樋田淳也は富田林警察署を脱走したことで指名手配をされた容疑者。
しかし逮捕直前まで自転車で日本一周に挑戦していたという前代未聞の逃避行で話題となった樋田淳也の現在は?
樋田淳也が富田林警察署を脱走する経緯
〈懲役17年が確定〉警察署から48日逃走男・樋田淳也は刑務所仲間に「捕まらんから」と豪語していた
2018年、拘留中だった樋田淳也被告が大阪府警富田林署から逃走し、窃盗を繰り返していた事件。最高裁判所は3月28日、「社会に不安を与え、逃亡中にも罪を重ねた」と、上告を退け懲役17年の判決を言い渡した。
強制わいせつ、強盗傷害をはじめ、併せて21もの罪に問われていた樋田淳也被告。逃走中は「日本各地を走り抜けます」などと語り、逮捕後もほとんどの事件で無罪を主張していたという。一体どのような人物だったのか。逃走中の大胆不敵な行動を報じた「 週刊文春 」の記事を公開する。(初出:週刊文春 2018年10月11日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
https://news.yahoo.co.jp/articles/91e121257a81600f7ae6e8b40936887064fb35d7
樋田淳也は強制性交や強盗致傷容疑で逮捕されると富田林署に取り調べのために拘留されます。
30年8月12日夜に弁護士との接見のため面会室に入ると、その約2時間が経過。
署員が室内の様子をうかがうと、面会室の仕切り板がこじ開けられ、樋田淳也が脱走していたことが発覚します。
全国に指名手配して樋田淳也の行方を追もなかなか足取りをつかめずにいた中、「桜井潤弥」という偽名を名乗りなんと大阪市羽曳野市で盗んだ白いスポーツタイプの自転車で日本一周旅行者を装っていたのでした。
関西から中国・四国地方へ移動する途中では写真撮影に応じていたほか、同じく自転車で日本一周旅行中の男性(44)と行動を共にしていました。
樋田淳也が逮捕されるきっかけとなったのは山口県周南市の道の駅「ソレーネ周南」での窃盗容疑、つまり万引で現行犯逮捕されたことから。
49日も及ぶ逃走生活で樋田淳也の風貌は丸刈りで真っ黒に日焼けし、手配写真とは別人のようになっていました。
樋田淳也の自転車には
「行くぞ! 日本一周 お助けお願いします」
というプラカードも掲げられていました。
樋田淳也の現在|富田林警察署を脱走
樋田淳也と知り合った男性は逃走事件については知っていたが、一緒にいたのが樋田容疑者本人とは気づいておらず、捜査関係者から事実を知らされると驚いていたという。
樋田淳也とは愛媛県内の道の駅で意気投合すると、その後は逮捕される道の駅にも同行していたそうです。
当時は外で「服を乾かしていた」そうで、樋田淳也容疑者が店内から戻ってこないことから、いったん現場を離れていたという。
樋田淳也の足取りをたどると、関西を脱出すると淡路島に移動し島内を一周。
広島県尾道市から離島を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」を通って四国入りすると、愛媛県庁の自転車新文化推進課を訪問。
「お薦めのルートはありますか」と尋ねて地図をもらい、さらに職員に要請して「日本一周中」と印刷したプレートを作ってもらっていた。
道の駅「風早の郷 風和里(かざはやのさと ふわり)」に立ち寄り、さらに自転車ショップでは「仕事を辞めて日本一周している。これから四国を一周する」と話し、多くの荷物が積めるよう荷台設置を依頼したそうです。
樋田淳也の裁判では弁護側は逃走は認めた一方、仕切り板を壊したのは樋田淳也被告ではなく、第三者だと説明。
器具を壊すなどして逃走した場合に適用される「加重逃走罪」(法定刑は3カ月以上5年以下の懲役)ではなく、「単純逃走罪」(法定刑は1年以下の懲役)にとどまると主張していました。
事件があった8月12日午後8時頃、留置管理業務を担当する42歳の男性巡査部長が、持ち込みが禁止されているスマートフォンでアダルト動画を約40分閲覧。騒ぎに全く気が付かず、脱走を許したというのだ。
さらに、この巡査部長は逃走当初から「アダルト動画を閲覧していた」と報告していたが、富田林署は体裁が悪かったのか、府警が「野球のニュースを見ていた」などと説明していた。
https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_42686/
弁護側は一審判決の懲役17年を不服として控訴しますが、大阪高裁の長井秀典裁判長は2020年7月に一審判決を支持し被告の控訴を棄却、加重逃走罪を適用して懲役17年の実刑判決を言い渡しています。
大阪高裁は「警察署の面会室は部外者の立ち入りが許されず、知らない人物がなぜ逃走を助けるのか、およそ想定できない」と判断しています。