鴨長明の方丈記「ゆく川の流れ」で対句に関する問題が出題されることがあります。
「あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日にかれぬ。」の「露落ちて」に対応する対句が「花しぼみて」なんでしょうか?
方丈記 ゆく川の流れ 対句は露落ちて?
方丈記(ほうじょうき)の作者は鴨長明で鎌倉時代初期に書かれた随筆
「露落ちて」に対応する対句については、
「あるいは露落ちて花残れり。(或は/露おちて/花のこれり。)」
「あるいは花はしぼみて露なほ消えず。(或は/花はしぼみて/露なほ消えず)」
「花しぼみて」と「対句」になっていることが分かります。
対応する語句は、
或は:或は
露落ちて:花はしぼみて
花のこれり:露なほ消えず
こうなるので、「露落ちて」に「対応」するのは、「花(は)しぼみて」。
まとめ:方丈記 ゆく川の流れ 比喩表現・対句は?
方丈記で「ゆく川の流れ」の
あるいは
①露落ちて花残れり。②残るといへども朝日に枯れぬ。
あるいは
①”花しぼみて露なほ消えず。②”消えずといへども夕べを待つことなし。
といった感じで、「あるいは」を挟む形で①と①”、②と②”が対となるセンテンスになります。
露がおちる、花は残る
花がしぼむ、露が残る
なので「花残れり」に対しては「露なほ消えず」が対句です。
■対句表現
○人と:住家と
○棟を竝べ:甍を爭へる、
○去年焼けて:今年作れり
○朝に死し:夕べに生るゝ
○露落ちて:花残れり
○花萎みて:露なほ消えず【以上、対になっているのが見えますか?】
露と花の例えについて、「花」は『家(栖(すみか))』、「露」は『そこに住む人(主)』を表しているとみられます。
■比喩表現
○川の流れ→住居
淀みに浮ぶ うたかた→この世にいる人
【川の流れは一瞬たりとも同じでない。この世の家もそこに住む人も入れ替わっている】
○朝顔の花→住家
朝顔の露→この世にいる人
世の中の家も人も無常である様子は【朝顔と露の関係と同じ】。
参考:方丈記 ゆく川の流れ 練習問題
①瓦を争へる [る]を文法的に説明せよ。
またこれと同じ文法を持つ働きものをア~ウから選べ。ア 似た[り]ける イ 死ぬ[る] ウ 花残れ[り]
以下のものを文法的に説明せよ。
②世々を経て尽きせぬものなれど [経て]と[ぬ]と[なれど]
③もとの水にあらず [に]
④淀みに浮かぶ [に]
⑤明日に死に 2つの[に]
⑥明日に枯れぬ [に]
⑦甍を争へる [争へる]
⑧今年作れり [作れり]
⑨花残れり [残れり]
⑩まことかろ尋ぬれば [塗れば]
⑪残るといへども [いへども]
⑫昔ありし家 [ありし]
⑬いにしへ見し人は [見し]
⑭水の泡にぞ似たりける [ぞ似たりける]
⑮いづ方へか去る [か去る]
⑯何によりてか目を喜ばしむる [か]と[喜ばしむる]
⑰大家滅びて小家となる [なる]
⑱わづかに一人二人 [なり]
引用:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1363054458
①瓦を争へる
[る]=「存続」の助動詞「り」の連体形
同じもの= ウ 花残れ[り]
②世々を経て尽きせぬものなれど [経て]と[ぬ]と[なれど]
[経て]=下二段動詞「経(ふ)」の連用形+接続助詞「て」
[ぬ]=打消の助動詞「ず」の連体形
[なれど]=断定の助動詞「なり」の已然形+接続助詞「ど」
③もとの水にあらず
[に]=断定の助動詞「なり」の連用形
④淀みに浮かぶ
[に]=格助詞
⑤明日に死に
「明日に」の[に]=格助詞
「死に」の[に]=ナ変動詞「死ぬ」の連用形活用語尾
⑥明日に枯れぬ
[に]=格助詞
⑦甍を争へる
[争へる]=四段動詞「争ふ」の已然形+存続の助動詞「り」の連体形
⑧今年作れり
[作れり]=四段動詞「作る」の已然形+存続の助動詞「り」の終止形
⑨花残れり
[残れり]=四段動詞「残る」の已然形+存続の助動詞「り」の終止形
⑩まことかろ尋ぬれば
[ぬれば]=下二段動詞「尋ぬ」の已然形活用語尾+接続助詞「ば」
⑪残るといへども
[いへども]=四段動詞「いふ」の已然形+接続助詞「ども」
⑫昔ありし家
[ありし]=ラ変動詞「あり」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形
⑬いにしへ見し人は
[見し]=上一段動詞「見る」の連用形+過去の助動詞「き」の連体形
⑭水の泡にぞ似たりける
[ぞ似たりける]=係助詞{ぞ」+上一段動詞「似る」の連用形+存続の助動詞「たり」の連用形+過去の助動詞「けり」の連体形
⑮いづ方へか去る
[か去る]=係助詞「か」+四段動詞「去る」の連体形
⑯何によりてか目を喜ばしむる
[か]=係助詞
[喜ばしむる]=四段動詞「喜ぶ」の未然形+使役の助動詞「しむ」の連体形
⑰大家滅びて小家となる
[なる]=四段動詞「なる」の終止形
⑱わづかに一人二人なり
[なり]=断定の助動詞「なり」の終止形