故人の自宅に弔問を行く場合、
よほど親しい付き合いをしていた場合を除いて、
葬儀直後や葬儀前は避けた方が良いです。
葬儀前だと遺族の心が穏やかではありませんし、
葬儀直後はまだあわただしさが残っているので、
葬儀が済んでからしばらく日にちを置いてから
自宅に弔問に行くのがマナーです。
服装に関しても、通夜・葬儀以外では
基本的に喪服はマナー違反とされているので、
自宅弔問時の服装は相手に対して失礼のない
スーツなどを着用するようにしましょう。
※もちろん、普段着は避けるようにしましょう。
香典の目安は、故人との関係にもよりますが、
5000円が一般的な相場となります。
香典の表書きは相手の宗教が大きく分けると
仏教・神道・キリスト教によって変わるものの、
どんな宗教なのかがわからなければ、
「御供物料」と記載をしておけば、
よほどのことがない限りマナー違反にはならないでしょう。
線香を上げさせてもらえるかどうかは、
あくまでも遺族側の配慮によるものです。
遺族から
「お顔をご覧になってください。」
「線香を上げてやって下さい。」
といった感じで促されたわけじゃないのに、
自分から線香を上げたり棺に近づくのはマナー違反です。
遺族への簡単な挨拶を済ませたら、
あまり長いをせずに退出するようにしましょう。
弔問で自宅に伺うタイミング
一般的に「葬儀」というのは、
- 通夜
- 葬儀
- 告別式
の3つ儀式が行われます。
自宅に弔問をする場合、
- 通夜の前
- 告別式の後
のどちらかになるわけですが、
できれば告別式の後の方が良いです。
通夜の前に自宅に弔問をするのは、
故人や遺族と親しい関係にあった親族や
友人関係だった場合と考えたほうが良いです。
自宅弔問するのであれば告別式の後が良いわけですが、
ただ、告別式の直後(翌日など)は避けたほうが良いです。
遺族も一通りの葬儀の準備や後片付けで疲労をしているはずだし、
故人の遺品整理などでまだまだ忙しい日が続きます。
告別式が済んでしばらくしてから、
49日の法要の前に自宅弔問できるのが
ベストなタイミングと言えます。
弔問で自宅に伺う際の服装は?
通夜や告別式には喪服で参加するのがマナーですが、
自宅弔問では基本的に喪服は来ません。
通夜前に駆け付けたとしても、
もし喪服を着用していたら
故人の死を待っていたような印象を与えかねないので、
くれぐれも注意をしなければいけません。
逆に告別式が済んだ後に喪服で自宅弔問すると、
気持ちの整理が進んでいた遺族の心情を
損なう危険があります。
自宅弔問でお線香をあげるのであれば、
服装は平服で構いません。
男性でスーツもしくはジャケットスタイル、
女性はアンサンブルスーツやジャケットを
着用する服装を選ぶようにしましょう。
自宅に伺って弔問する際の流れ
故人の自宅に直接伺って弔問する場合、
大まかな流れを説明すると、
- 弔問に伺うことを事前に伝える
- 遺族に挨拶して家に通してもらう
- 遺族に香典やお供え物を渡す
- 遺族にすすめられた場合のみ故人と対面する
- 長居はせず引き上げる
といった感じになります。
弔問に伺うことを事前に伝える
「いつでも弔問にいらしてください」と言われていたとしても、
やはり自宅に弔問する前に、日時を伝えておくと良いでしょう。
遺族も「いつでも良い」といったものの、
やはり弔問客が短時間に集中してしまうと、
対応に一苦労してしまいます。
遺族側の都合の良い日時を聞いて、
弔問に伺うようにしましょう。
遺族に挨拶して家に通してもらう
自宅の玄関でまずは簡単な挨拶をします。
「この度はご愁傷様でした」
「お悔やみ申し上げます」
といった感じの挨拶で良いです。
もし遺族の心情を配慮して故人との面会をするつもりはなく、
玄関での弔問挨拶で済ませるつもりであれば、
この時に香典やお供え物を渡すようにしましょう。
逆に、家に通してもらえるかどうかはもちろん、
遺族側の判断に寄りますので、遺族に促されてから、
家に入るようにしましょう。
遺族に香典やお供え物を渡す
自宅にいる他の遺族にも簡単な挨拶をして、
香典やお供え物があればここで渡します。
遺族からは「香典は不要です」
と言われることも最近は増えているので、
何か形で気持ちを表したいのであれば、
お供え物を持っていくと良いでしょう。
遺族にすすめられた場合のみ故人と対面する
遺族の方から
「故人にもご挨拶をお願いします。」
「線香をあげていってください」
といった声がけがありましたら、
遺族に線香をあげたりお供え物を
お供えするようにしましょう。
長居はせず引き上げる
遺族の方は弔問客の対応で着かれているかもしれないし、
そもそも、気持ちに力が入っていないことも考えられます。
故人との昔話を長く続けようとはせず、
自宅への弔問は早目に切り上げて退出するようにしましょう。
玄関で最後の挨拶をする際には、
「何か手伝えることがあればおっしゃってください」
と一言を添えると良いです。
自宅弔問する際のマナー
自宅弔問する際には、最低限、
- 部屋の中へは、遺族に促されるまで待つ
- 病名や死因を聞かない
- 白布を自分で外さない
- 長居をしない
といった点に注意をしましょう。
部屋の中へは、遺族に促されるまで待つ
通夜の前(葬儀の前)に自宅弔問をした場合、
故人のいる部屋に勝手に入ることは許されません。
遺族の許可をもらってから部屋に入り、
お別れの言葉を伝えたり、
線香を上げるようにしましょう。
病名や死因を聞かない
故人が亡くなった理由を遺族に尋ねるのも、
自宅弔問ではマナー違反です。
遺族の心情を逆なでします。
病名や死因というのは、
遅かれ早かれ耳に入ってくるものなので、
興味本位で遺族に聞くのは絶対に避けましょう。
白布を自分で外さない
通夜の前であれば、
故人の眠っている棺が置かれています。
棺の小さな扉を開けると
故人と対面することはできますが、
故人の顔には白布がかぶせられています。
この白布を外すのは遺族だけに許されているので、
弔問客は絶対にはずさないようにしましょう。
長居をしない
繰り返しになりますが、
遺族というのは精神的にも肉体的にも疲労がたまります。
特に地域的に葬儀にまつわる儀式や手続きが多いと、
それこそ寝る間もなくなってしまいます。
疲労困憊の遺族相手にいつまでも話を続けたり、
用もなく自宅に長居するのはさらに疲労させてしまうので、
自宅弔問は手短に済ませるようにしましょう。
どんなに長くても10分以内には、
退出するように心がけましょう。
自宅弔問で線香を上げる際の手順
線香の香りは悪霊を遠ざけるといった説や、
「倶舎論(くしゃろん)」という仏教経典では、
「死後の人間が食べるのは匂いだけで、
善行を積み重ねた死者は良い香りを食べる」
とされています。
死者に対してお香や香りを捧げるのは、
世界各地でみられる風習ですが、
日本の線香をあげる手順を説明すると
1.仏壇(通夜の前なら故人の棺の前)の前に座り、一礼をする
2.ろうそくに火がついていなければ自分で火をつける
3.線香を1本取ってろうそくの火で線香に火をつける。線香から上る炎は手で仰いで消す
4.煙が出ている線香を香炉に寝かせる(線香立てに立てる)
5.おりんを一度鳴らして合掌し遺影に一礼
ろうそくの火を線香に移す際、
たいていは線香の火が出るものの、
口は悪業を積みやすいとされているので、
息で吹き消してはいけません。
また、線香の本数や線香の立て方については、
仏教の宗派によって異なっているものの、
とりあえず1本だけ使うようにすれば、
あまりマナー違反とか故人に対して失礼だと
見なされることはないでしょう。
弔問で自宅に伺う際の挨拶・お悔やみの言葉
自宅へ弔問に伺った場合には、
どんな挨拶をすると良いのかというと、
難しいことは考えずに一般的なお悔やみの言葉でOKです。
この度はご愁傷様です
お悔やみ申し上げます
このたびは、まことにご愁傷様でございます。心からお悔やみ申し上げます。
このたびは思いもかけないことで、まことに残念でなりません。お慰めの言葉もございませんが、どうかお力落としなさいませんように
といった感じでも良いですし、
故人が病気の末に亡くなったことを事前に知らされていれば、
先日、お見舞いにうかがったときは元気そうにしていらっしゃったので、ご回復を信じておりましたのに、残念でなりません
入院なさっていると伺っておりましたが、すぐに退院されると信じ、お見舞いにもうかがわず、大変失礼いたしました。心より、お悔やみ申し上げます
子どもが亡くなった場合などは、
遺族の悲しみは計り知れないと思われるので、
下手に言葉を考えたり選んだりはせずに、
心からお悔やみ申し上げます
と挨拶する程度にするのが良いでしょう。
弔問で使ってはいけない言葉
人の死に関わることでは、
使ってはいけないとされている言葉があります。
再三、重ね重ね、また、続く、といった
重ね言葉を避けなければいけないし、
生死についての直接的な表現も避けて、
違う言葉に言い換えるようにしましょう。
- 「死去」「死亡」「亡くなる」→「ご逝去」「他界される」
- 「事故死」「急死」→「突然のご不幸」「急なことで」
- 「生きている時」→「生前」「お元気な時」
弔問で自宅に伺う際の持ち物や香典
弔問の際に持っていくものとしては、
- 香典
- お供え物
- 数珠
といったものがあります。
ただ、必ず持っていかなければいけないわけじゃありません。
香典についてはあらかじめ遺族の方から
「ご遠慮させて頂いております」と言われていることがあるし、
お供え物も必ずお供えしなければいけないものではありません。
数珠に関しても、ないよりはあったほうが良いといった程度で、
葬儀や告別式じゃなければ、数珠の用意が間に合わなくても構いません。
香典の表書きや金額の目安(友人や親族…)
香典を持っていく場合、表書きの書き方は
相手の宗教と葬儀を済ませているかどうか?に
応じて変えなければいけません。
故人が仏教で49日前であれば「ご霊前」、
49日を過ぎていれば「ご仏前」となります。
※浄土真宗は「ご仏前」だけとなります。
神道の場合は「玉ぐし料」、
キリスト教の場合は「お花料」
などが使われます。
相手の宗教が良くわからない場合には、
とりあえず、
- 線香代
- お花料
- ご香典
といった表書きにするか、もしくは、
香典ではなくてお供え物を持参するのが良いでしょう。
弔問には数珠は必需品なの?
大人たちは葬儀には必ずと言ってよいほど数珠を持参していますが、
これは暗黙の了解のようになっているだけでのようです。
葬儀に数珠は必須というわけではないので、
特に弔問のようなプライベートなケースでは、
数珠を持っていく必要はなさそうです。
ただ注意をしなければいけないのは、
数珠は基本的に1人が1つ持つべきもので、
貸したり借りたりしてはいけないとされていること。
数珠がないからといって親や友達に借りる、
といったことは避けるようにしましょう。