星新一さんの「処刑」の基本的なあらすじ・結末は?
主人公の妄想の中で銀の玉が女性のように話しかけていましたが、どういう意味なんでしょうか?
星新一 処刑 あらすじネタバレ
星新一さんの「処刑」ある罪人が主人公の、未来の話です。
その時代において、罪人は、別の星に送られ、そこで死ぬまで放置されます(島流しならぬ星流し)。
ただし、「銀の玉」だけ渡されます。この玉のボタンを押すと、水が出てきます。
罪人はこの水を飲んで少しでも長く生きようとするわけです。
しかし、ボタンをある回数押すと、爆発して一瞬で死んでしまいます。
何回目に爆発するかは分かりません。
1回目かもしれませんし、1億回目かもしれません。
主人公は火星で生き残るための水を得るために、死ぬかもしれないという恐怖におびえながらもボタンを押す、という決断を繰り返し迫られます。
それから逃れようと、いろいろとあがきますが、うまくいきません。
そのために精神的に追い詰められていきます。
しかし、彼は、現在の状況が今までの日常と本質的に変わりないということに気づきます。
日常においても、生きていくために様々な決断を迫られ、場合によっては、それが破滅に直結することもあります。
また、どのようにがんばっても、死は確実に訪れます。
「銀の球体」というわかりやすい形になっているので、この処刑方法は恐怖を呼びますが、結局は今までの日常と変わる物ではありません。
(逆に言えば、読者の立場も、この主人公と同じ、ということになります。)
そのことに思い至った主人公は、心の平穏をえて、ボタンを押し続けることになります。
星新一 処刑 意味を考察
星新一さんの「処刑」はv人間の生と死というものを鉄球・水・風呂おけという3つの物に集約させて比喩的に描いています。
主人公が、ボタンを押すか押さないか葛藤し、やっとの思いで水を飲んでいく。
そのさまを我々は心配して観察していく。
次第に我々は主人公を自分のことのように思っていく。
いつでも死ぬ可能性があるのは地上でも火星でも同じ。
主人公はそれに気付いて、それなら怖がるのは無意味だ、地上だろうとここだろうと、どうせ死ぬときは死ぬんだから、と、最後はボタンを押し続け、風呂が溜まるくらい水を出し続ける、というオチです。
最後に、我々と主人公が、一緒に「生きるということ」を悟るという『処刑』の伝えたいことは「生きるということ」を教えてくれる点でしょう。