中国で殺し屋5人が一斉に逮捕されるという衝撃的な事件が起きたのは2013年の中国。
５人の殺し屋(五次請け)が関わってしまったことでゲーム理論でいう最悪の結果につながることになりました。
５人の殺し屋(五次請け)一斉逮捕！ありえへん世界
中国の不動産開発業者の覃佑輝（Qin Youhui、タン・ヨウフェイ）は、ライバルの不動産開発業者と法的な紛争が起きていた。
時間と金がかかる法廷闘争が不利益となること恐れたタンは、訴訟を起こしてきた魏（Wei、ウェイ）氏の殺害を決意。
殺し屋の奚広安（Xi Guangan、シー・グワンアン）を雇い、200万元（約3000万円）でウェイ氏の殺害を依頼した。
だが雇われた殺し屋の奚広安は自分の手を汚したくなかったため、別の殺し屋である莫天祥（Mo Tianxiang、モ・テンシャン）に自身の報酬の半分の金額で「ピンはね」し、残りの報酬の半分である100万元（約1540万円）でウェイ氏の殺害を依頼した。
ところが莫天祥までも、さらにその半額ので別の殺し屋の楊康生（Yang Kangsheng、ヤン・カンション）に77万元（約1200万円）で殺害を依頼した。
ヤン・カンションも3割ほどピンハネして、楊広生（Yang Guangsheng、ヤン・グワンション）に70万元（約1100万円）で依頼。
最終的にはヤン・グワンションが、凌顕四（Ling Xiansi、リン・シェンスー）に10万元（約154万円）で依頼したところで暗殺が同意された。
結果的に殺し屋が下請けを雇い、多重下請けで5人の殺し屋がウェイ氏の殺害に関与することとなった。
報酬額は最初に依頼された金額である200万元（約3000万円）に対してわずか5％にまで目減りしていました。
5次請けとしてウェイ氏の殺害を受けることになったリンは、引き受けたあとに依頼金額に不満を抱きます。
終身刑を受けるリスクを冒すのにこの額は見合わないと考え、殺人をでっち上げることに決め、殺害のターゲットであるウェイ氏に接触。
「たったの10万元で殺しをしたくはない。事態を解決するため、私に協力してくれ」と殺害されたフリをしてもらえるように持ち掛けた。
魏さんは、カフェで凌と会うと、縛られて猿ぐつわをかませられた状態で写真撮影。
撮影が終わるやいなや、ウェイ氏は警察署に駆け込むと警察にすべてを証言し、依頼者と殺し屋5人が一斉に逮捕されたのでした。
「死んだふりをした写真」を撮影。その写真は携帯電話で送信されて、依頼者のYouhui容疑者の元に届きました。Weiさんは10日間身を隠した後、5番目の殺し屋がWeiさんの手元にうっかり置き忘れていった携帯電話を持って警察に出頭。今回の事件の全貌が明らかになりました。
2016年に殺し屋5人と依頼者は懲役2年7月～5年の判決を受けたものの、証拠不十分で依頼者の男と共に殺し屋5人も無罪となった。
中国では裁判所の有罪判決率が99パーセントと言われていていたこともあり、この判決は異常だと見る人も少なくったようです。
そうした世論もあってかその後、検察側の訴えから再審理が行われると、3年後の2019年、6人全員が殺人未遂で有罪判決を言い渡されています。
殺害を依頼したタンは5年の刑。最初に殺害を依頼されたシーは3年6カ月の刑に。2次請けのモは3年。3次請けと4次請けのヤン2人は3年3か月。
そして最後に受けた5次請けのリンは2年7か月の刑になった。
