窪垣内集落という奈良県吉野町にある村では1000年以上も前に実際に起きた歴史上の事件をきっかけに犬を飼ってはいけないとされてきました。
その言い伝えは現代までも受けつかがれていて窪垣内集落では犬を飼っている家が1軒もないだけではなく神社の狛犬さえいないという徹底して犬を避け続けています。
犬を飼ってはいけない窪垣内集落の場所は奈良県吉野町
犬を飼ってはいけないとされる村・窪垣内集落の場所は奈良県吉野郡吉野町国栖地区にあります。
この地域の世帯数は100世帯に満たない小さな集落ですが、犬を飼う家は1軒もありません。
ただ過去には犬を飼ってみた家もあるようですが、家が火事になるといった不幸に見舞われたとか。
ちなみに、窪垣内集落周辺は吉野材の端材を有効活用した吉野割箸を生産する工場が集まっていて、は古来より紙漉きの里として知られています。
谷崎潤一郎の『吉野葛』にも紙漉きの里として窪垣内集が登場していて、四季を通じて家の庭先で和紙を天日干しする光景が見られます。
窪垣内集落はなぜ犬を飼ってはいけない?
窪垣内集落ではなぜ犬を飼ってはいけないんでしょうか?
その理由・起源はなんと672年に起きた壬申の乱(じんしんのらん)にまでさかのぼります。
壬申の乱といえば、天智天皇の次の皇位をめぐって大友皇子と大海人皇子(後の天武天皇)の争い。
大友皇子は天智天皇の息子・皇太子で、大海人皇子は天智天皇の弟でしたね。
歴史の教科書ではサラっと大海人皇子が勝利して天武天皇に即位した、といった程度の記述にまとめられるものの一時は大海人皇子は大友皇子に追い詰められていました。
吉野川の川べりまで逃げ落ちた大海人皇子は、村の老夫婦に助けを求めました。
老夫婦は舟をひっくり返して大海人皇子を中にかくまいますが、大友皇子に軍勢が連れていた犬が舟の周りで大海人皇子のにおいをかぎ出して吠えたてます。
このままでは敵に見つかってしまうと、翁が赤い石を投げてその犬を殺したたことから大海人皇子は事なきを得たとされています。
窪垣内集落には今でも、吉野川を見下ろす小高い丘に赤い石を投げたとされる場所とされ犬塚(いぬづか)があります。
アクセス
大和上市駅・・・バス約30分窪垣内宮の下下車徒歩約10分
また国栖小学校(廃校)の近くにある御霊神社では狛犬がいません。
ちなみに、岐阜県郡上市美並村粥川地区は鰻を食べない村、新潟県佐渡群加茂村、両津市近くの羽黒神社氏子は鮑を食べないといった集落があるそうです。
犬を飼ってはいけない窪垣内集落は以前にも「ナニコレ珍百景」というテレビ番組でも紹介されていました。
■放送内容
【珍百景No.939】「犬を飼ってはいけない集落」奈良県吉野町
賞金3万円獲得!!
★K.Y.さん(29歳)
約70世帯が暮らす窪垣内という集落では犬を飼うことができないそう。
地元の人によると、およそ1300年前から
犬を飼うと災いがあると言い伝えられているという。
これは、672年に起きた日本古代最大の内乱・壬申の乱で
この地に逃れた大海人皇子を船の下に匿った老人が
機転を利かせて船の上に食べ物を載せておき、
追っ手に連れられた犬が人の気配に気付いて船に吠えたところ、
「食べ物に吠える卑しい犬め!」と殺して皇子を助けたという伝説から
「窪垣内では犬を飼うと災いが起こる」と言い伝えられたそう。
そのため、窪垣内の神社には狛犬もいないという。
https://www.tv-asahi.co.jp/nanikore2017/contents_pre/collection/110504.html