人間失格の冒頭文・書き出しの意味|恥の多い生涯を送って来ました。

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太宰治の人間失格の冒頭文「恥の多い生涯を送って来ました。」の意味は?

『人間失格』には、最初の一行の書き出しが

「はしがき」私は、その男の写真を三葉、見たことがある。

「第一の手記」恥の多い生涯を送って来ました。

のふたつありますが「恥の多い生涯を送って来ました。」の意味は?

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人間失格の冒頭文・書き出しの意味|恥の多い生涯を送って来ました。

太宰治の「人間失格」の冒頭文「恥の多い生涯を送って来ました。」の意味は、主人公の葉蔵が自分の人生において、多くのことに恥じていることを表現しています。

この文の中で「恥」という言葉は、主人公の生き方や選択に対する罪悪感や後悔を指します。太宰治の作品は、登場人物が社会の規範から外れたり、道徳的に疑わしい行動をとったりすることが多いため、このような言葉が使われることがあります。

この「恥の多い生涯」とは、葉蔵が自分の生活で「不道徳」とされることや、他の人から見て恥ずべき行為をしたことに対する自己評価を表現しています。葉蔵は他人との関係や社会での生き方において、自分を偽り、不道徳な行動をしてしまったことを後悔し、恥じているのです。

この文からも、葉蔵が自己評価においては自己嫌悪的で、自己評価が低いことが窺えます。太宰治の作品では、登場人物の葛藤や精神的な苦悩がテーマとされることが多く、この冒頭文もその一例です。

人間失格のあらすじ

作り笑いが薄気味な少年時代は、他人との繋がりが信じられず人と会話が出来ないと思い「道化」としておどけた人物を演じていていく。

中学に入ったころ、その芝居を見抜いた「竹一」という同級生と親交を深めていき秘密がばれるのを阻止しようとする日々を過ごしていた。

その後、

「お前は女に惚れられる」
「有名な画家になる」

という竹一の言葉を抱えて、高等学校に入学するが、今度は「堀木」という与太者に導かれて、左翼運動に参加するようになってしまう。

だが葉蔵には彼らの思想を理解することが出来なかった。

やがて、運命の女性「ツネ子」と出会い、鎌倉の海に飛び込むことになる。

しかし自分だけが助かり生き残ってしまい、自殺幇助罪に問われるが、父親と取引のある男が引受人となり釈放される。

しかし混乱した精神状態が続く。

その後、葉蔵は父の知人「ヒラメ」の世話になり「ヨシ子」と出会い、その処女性に魅かれて結婚する。

このことにより、だんだん人間らしくなっていく自分を感じ幸せな日々が続くが、ある日、ヨシ子が出入りの商人に犯せるところを目撃してしまう。

失意のあまり葉蔵は睡眠薬で自殺をはかるが失敗する。

その後は体も衰弱するが、それでも、酒と女におぼれ、ある雪の晩についに吐血する。

薬を求めて入った薬局で処方されたモルヒネを使うと急激に回復しため、その味を占め幾度か使ううちに、モルヒネ中毒にかかる。

やがてヒラメと堀木に病院に行こうといわれ、脳病院に連れていかれる。

ついに「人間失格」の烙印を押され絶望する。

まとめ:人間失格の冒頭文・書き出しの意味|恥の多い生涯を送って来ました。

太宰治の「人間失格」の冒頭文「恥の多い生涯を送って来ました。」は、主人公の葉蔵が自分の人生を振り返って、たくさんの恥ずかしいことをしてきたと感じている言葉です。

「恥ずかしい」とは、人前で失敗したり、人から嫌われたりするようなことをしたときに感じる気持ちです。葉蔵は、自分の人生を振り返って、たくさんの恥ずかしいことをしてきたと感じています。

具体的には、

  • 他人に好かれたいという気持ちから、自分を偽ったりゴマを擦ったりしたこと
  • 恋愛で失敗したり、自殺を試みたりしたこと
  • 不道徳な行為をしたこと

などのことを恥ずかしいと感じているようです。

なぜ葉蔵は自分の人生を恥ずかしいと感じているのか?

それは、葉蔵が「真実の自分」と「偽りの自分」の間で葛藤しているからです。葉蔵は、本当は自分の弱さや醜さを受け入れたいと思っています。しかし、他人に受け入れられたい気持ちから、自分を偽ったりゴマを擦ったりして、本当の自分を隠してきました。

その結果、葉蔵は自分の人生に「嘘」が溢れてしまい、自分自身を恥ずかしいと感じるようになったのです。

「恥」は、葉蔵が自分の人生を見つめ直すきっかけになりました。

葉蔵は、自分の人生を恥ずかしいと感じることで、自分の弱さや醜さを受け入れることができました。そして、本当の自分を生きるために、自分を変えようと決心します。

「人間失格」は、葉蔵の「恥」を描いた作品ですが、それは同時に、葉蔵の成長を描いた作品でもあるのです。

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