キンバリーは2歳の頃から白血病と診断され、その治療中には重犯罪の囚人が多く収監されているミズーリ州イースタン刑務所とのかかわりがありました。
キンバリー(白血病)とマイク(終身刑の囚人)の現在は?#仰天ニュース
舞台は1984年、アメリカ国内で最も重犯罪者が多く収容されている、ミズーリ州イースタン刑務所。
刑務所内のみで発行されている新聞に、ある少女の記事が掲載され、囚人たちによる大きな活動の輪が広がった…。
キンバリーは2歳の時に急性リンパ性白血と診断された少女。
一度は抗がん剤治療の甲斐あって元気になったものの、6歳の時に再発し、以後入退院を繰り返していた。
余命数年と医者に宣告されたキンバリーでしたが大病を患っているとは思えないほど明るく優しい子で、娘を思う両親は、奇跡を信じて周りからの募金でどうにか治療を続けていた。
ただ、保険のきかない医療費に充てる借金は増え続けていった。
その事情を知った夫婦の友人でイースタン刑務所の看守が、囚人にその話をしたところ、新聞作成係りの一人の囚人が面白半分で記事とした。
それを読んだ終身刑の殺人犯マイク・レンザが「キンバリー募金」を言い出した。
マイク・レンザリーダー格として赤の他人のタメに『良い事』をすれば模範囚扱いを受け少しでも刑が軽くなる。と考えたのだ。
他の囚人たちをあの手この手でまとめ上げ、あわよくば脱獄さえ考えている男だった。
収容人員300人を超える刑務所なので多額の募金がすぐ集まると目論んだのだ。
額が額なら脱獄した後の資金にもするつもりだった。
だがいくら人間がいると言っても「囚人」である。
死刑制度のないミズーリ州の刑務所で、ほとんどが終身刑を言い渡された夢も希望もない囚人たち
月に貰えるお金は刑務所内の作業で得るわずかな給料。
そんなお金を見ず知らずの人間のタメに出すお人よしの囚人はいなかった。
お金の集まらないマイク達はしかたなく自分たちの給料から僅かなお金を送った。
マイク達も計画を諦めこれでおしまいにしてしまおうとする。
数日後キンバリーの元に囚人達の募金が届けられた。
感激したキンバリーは
お礼がしたい。
直接お礼が言いたい!
と両親に言い出す。
両親は囚人からの募金だと知っているため犯罪者に会わせる事を躊躇する。
だが薬の副作用で髪の毛がなくなり塞ぎこんでいた娘が久しぶりに見せた笑顔に両親は囚人達に会わせる事を決める。
刑務所所長も迷ったが承諾する。
訪問にやってくると聞いたマイクたちは、また募金を始めなければならない面倒くさい事になる。と拒否する。
それでも訪問に来ると聞いたマイク達はキンバリーに対面する直前に
「怖がらせてやろう」
「いじめてやろう」
等と冗談で笑いながら、少し脅そうと考えていた。
そしてキンバリーがやって来た。
言葉を失う囚人達。
キンバリー本人と対面した囚人達は、その症状の重さや現在の状態を悟り冗談など言えず、言葉を失う
たとえ小さな子供といえど
『明日も』ではなく『今日を今を』生きる者の本気の気力の前に圧倒され生きる事の戦いから真っ向から挑むものへ、ある意味生きる事から逃げた(囚人達が)人間が冗談等でその場の空気をごまかせる訳がなかった。
そしてキンバリーの口から予想外の言葉を聞く。。。
友達に・・・なってください
その言葉にマイクたちの中で何かが変わる。
病気のために余り外に出れなかったキンバリーには友達がいなかった。
人との関わりも無かったキンバリーには犯罪者なんて関係無かった。
人の命を奪った者、暴力で傷つけた者たちが、改めて『命の重さ』を痛感し『彼女を助けてやりたい』とさえ願うようになった。
キンバリーの為に、何か出来ないかと『本気』で動く囚人達。
マイクを筆頭に囚人たちは、刑務所内の作業で得たわずかな給料からもう一度募金を始めた。
人の命を奪った者、暴力で傷つけた者たちが、改めて命の重さを痛感し「彼女を助けてやりたい」とさえ願うようになった。
今度は自分達の欲のためでは無くキンバリーのために。
夢も希望もない終身刑の囚人達に大きな夢ができたのである。
募金の輪は広がり、集まった募金はキンバリーの治療費に充てられた
キンバリーは調子が良い日には刑務所にやって来て囚人たちと遊んだ。そのたびに笑顔を見せていた。
囚人たち約300人全員もいつの間にかキンバリーが来るのを心待ちにしていた。
キンバリーのために手紙を書いたり。
バンド演奏したり。
手作りのプレゼントを用意する等
キンバリーは囚人たちに『生きる希望』も与えた。
弱々しくも明るく笑う小さなキンバリーが、刑務所を訪れた日から何かが変った。
そして余命を宣告されていたキンバリーの最後の手術の日がやって来る。
成功率は奇跡に近い。。。
キンバリー自身も分かっている最後の手術。
キンバリーは病院に行く時は車で刑務所の前を(友達の前を)通りたい、皆から勇気を貰いたいと両親に訴える。
刑務所前を通ると聞いた囚人たちマイクは外に出れない俺達にも何か出来ないかと考える。
そしてキンバリーを乗せた両親の車が来た時、刑務所の中から外に聞こえるほどのキンバリーを応援する歌声が聞こえてくる。
そして殺風景だった刑務所の外壁には
キンバリー愛してるよ
と書かれた横断幕。
その活動の中心だったマイクは、それまでの態度を180度変え、模範囚となり、看守の信頼を得るようになりました。
終身刑を言い渡されていたマイクは15年で仮釈放となり、彼女に恥じない人生を歩もうと努力し、今では家庭を持って幸せに暮らしているそうです。
現在ではコロンビア大で生徒達に社会学を教えているとのこと。
キンバリーは無事に大人に成長し、元気に過ごしているそうです。
他人を思いやることで得るものがある
終身刑の殺人犯マイク・レンザの言葉。