われて知っていても、待ってる相手が「誰か」までは知りません。ここがポイントです。「私用・・・ですか?」と訝しげな感じで聞いてますよね。
そこにギャッツビーのただ一人と言っても良い友人、しかもさっきまで一緒に居たニックがギャッツビーを心配してご機嫌伺いの電話をすぐしてきたので、ただ「お喜びになります」と率直な気持ちを気持ちを漏らしたんです。
明らかにギャッツビーが待っていた「私用」の電話ですからね(実際はニックではなくデイジーですが)、「ギャッツビーちゃんに友達から電話がきたよ良かった!」という親心に近いでしょう。
余談ですが私はデイジーもギャッツビーに電話したんではないでしょうか。ただ、ニックが先にかけたので繋がらずに切ったのではないかと思われます。
或いはデイジーの電話はギャッツビーにではなく旦那にギャッツビーを捨ててバックレる決心の電話だったかも、の二通りの解釈ができるかと思います。
ギャツビーが人生をかけて追い求めたデイジーの実体は、ギャツビーの崇高な理想も知ろうとはせず、自ら犯した罪に目をそむけて済まそうとする、取るに足りないような女性で、それがギャツビーの悲劇を際立たせています。
デイジー視点で、時間の経過を追うと、
事故を起こして激しく動揺する→ギャツビーが「君のせいではない、避けきれない事故だった。(僕に任せてくれ。2人で一緒に暮らそう。)」と庇う。
→愛人を失ったトムがデイジーに「(今度こそ)大切にする。」と優しく声をかける。(事故で亡くなったのが自らの愛人だとは告げていない)
→デイジーの不幸せな感情は新婚間もなくから始まったトムの浮気から起こっていたことなので、トムが振り向いてくれたことでデイジーの気持ちは和らぐ。2人は手を合わせる。
→翌朝、デイジーがギャツビーに断りの電話を入れようか迷い、結局電話することなく終える。
という流れだったと思います。
この時までは、デイジーもギャツビーに対して申し訳なさがあったとは思うのですが・・・。ギャツビーの死後、スクリーンの描写では、旅支度をしているブキャナン一家の様子が映るのみでした。
トムが愛人の夫に車の持ち主がギャツビーであることを吹き込んだことで取り返しのつかない事件が起こり、マスコミが格好の醜聞事件として報道され、ギャツビーは愛人の夫に復讐されたことになっていました。
事故で亡くなった女性がギャツビーの愛人だったと、デイジーも信じてしまったのかもしれません。亡くなってしまったギャツビーには否定することもできないのですから・・・。
事故を起こす直前の出来事、プラザホテルで激昂して素顔を見せたギャツビーの姿にデイジーは強いショックを覚えています。
あの様子では、たとえ事故が起きなかったと仮定しても、デイジーがギャツビーを選ぶことはなかったと思います。
以上のことで葬儀があることはわかっていましたが、出るつもりはありませんでした。
映画のシーンでは、使用人がニックからの電話を丁寧に断る様子を見て、デイジーがほっと安堵したように頷いているように見えました。
映画はニック視点からギャツビーを描いています。ニックは報われることがなかった、哀れなギャツビーの死を悼んでいますが、一方で、 ただ過去を取り戻すことのみに固執していたギャツビーの危うさもあぶり出しています。
ギャツビーが愛していた女性は、現在のデイジーではなく、過去のデイジーであり、若い時に憧れていた手の届かない上流社会の象徴としてのデイジーだったのですから。