映画「君の名は。」に登場する「口噛み酒(口噛みの酒)」とは?
口噛み酒を飲んだらなぜ瀧と三葉が入れ替わるのでしょうか?瀧は口噛み酒でタイムスリップ?
君の名は 口噛み酒とは?
口噛み酒とは、穀物やイモ類などデンプン質の原料を人間が噛んで(咀嚼して)自然発酵を促して造られる酒です。
デンプンは唾液に含まれる「アミラーゼ」という酵素の働きで糖に分解されるので、その糖分を自然界に存在する酵母の働きでアルコール発酵することで酒を醸造することができます。
酒(醸造酒)には乳酸発酵を利用して製造されるものがある。日本では清酒、にごり酒(どぶろく)がそう。
また、乳酸菌を利用したものではチーズ、なれずし、味噌、醤油などがある。乳酸菌は糖などの栄養分を吸収しながら他の雑菌も喰い潰すので、それが含まれる食品が腐敗しにくくなると同時に発酵を進ませ、発酵させることによって人間にとってより栄養価や風味の良いものを作る働きをする。
また、「乳酸菌」であるから、発酵が進むほど「酸味」も強くなる傾向がある(辛口の酒というのはこういうこと)。
君の名は 口噛み酒の意味なぜ瀧と三葉が入れ替わる?タイムスリップ?
映画「君の名は。」で口噛み酒でタイムスリップした理由は瀧と三葉が入れ替わっていた時に御神体に向かう途中で言っていた「むすび」が関係しています。
時はねじれたり絡まったり…のあと瀧くんの心が入っている三葉が麦茶を飲みます。
そこでおばあちゃんが「それもむすび」であると言います。
また、口噛み酒はカクリヨから戻るなと引き換えに置いてきた自分自身の半分でした。
つまり、三葉の半分が含まれた口噛み酒を飲んだことで三葉と瀧との「むすび」=時間のねじれが再び起きたと解釈できます。
口噛み酒は気持ち悪い、という感じる人もいますがこのシーン(口噛み酒の神事)が無いと、口噛み酒の意味が観客によく伝わらないし、この映画のストーリーにおける口噛み酒の重要な役割も伝わらないことになる。
口噛み酒は三葉が糸守町を嫌がる理由にもなっています。
また、「ツバ」というのも「製造過程」の段階を過ぎて発酵が進むことで雑菌はほとんど無くなる(と思われる)ため、他人の汚い「ツバ」を飲むという感覚的な問題だけになってくるでしょう。
酒は時間が立たないとアルコールにならないことから、時間が経たないと人間関係も熟成していかないということを表しているのでしょう。
また、口噛み酒を飲んだ時最初お互いが見えなくなって声だけでやり取りしていた場面、あれは入れ替わってる状態だと考えられますが、なぜ口噛み酒を飲んであのような(お互いが入れ替わる)状況になったのかというと、まず、劇中でムスビについて語るシーン(御神体へ向かうシーン)があります。
そこで三葉のおばあちゃん(一葉)が「水でも、米でも、酒でも、何かを体に入れる行いもまた、ムスビと言う。」とあります。このことから入れ替わりがムスビの力によるものだったとしたら三葉の作った口噛み酒を飲んだことによりムスビが起こり入れ替わったと考えられます。
君の名は 口噛み酒でタイムスリップ?
映画「君の名は」で口噛み酒の儀式で起きるのはどちらかというとタイムスリップではなくタイムループでしょう。
3年ずれた時間軸にあった意識が(ループコースターの最下点どうしで)接続したせいで住民避難しなかった歴史がループの中に消えます
糸守千年の祈りが巫女の発した避難命令で生き延びる歴史と結実します。
「彼は誰時」のアナグラムで「かたはれ時」と「黄昏時」を呼び此岸と彼岸の交わる時、場所と言葉遊びを映像ストーリーにうまく(?)組み上げています。