竹取物語でかぐや姫が地球に来た理由は罪?原文の考察は?
竹取物語の原文ではかぐや姫が地球に来た理由は罪を犯したということですが、どんな罪なんでしょうか?
かぐや姫が地球に来た理由は罪?原文の考察は?
角川のビギナーズクラシックスの「竹取物語」の完全語訳などでは、かぐや姫が地上へ来たことの理由(罪)は明記されていないようです。
かぐや姫が、育ててくれたおじいさんとおばあさんに打ち明け話をしたとき、(地球人ではなくて、月に帰らねばならないという話を 初めてした時)
「以前いた天上界での約束があって、それに従って、この人間界にやって来ました。」
と言っています。罪を犯したことすら姫自身の口から語られることはなかったようです。
原文ではかぐや姫は罪を犯して地上に来たとも言われていますが、かぐや姫の告白に関する記述は、
「おのが身は、この国の人にもあらず。月の都の人なり。それをなむ、昔の契りありけるによりてなむ。この世界には、まうできたりける。今は帰るべきになりにければ・・・」
この「昔の契りありけるによりてなむ」について「前世の因縁があってこの世界に来ました」という意味ですが自分のことを罪人とは言及していません。
しかし、月の王が翁に言うには
「かぐや姫は、罪を作り給えりければ」は「かぐや姫は罪を犯しておられたので」ですから何らかの罪で現世に流されたということですね。罪があったという表現はこれだけです。
なので罪の具体的部分は完全に推定になります。いろいろな解釈や創造があるのですが、特定は困難でしょう。いろいろな解釈では1)「縁起」物を壊した。2)天上人の求婚を断り、または姦淫(戯れ)をおかした。がおおむね支持されるところですが、正確なところは解りません。
まとめ:かぐや姫が地球に来た理由は罪?原文の考察は?
かぐや姫を迎えに来た天人の台詞に「かぐや姫は罪をつくり給へりければ、かく賤しきおのれ(=翁)が許にしばしおはしつるなり。罪のかぎりはてぬればかく迎ふるを、翁は泣き歎く、あたはぬことなり」とありますが、『竹取物語』の中に「罪」という単語が登場するのはこの2ヶ所だけです。
で、その「罪」の中身については、かぐや姫本人の言葉で「昔の契なりけるによりてなん、この世界にはまうで來りける」と語られるように「昔の契り(=かぐや姫として地上に生まれる前の、前世の因縁)」としか説明されておらず、原文を読むだけでは謎といってもよいでしょう。
『竹取物語』の成立(諸説あり)平安時代初期とされ、この時代の律令では五刑が定めれていて、
・死刑(しざい・死刑)
・流刑(るざい・島流し)
・徒刑(ずざい・強制労働)
・杖刑(じょうざい・つえ打ち)
・笞刑(ちざい・むち打ち)
以上の5つ。その中で流刑は上から2番目(実質、1番上の死刑はなかったといえる)となると、かなり重い罪だったの考えられます。
かぐや姫の罪状に関しても一貫した説明は困難ですが、不倫の罪だというのが有力視されています。
東アジア世界で、高貴な女性が流される説話で最も多いのは、王妃・王女などが不倫の結果、死罪は免れたものの、密封された舟(うつぼ舟)に乗せられ、海に流されるというパターンです。
政治犯や粗暴犯だったという例はないようです。
道ならぬ恋の罰として流罪にされるという展開ならば、古くから衣通姫の伝説があり(流されたのは男のほうですが)、当時の読者には余計な説明なしに受け入れられたのかもしれません。