貴族の名前にはどのような法則・規則があるんでしょうか?
ヨーロッパ王族・皇族の苗字はなぜ極端に長かったり短かったりするのでしょうか?
貴族の名前・爵位の法則
貴族の名前のルールは、国や時代によって異なることがありますが、基本的な形式は「名前」+「の」+「その人の特徴(貴族家門名)」となっています。具体的には以下のポイントがあります。
名前の基本形式
貴族家門名の由来
貴族家門の数
貴族になる方法
名前の長さと意味
名前の基本形式
貴族の名前は、名前自体に加えて、その人の特徴や貴族家門名を含めて構成されます。例えば、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」という名前は、「ヴィンチ・の・レオナルド」という意味で、レオナルドさんはヴィンチ村の出身だったためこのような形式で呼ばれていました。
貴族家門名の由来
貴族家門名は、その家門の歴史や由来に基づいて付けられます。初代領主の名前やお城の名前、土地の名前などが家門名の由来となることがあります。また、王様から下賜された名前や英雄の名前、ニックネームが家門名になることもあります。
貴族家門の数
貴族家門は多岐にわたり、国や時代によって異なります。家門ごとに紋章が存在し、対応する紋章を覚えることで家門を識別することができます。
貴族になる方法
貴族になる方法も時代や地域によって異なります。貴族身分の領邦議会に招かれることで貴族になる場合や、古代の英雄や神の血筋に縁がある場合などがあります。近代のイギリスでは、王家が新たな貴族家門を指名することもありました。
名前の長さと意味
貴族の名前は時に長くなることがあります。これは、代々の王家に伝わる名前や先祖や父母の名前を加えるため、ミドルネームや洗礼名が含まれることがあるからです。ファミリーネームは血統を示す重要な要素であり、時には父方と母方のファミリーネームを組み合わせて名乗ることもあります。
貴族の名前はなぜ長い?
貴族の名前がやたらと長くなるのは
・代々王家に伝わる名前を名乗る
・親子兄弟が同じ名前になりがちなのでミドルネームをつける
・洗礼名をつける
・先祖や父母にあやかった名前を加える
といった事情があるから。
例えばフランス王家なんかは先祖の名君にあやかって王子に「ルイ」の名を付けるのですが、男性の親兄弟親族みんな「ルイ」なので「ルイ・シャルル」「ルイ・フェルディナン」という具合にミドルネームを付けました。
こうした王子が即位すると「ルイ〇〇世」となります。
プロイセン王家のファミリーネームは「ホーエンツォレルン」ですが、ホーエンツォレルン一族の人はいっぱいいます。
その中でも特に「プロイセン王」となった人は特別中の特別なので「フォン・プロイセン」と名乗るのです。
その王の在位の間は「プロイセン王」は1人しかいませんから、それが一番判りやすいのです。
こうしたファミリーネームは血統を表しており、時に「父方・母方」といった具合にファミリーネームを2つ並べることがあります。
例えばマリア・テレジア(ハプスブルク家)と夫のフランツ・シュテファン(ロートリンゲン家)の間に生まれた子は「ロートリンゲン・ハプスブルク」を名乗りました。
なおマリア・テレジアはオーストリア大公であるためハプスブルクではなく「フォン・エスターライヒ(ドイツ語のオーストリア。オーストリア大公を意味する)」を名乗っていました。
貴族の名前の法則・ルールの具体例
○
「チャールズ・フィリップ・アーサー・ジョージ・マウントバッテン=ウィンザー」
「名前+名前+名前+名前+貴族家門名」
「チャールズ・フィリップ・アーサー・ジョージ」は日本語で言えば、「ヒロシ・アツシ・サネツグ・カズキ」みたいなノリです。
貴族は、何故か、洗礼名をバンバンと貰います(スペインはまた、命名の風習が違うのですが)。そのため、こういう風に名前がとんでもなく長くなります。ちなみに、その数に制限はありません。
そして、「マウントバッテン=ウィンザー」は貴族家門です。少し調べましたが、チャールズ皇太子については、「の」に当たる前置詞は欠落しているようです。
対して、現イギリス女王であるエリザベス二世には、「の」に当たる前置詞を付けても誤りではないようです。
○
「エリザベス・アレクサンドラ・メアリー・オブ・ウィンザー」
「名前+名前+名前+の+貴族家門名」
○
「マリー=アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ=ドートリッシュ」
「名前=名前+名前+名前+の+貴族家門名+の+出身地名」
「マリー=アントワネット」は名前です。いわゆる複合名というやつで、「カスミ-カオリ」みたいな意味です。「カスミ・カオリ」ではありません。くっついています。「ジョゼファ・ジャンヌ」も名前です。
「ド・ロレーヌ」は「ロレーヌ・の」という意味です。ロレーヌは当然、ロレーヌ家というオーストリアの有力な貴族家門名を指しています。
「ドートリッシュ」は、「ド・オーストリッシュ」の音節がリンキングしてしまったもの。「オーストリア・の」という意味です。これはオーストリア・ハプスブルグ家を意味しています。
纏めると、「オーストリア(のハプスブルグ家)のロレーヌ(家)のジョゼファ・ジャンヌ・マリー=アントワネット」が全体の名前になっています。
まとめ:貴族の名前・爵位の法則|中世ヨーロッパの名前はなぜ長い?
貴族の名前にはいくつかの特別なルールやルールに関連する情報があります。貴族の名前に関する大切なポイントを以下で解説します。
von(フォン)やzu(ツー)が付くケース
貴族の名前には、von(フォン)やzu(ツー)が付くことがあります。これらの違いについてはハッキリとは定義されていませんが、基本的には名前と苗字の間に位置します。例えば、「クレメンス・フォン・メッテルニヒ」や「ヘルベアト・フォン・カラヤン」などがその例です。しかし、「ルードルフ・フォン・エースタライヒ」のように、上位の貴族では苗字の部分が国や地域の名前になることもあります。
上位の貴族の名前と苗字の関係
上位の貴族の名前は、元々ヨーロッパの各地域の王国や大公国、公、侯、伯領などの領地名を含んでいることがあります。これは、その貴族が支配している領地の名前を苗字として持っていたためです。例えば、「オーストリア大公ルードルフ」の場合、領地である「エースタライヒ(オーストリア)」が苗字の一部となります。
名前の構成とセカンドネーム
貴族の名前は、フォンやツーの前の名前がファーストネームで、2番目から後の名前はセカンドネームと考えることができます。例えば、「クレメンス・ローター・ネポモク・フォン・メッテルニヒ」のように、ファーストネームの後に続く名前がセカンドネームとして扱われます。
爵位とフォン(ツー)の位置
フォンやツーが付く位置は、オーストリアとプロイセン(ドイツ)の流儀によって異なります。これは、フォンやツーが爵位の直前に付くか、名前全体の前に付くかが異なるためです。
貴族の名前の由来と例
貴族の家門名(フォンやツーの前の名前)は、初代領主の名前やお城の名前、土地の名前から由来することがあります。また、王様からの下賜や英雄の名前、ニックネームが家門名になることもあります。例えば、大作曲家の「フランツ・フォン・リスト」は、オーストリア皇帝から1代限りの貴族称号を受けた後、貴族の女性との結婚に関連して名前が変わった例があります。