片栗粉(デンプン)が水に溶けないのはなぜ?
お湯で溶かしきれなかった片栗粉のダマ(固まり)を溶かす方法はある?
なぜあんかけを作るときお湯で溶くとダマになりやすいのでしょうか。
片栗粉なぜ水に溶けない?
片栗粉が水に溶けない理由は、デンプンと呼ばれる高分子がらせん状の構造を持っているためです。
デンプンはたくさんのグルコースからできている高分子で、平面構造では多くの水酸基が存在します。しかし、実際にはらせん構造を持っており、水酸基が内側に向けられています。これはDNAの2重らせん構造と同じような原理です。
このらせん構造により、デンプンの水酸基は電気的な弱い相互作用によって結びつき、外側に向いている水酸基は親水的なものとしては不十分です。そのため、デンプンは冷水には溶けません。
しかし、十分な加熱によってらせん構造が解け、水酸基が表に出てくると、デンプンは熱水に溶けるようになります。これは結合エネルギーを切断し、水との相互作用が可能になるからです。
デンプンは電解質ではないため、電離できず、物質が電離してイオンになって水中に溶ける状態の「水に溶ける」現象は起こりません。そのため、片栗粉も水に溶けないのです。
片栗粉がお湯で固まる理由は?
片栗粉がお湯で固まる理由は、片栗粉に含まれるでんぷんが糊状に変化するためです。
片栗粉はでんぷんを主成分とする粉末で、でんぷんは特定の条件下で水と混ざることでゲル化(糊化)と呼ばれる現象が生じます。このゲル化により、液体が粘り気を帯び、とろみがつくのです。
お湯に片栗粉を加えると、湯の温度が上昇し、片栗粉中のでんぷんが水と反応して糊状に変化します。これが一瞬で表面に固まりを形成し、ダマ(固まり)ができる原因となります。
この性質は、片栗粉を使って料理にとろみをつける際に活かされます。一方で、お湯に直接片栗粉を入れるとダマができやすくなるため、料理の際には工夫が必要です。適切な手順や混ぜ方を守ることで、片栗粉をスムーズに利用できます。
お湯で固まった片栗粉のダマを溶かす方法は?
片栗粉のダマ(固まり)を溶かす方法について、お湯で溶かしきれなかった片栗粉のダマを溶かす方法は、以下のポイントに気をつけると良いですよ。
まず、片栗粉は水に溶けにくい性質があります。お湯に入れるとすぐに固まりやすいので、ダマになってしまいます。そのダマを溶かすためには、以下の方法があります。
裏漉しする
お湯で溶けなかったダマを裏漉し器や茶漉し、味噌漉しを使って漉しましょう。これにより、ダマが取り除かれ、なめらかな液体になります。
新しい水溶き片栗粉を追加する
もし既に料理に入れてしまった場合は、もう駄目だと書かれていますが、新しい水溶き片栗粉を追加してみてください。これでとろみがつく可能性があります。
水に溶かさないで入れる
片栗粉は熱によって固まる性質があるため、水に溶かさずにそのまま加え、すぐに混ぜてしまうとダマになりやすいです。代わりに、お湯で溶かさないで水溶き片栗粉を使うと、ダマを防ぐことができます。
料理の最後に加える
片栗粉を使ってとろみをつける場合は、できるだけ料理の最後に加えると良いです。火を止めてから入れ、全体に均一に混ぜてから再度火にかけることで、ダマを防ぎつつトロミをつけることができます。
まとめ:片栗粉なぜ水に溶けない?お湯で固まる理由は?
片栗粉は、デンプンという炭水化物の一種です。デンプンは、グルコースという単糖が鎖状につながってできたものです。
片栗粉が水に溶けない理由について、まず、水溶性の物質は、水とよくなじむ性質を持っています。水とよくなじむ性質のことを「親水性」と言います。
デンプンには、水酸基という親水基がたくさんあります。水酸基は、水の水素と引き合って、水とよくなじみます。
では、なぜデンプンは水に溶けないのでしょうか。
それは、デンプンの分子がとても大きいからです。デンプンの分子は、グルコースが数百個から数千個つながってできたものです。
デンプンの分子がとても大きいと、水分子との親水相互作用が弱くなります。そのため、デンプンは水に溶けにくくなります。
さらに、デンプンの分子は、らせん状の構造をしています。らせん状の構造は、水分子が入っていきにくい形をしています。
そのため、デンプンは冷水には溶けず、熱水で加熱すると、らせん状の構造がほどけて、水に溶けやすくなります。
このように、デンプンは水溶性ではありますが、水に溶けにくい性質を持っています。
■炭酸水は水に溶ける?
炭酸水は、水に二酸化炭素が溶けたものです。二酸化炭素は、水に溶けにくいですが、少し溶けます。
そのため、炭酸水は水に溶けると言えます。
■ポイント
片栗粉は、デンプンという炭水化物の一種で、水溶性ですが、水に溶けにくい性質を持っています。
デンプンは、水酸基という親水基がたくさんありますが、分子がとても大きいため、水分子との親水相互作用が弱くなり、水に溶けにくくなります。
デンプンは、らせん状の構造をしており、水分子が入っていきにくい形をしています。
炭酸水は、水に二酸化炭素が溶けたもので、水に溶けにくいですが、少し溶けます。