『異人館村殺人事件』は、『金田一少年の事件簿』での事件の1つ。
金田一少年の事件簿の数あるエピソードの中でも占星術殺人事件のトリックをメイントリックとして使ったストーリーで根強い人気があります。
異人館村殺人事件 原作は何話?金田一少年の事件簿
『異人館村殺人事件』は、『金田一少年の事件簿』での事件の1つであり、かつて金田一少年が解決した事件のうちの一件。
単行本の第2巻と第3巻に収録。全11話。
テレビドラマでは第1シーズン第1話として1995年7月15日に放送された。
登場する怪人は「七人目のミイラ」。
この事件中のとあるトリックが、島田荘司先生の推理小説「占星術殺人事件」のメイントリックをそのまま流用していた為、大変な騒ぎになった。
と、云うのも「占星術殺人事件」は島田先生のデビュー作にして御手洗潔シリーズの第一作、加えて「本格ミステリ」復活の礎となった作品で、先生自身「類を見ないトリック」と称するなど、日本ミステリ界の金字塔と呼ばれる、付加価値が非常に大きい作品だったため。
_担当仕事しろ!…と言いたいトコだが本作の担当はマガジンきってのオマージュキングと名高い『あの』キバヤシ(後の天樹征丸)である。早い話が担当による確信犯。故に仕方ない。
その後島田先生本人からトリック使用の快諾を得たが、ドラマ版は欠番となってしまった。勿論、アニメ化もされなかった。
異人館村殺人事件あらすじネタバレ!金田一少年の事件簿
原作では犯人はもちろん、(初登場の)俵田刑事を除くすべてのゲストキャラ全員が死亡(一も銃撃され死にかける)というすさまじい話です。最多となる9人の被害者に、過去の牧師夫妻+7人の娘+本物の小田切先生+六星本人も入れると、この事件に関わった人間が20人も命を落とすことになります。
■原作、ドラマの相違点
・六角村を十文字村に変更。それに伴い、村の形は十字架に、洋館の数、ミイラの数は4つに変更。怪人名も「五人目のミイラ」に変更。
・連城がキャラから消され(名前だけ出てくる)、若葉の父親が連城のような覆面(袋?)を被っている。27年前に教会を放火した際の火傷を隠す、という後付け設定。
・危ないお婆さんさんだった草薙光子が、高飛車なおばさんキャラ冬木光子に変更
・秘密裏に製造しているものが、大麻→ヘロインに変更
・若葉が自主的に故郷に戻る流れではなく、授業中に突然若葉が拉致されるシーンに変更
・六星親子の名字を神崎に変更。
・俵田孝太郎、一色寅男、五搭蘭は登場しない。剣持警部が俵田の代役に。
・蓮城の代わりに時田十三が袋男になっている。(顔の火傷を隠していた。)
・兜礼二が唯一の生存者となった。
【事件の始まり】
金田一のクラスメートの一人、時田若葉が担任の小田切進(六星竜一)とラブホテルから出て来る写真が何者かによって公開。
これにより、時田若葉は生まれ故郷の六角村に戻るハメになってしまった。しかも、父親の手による、政略結婚の為。
金田一は美雪、小田切と共に六角村に向かった。
六角村…通称・異人館村。ダビデの星の形をしており、六つの洋館が立ち並ぶ村で、風変わりな住人が暮らしていた。
金田一達は早速、時田若葉の実家で有る「時計の館」を訪れる。
そこで金田一達は、首の無いミイラを発見する。因みにこの村の各館の主達は皆、それぞれ体の一部が欠けたミイラを所持していた。
そんな中、時田若葉の結婚披露宴が行われる。花嫁は村のしきたりにより、村の教会で一晩過ごすのがキマリとなっている。
勿論、若葉は村の教会の中に足を運ぶ。それからしばらくして、村の教会の鐘が鳴る。
風祭「鐘が鳴るのは葬式の時だけだ。」
何やら不吉な予感がした金田一達は教会へ向かった。中に入ると、教会のベッドの上で、若葉の首無し死体が横たわっていた…。
【事件関係者達】
・六星竜一
この事件の犯人「七人目のミイラ」。27年前に六角村で起きた、牧師夫婦と七人の養女殺害事件の中で、ただ一人運良く生き延びた娘・六星詩織の一人息子。
母親から様々な殺人術を仕込まれ、冷酷な殺人マシーンとなった。小田切進を殺害し、彼になりすまし、不動高校にやって来る。
そこで時田若葉に近づき、復讐の機会を練りながら交際していた。が、どうやら心の底では愛していたようで、彼女の首だけは埋葬していた。
トリックは6つの死体から7つの死体を作るというもの
最期は実の父親・風祭の手により、死亡。
・時田若葉
明るく負けん気の強い金田一のクラスメート。
時田十三の娘で、六星の計画に薄々気付きながらも彼を愛しており、彼に協力して兜霧子を殺害した。
勿論、彼女も六星の手により、死亡。
・兜霧子
兜礼二の娘。アリバイトリックの為だけに殺された。本物の小田切先生と並ぶ、この事件一番の被害者。
・俵田孝太郎
青森県警の刑事さん。後に準レギュラーとなる。実は職務怠慢とも取れる様な行動を起こしている。
(風見鶏の館にあった、弾が詰められたままの猟銃について、風祭に注意をしなかった。)
余程公文書を捏造しない限り、クビは免れないだろう。しかし、後のエピソードにて、無事に再登場したところを見ると、やはり(ry
・蓮城久彦
袋男。若葉の婚約者。最期は六星に撃たれ、死亡する。…生き残って欲しかった…。ドラマでは、名前の上の部分のみ登場。
・時田十三
「時計の館」主人。若葉の父親。金田一達に、27年前に、六角村で起きた殺人事件とミイラの事を話し、心臓発作で死亡。
・一色寅男
「ステンドグラスの館」主人。頬に痣を持つ。かなりの下手物食いで、好物は猫の丸焼き。右足を切り取られ、死亡。
・一色家使用人
一色寅男の死体発見シーンにて登場した、メガネのオッサン。
・風祭純也
「風見鶏の館」主人。27年前に起こった、牧師夫婦と七人の養女殺害事件の加担者の一人だったが、それ以前に、養女のうちの一人、六星詩織とは将来を約束しあった仲だった。
燃え盛る教会の中、かろうじて生きていた彼女を助けてふもとの町の病院に運んだ後、六人の死体を七人の死体に見せかける「あのトリック」を使用した。
最期は六星を殺した後、自らも頭をブチ抜いて死亡。
・草薙三子
「ツタの館」主人。数年前に息子を亡くし、廃人同然になってしまった。かなりの猫好き。左足を切り取られ、死亡。
その後、不動高校の学園祭にて幽霊となって登場。
ドラマでは「冬木三子」と名前が変更され、館も「白い館」に変更された。
・五搭蘭
「搭の館」主人。40代の割に見た目はかなり若い。「夫人」ではあるが結婚指輪をしてない為、多分独身。危ない性格をしておりHシーンを連発。六星に裸の時に襲われて死亡。
六星曰く、「インランババア」。どうやらガチレズらしく、美雪を狙っていた。
・兜礼二
「鎧の館」主人。霧子の父親。かなり根暗な性格をしている。金田一が謎を解き明かすも、結局は六星によって殺されてしまう可哀想な人。
【それ以外】
・牧師夫婦
村人達(館の主達)と共に大麻を栽培し密売。女ばかり七人の養子をとって生活していた。しかし、成長するに連れ罪の意識が芽生え始めた養女達を思い、「罪深い行為で富を得るのは辞めよう」と主張。
結果、館の主達に殺害されてしまう。
・六星詩織
牧師夫婦の七人の養女殺害事件にて、ただ一人生き残った。風祭とは相思相愛の仲だった。事件後、竜一を出産。
様々な殺人術を彼に仕込み、最後の仕上げとして、自分を殺させた…。
犯人は、罪を暴かれた後、抵抗して、警官2人を倒したわけですが格闘技まで仕込まれ回し蹴り及び警官の腕をキャッチした上で腕折り(間接外し?)に繋げてますから、掴み合いから投げ技に繋げる剣持お得意の柔道だけでは厳しかったかもしれません。
時田若葉が兜霧子を殺害した動機について、物語の終盤で、美雪が六星に人質にとられ麻薬畑に連れていかれるシーンにて、
美雪「若葉ちゃんに霧子さんを殺させたのね」
六星「ああ、二人が一緒になるにはこれしかないっていってね」(うろ覚えですが)
というやり取りがありました。
霧子は、彼女の死体が若葉の死体だと発見者が勘違いするように殺害されました。このことから、六星は若葉に「村の皆には若葉は死んだと勘違いさせて、二人で駆け落ちしよう」とでも言ったのではないでしょうか。
若葉が連城との結婚を望んでいたとは思えないので、六星の言うとおりに霧子を殺し、自分に偽装して「若葉が死んだ」と皆に思わせ、そして駆け落ちをしてでも、彼と結ばれたかった。
そう考えたとしても、不思議は無いと思います。
言いくるめられていなかったら、あとで自分が殺される=結ばれる可能性が無いことに、薄々気づいていながら、霧子を殺したことになり、それはちょっと考えにくいのではないでしょうか。
それも、相手が、六星の憎んでる人間とかなら、「先生のために」とかいって実行するかもしれないけど、何の関係も無い霧子を殺せと言われた場合、少しでも勘付いていたら、さすがに拒否するのでは。
異人館村殺人事件トリックは?金田一少年の事件簿
犯人:小田切進(不動高校教師)本名:六星竜一
動機:かつて、今の村の館の主人達によって皆殺しにされた、家族の復讐。
1:不動高校に赴任予定だった本物の小田切進を殺し、自分がなりすまして不動高校に入り込む。
2:生徒の1人で、村の娘である時田若葉と、わざと深い関係になり、
彼女が退学になって村に帰るよう仕向ける。
実際は、金田一と美雪が動いたため、退学にはならなかったが、
結局、結婚のために帰ることになった。
そして、若葉に未練があって追いかける、という名目で、村へ。
3:村に行った日の夜、若葉をそそのかして、館の主の1人の娘を殺させ、
そのあと若葉を殺す。
※教会の中の被害者を殺したトリック
→糸を付けたハンカチにクロロホルムを染み込ませ、
中のベッドで寝ている被害者の顔に下ろして眠らせる。
そして、車のワイヤーウインチでベッドごと天窓まで引き上げ、絞殺して首を切断。
あとは、元通りにベッドを下ろす。
4:館の主たちを1人ずつ殺害。死体は、それぞれ、
各館にあるミイラの欠けた部分と同じところを切り取る。
5:あとは、山中の大麻畑にガソリンをまき、焼き払う。
しかし、最後の1人は殺す前に金田一に罪を暴かれたため、
強引に殺したものの、死体を切り刻むことはできなかった。
さらに、大麻畑も、ガソリンはまいたが、金田一などの妨害で燃やせず、
最後は、館の主人の1人・風祭に撃たれる。
死に際に、風祭が実父であることが判明。
顔を隠した人物
→顔は最後まで不明のまま。しかし、悪人ではない。
子供の頃から決められていた、若葉の婚約者。
ラストで、若葉のカタキとして、六星をナイフで刺すが、殺せず、
逆にライフルで撃たれ、病院で死亡。
村にいた事件関係者は、金田一、美雪、俵田刑事、名も無き警官達以外、
犯人を含めた全ての容疑者が死亡しました。
金田一も腹を撃たれて重傷。