JTリロイとは、アメリカの作家・ローラ・アルバートによるペンネーム及び架空名義の人物。あたかもJTリロイは実在するように見せかけていたことから、全米を欺いたとする一代スキャンダルとなりました。
JTリロイwiki|正体はローラ・アルバート!
“ターミネーター”ジェレミア・リロイ(Jeremiah “Terminator” LeRoy) 、または単にJT・リロイは、1990年代にアメリカの作家ローラ・アルバートが生み出した文学的ペルソナでありペンネーム。
JT・リロイは1980年10月31日にウェストバージニア州の田舎町で生まれたとされる男性で、実の母親から幼少期と思春期に男娼となることを強制されて育ったという、貧困、薬物使用、精神的・性的虐待を半自伝的に綴ったものとされています。
18歳の時に自分の体験を下に『サラ、神に背いた少年』を発表し、その過激な内容から世間に衝撃を与えた。ペンネーム「ターミネーター」で雑誌に投稿していたと言われている。
1990年代に入っても、その姿を見た人はほとんどいなかった。しかし、2001年になって、シャイであるとして公式の場にはいつも長い金髪のカツラと帽子をかぶり、大きなサングラスをかけて登場し、そのミステリアスな雰囲気も相まってカリスマと人気を集めていた。
『サラ、いつわりの祈り』の映画化に際して来日もしている。アーシア・アルジェント、ウィノナ・ライダー、コートニー・ラヴ、マリリン・マンソンなど多くの有名人との交友でも注目を集めた。
しかし、2005年10月、実はJ.T.リロイという人物は存在せず、リロイのソーシャルワーカーとして作品にも登場するローラ・アルバートという女性が創り上げた架空の人物であることが発覚した。
2005年『ニューヨーク・マガジン』誌で、JTリロイは作家のローラ・アルバートが創作した架空の人物であり、かつらとサングラスをかけて公の場に現れたとされるリロイは俳優によるものであることを明らかにした。
『ニューヨーク・マガジン』誌によるとアルバートが「スピーディ」と名乗ってリロイの世話係兼広報担当者を装い、リロイはアルバートとアルバートの夫であるジェフリー・ヌープと一緒に暮らしていたと伝えた。
リロイの報道においては、ローラはリロイを保護した社会福祉士であり、リロイが初めて共感できた人物という設定であった。
2006年1月にはかつらとサングラスでリロイを装っていた人物が、ジェフリー・ヌープの妹である25歳のサバンナ・ヌープだということを『ニューヨーク・タイムズ』紙で明らかにした
ヌープはリロイが存在しないこと、そして彼の兄弟がリロイの表の顔であることを確認した。
ヌープはまた、ローラ・アルバートがリロイのものとして発表された作品を書いたことを認めた。
それ以降、アルバート自身も彼女本人がJ.T.リロイの本を執筆したことを認めている。
また、2008年10月にはサヴァンナ・クヌーが、告白本「ガール・ボーイ・ガール 私はいかにしてJTリロイになったか」(原題「Girl Boy Girl: How I Became JT LeRoy」)を出版した。
JTリロイの正体はローラ・アルバート!
ローラ・ビクトリア・アルバート(Laura Victoria Albert, 1965年 – )は、アメリカ合衆国の小説家。ニューヨーク市出身。
2000年代にアメリカでベストセラーとなった小説『サラ、神に背いた少年(英語版)』の本当の著者。
ローラは作家志望であった頃、男性同性愛をテーマとした小説を執筆していたが、売り込みに難航したため、恋人のジェフリー・ヌープの発案をもとに、小説を「J.T.リロイ」なる少年の自伝と偽った。
アルバートはこれらの作品を書きながら、電話やEメールでリロイという人格で人々とコミュニケーションをとっていた。
1990年代に自殺ホットラインに電話したアルバートは、サンフランシスコのセント・メアリー・メディカル・センターのマコーリー青少年精神医学プログラムの心理学者であるテレンス・オーエンス博士にたどり着いた。
オーエンスは当時、彼女をローラ・アルバートとは知らず、「ジェレマイア」または「ターミネーター」と呼んでいた。
オーエンスは、電話治療の際に執筆を勧めたとされている。
これが功を奏し、小説は同性愛作品で知られる作家のデニス・クーパーから評価され、出版の運びとなった。
出版社との打合せにはリロイ本人の出席が必要だったが、ローラは代役の少年を金で雇って共に打合せに出席。
リロイを麻薬中毒の上にHIV感染者のホームレスと偽り、ローラはその保護者として代理を務め、打合せを進めることに成功した。
2004年には第2作『The Heart Is Deceitful Above All Things』(邦題:『サラ、いつわりの祈り』)が映画化されて話題作となり、ローラは莫大な収入によりセレブな生活を送ることができた。
やがて2005年、リロイを懐疑していた新聞記者がサバンナの勤務先のウェブサイトを閲覧し、サバンナがリロイの代役であったことを突き止めた。
ローラは現在、罪に囚われることはなく、本名名義での小説執筆を進めている。
彼女は、自分が「幻の手足」と呼ぶリロイを介して世界に発表される権利がなければ、生の感情から書くことはできなかったと証言している。
一方でローラとともにリロイ創作に携ったジェフリーは、この事件自体の映画化を進め、ワインスタイン・カンパニーにより映画化された。
「作家、本当の J.T.リロイ」