片桐清さんは日本航空350便の羽田沖墜落事故の片桐機長として知られる人物。
乗員乗客174人中24人が死亡し149人が負傷するという大惨事となり片桐清さんは業務上過失致死傷罪で起訴されましたがその後、現在は？
■この記事のポイント
日本航空350便/羽田沖墜落事故は、飛行恐怖症に苦しんでいた片桐機長が着陸進入中にエンジンの逆噴射を操作して墜落させたもので、乗員乗客174人中24人が死亡し149人が負傷した。片桐機長は精神障害があったとして不起訴処分となったが、遺族や負傷者はこれに反対して裁判闘争を続けた。片桐機長は日本航空から退職し、その後も精神的な苦しみから抜け出せずにいた。
片桐清機長の日本航空350便/羽田沖墜落事故とは？
1982年2月9日の午前8時30分頃、福岡空港から羽田空港へ向かう日本航空350便が離陸しました
機長は片桐清二さん、副操縦士は石川幸史さん、機関士はOさんでした。
離陸後、片桐機長は精神的な不調に陥り始めました。
羽田空港への着陸進入中、片桐機長は突然「やめよう」と言って、エンジンの推力を低下させたり、逆噴射をかけたりするなどの異常操作を行いました。
石川副操縦士やO機関士は片桐機長の操作に気づいて抵抗しましたが、間に合わず、350便は滑走路手前の東京湾上へと墜落しました。
墜落した時刻は午前9時36分頃でした。
乗員乗客174人中24人が死亡し149人が負傷しました。
最後の乗客が救助された時刻は午前10時30分頃でした。
片桐清機長の日本航空350便/羽田沖墜落事故の原因は？
日本航空350便/羽田沖墜落事故の原因は、片桐機長が飛行恐怖症による精神障害を発症し、着陸進入中にエンジンの逆噴射装置を操作して機体を失速させたことでした。
この異常操作は、副操縦士や機関士が気づいて阻止しようとしましたが、間に合わずに墜落しました。
この事故に対して、日本航空は責任を認めて遺族や負傷者に賠償金を支払いました。また、日本航空は飛行士の健康管理や訓練などを見直すことを約束しました。
この事故は、なぜ起きたのでしょうか？そして、あの日、コックピットで何が起きていたのでしょうか？今回は、関係者への取材や事故調査報告書をもとに、この謎に迫ってみたいと思います。
まず、この事故を理解するためには、機長である片桐清二さん（当時35歳）の精神状態を知る必要があります。片桐さんは1970年に日本航空に入社しました。その後、順調にキャリアを重ねていきましたが、1981年11月から12月にかけて、「飛行中や飛行前後など不安感や恐怖感を覚えることがある」という症状を訴えました。
これは「飛行恐怖症」と呼ばれるもので、飛行士やパイロットなど飛行業務従事者でも発症することがあります。原因はさまざまですが、過労やストレスなどが影響すると言われています。
片桐さんはこの症状を自覚しており、「自分では克服できる」と考えていました。しかし、実際には克服できずにいました。1982年1月25日から29日まで休暇を取りましたが、「休暇中も不安感や恐怖感は消えなかった」と後に証言しています。
そして迎えた1982年2月9日。片桐さんは福岡空港発・羽田空港行きの350便（ダグラスDC-8-61型機）の機長として乗務しました。副操縦士は石川幸史さん（当時26歳）、機関士はOさん（当時38歳）でした。
片桐清ニwiki｜現在・その後は？日本航空350便/羽田沖墜落事故
日本航空350便/羽田沖墜落事故で片桐機長は生き残りましたが、重傷を負いました。
片桐機長は刑事責任や民事責任を問われる可能性がありましたが、精神鑑定の結果、「当時は正常な判断能力がなく、自分の行為の意味や結果を理解できなかった」という診断が下されました。
そのため、1983年7月に東京地方裁判所は「不起訴処分」という決定を出しました。これは、「起訴することが公益に反する」という理由で起訴しないことを意味します。
しかし、この決定に対して遺族や負傷者は納得せず、「不起訴処分」の取り消しや再審査を求める運動を展開しました。彼らは「片桐機長は自分の行為について認識しており、他人から止められようとしたこともわかっていた」と主張しました。
しかし、最高裁判所まで争われた裁判では、「不起訴処分」が正当だったという判断が確定しました。これにより、「日本航空350便墜落事故」の裁判闘争は終了しました。
では、片桐機長のその後はどうなったのでしょうか？彼は1984年3月に日本航空から退職しました。その後も飛行恐怖症やうつ病など精神的な苦しみから抜け出せずにいたようです。
片桐清ニは家族や友人とも連絡を取らずに引きこもっていたそうです。
片桐清ニの現在・その後まとめ｜日本航空350便/羽田沖墜落事故
片桐清二機長は、1982年2月9日に日本航空350便を操縦していました
羽田空港への着陸時に、精神的な不調に陥り、意図的にエンジンを逆噴射させるなどの異常操作を行いました
その結果、機体は滑走路手前の東京湾上へと墜落しました
この事故で乗員乗客174人中24人が死亡し149人が負傷しました
片桐機長は腰椎骨折や軽度の打撲などの怪我を負いましたが、一命を取り留めました
事故後、片桐機長は業務上過失致死傷罪で起訴されましたが、精神障害による刑事責任能力無しとして無罪判決を受けました
無罪判決後も精神科病院に入院し続けたという情報がありますが、現在の消息は不明です
片桐機長の姉は千鶴子といい、1983年に墜落事故と弟の生い立ちを綴った著書「幻の滑走路―弟清二と羽田沖墜落事故」を出版しました
