ナニコレ珍百景で「魔法の水」として紹介されたのは岡山理科大学生命科学部・山本俊政准教授が開発した好適環境水
海水魚と淡水魚が共存できる第３の水として注目されています。
魔法の水｜岡山理科大学の好適環境水がナニコレ珍百景
好適環境水とは、海水魚と淡水魚の両方を同じ水槽内で飼育することを可能にした、画期的な人工海水です。 海水魚は海水で、淡水魚は淡水でしか生きられないという常識を覆し、水産養殖業に新たな可能性をもたらしました。
魔法の水(ナニコレ珍百景)開発のきっかけは「実験ミス」
この魔法の水の発見は、実は学生による実験ミスがきっかけでした。 海産プランクトンを淡水で育てようとした実験で、洗浄不足により海水が混入した培養容器ではプランクトンの繁殖に成功しました。このことから、海水中の特定の成分が魚の生育に重要なのではないかと考え、研究が進められました。
魔法の水(ナニコレ珍百景)｜好適環境水の成分と特徴
海水中には約60種類以上の成分が含まれていますが、魚の生育に本当に必要なのはナトリウム、カリウム、カルシウムの3種類だけであることが分かりました。 好適環境水は、これらの成分を魚にとって最適な濃度で淡水に溶かしたものとなっています。
この水を使うことで、以下のようなメリットがあります。
- 海水魚と淡水魚を同じ水槽で飼育できる: 塩分濃度が魚に最適化されているため、浸透圧調整の負担が軽減され、海水魚と淡水魚が共存できます。
- 魚の成長が早い: 塩分濃度調整のエネルギー消費が抑えられ、成長が促進されます。 例えば、通常4?5ヶ月かかるバナメイエビの出荷が3ヶ月に短縮できます。
- 魚の病気が少ない: 好適環境水は、寄生虫や病原菌が繁殖しにくい環境であるため、病気の発生率が低く、薬剤の使用を抑制できます。
- コストが安い: 人工海水に比べて、必要な成分が少なく、コストが約60分の1に抑えられます。 また、海水を運搬する必要がないため、場所を選ばずに養殖が可能となります。
- 水交換の頻度が少ない: バクテリアによる水質浄化が促進され、水交換の頻度を減らすことができます。 2年間水交換せずに養殖を行った例もあります。
魔法の水(ナニコレ珍百景)の生み出す未来への可能性
好適環境水は、従来の水産養殖の常識を覆す革新的な技術であり、以下のような未来を創造する可能性を秘めています。
- 食料問題の解決: 海の無い内陸部や山間部でも海水魚の養殖が可能になるため、世界中で新鮮な魚を安定供給することができます。
- 漁業資源の保護: 乱獲が問題となっている魚種の養殖も可能にするため、天然資源の保護に貢献できます。
- 新規事業の創出: 漁業権の必要ない陸上養殖は、新規参入が容易であり、雇用創出や地域活性化に繋がります。
- 環境問題への貢献: 水資源の節約や薬剤の使用量削減など、環境負荷の低い持続可能な養殖が可能となります。
- 宇宙での食料生産: 将来的には、宇宙空間での食料生産も視野に入れています。
まとめ：魔法の水｜岡山理科大学の好適環境水がナニコレ珍百景
「魔法の水」好適環境水は、水産養殖の未来を大きく変える可能性を秘めた技術です。 今後も研究が進み、世界中でこの技術が広がっていくことで、食料問題や環境問題の解決に貢献することが期待されます。
