真名井の清水(まないのしみず)は島根の名水百選に選ばれた湧き水で出雲大社の大事なお祀り事に使われる神聖なご神水です。
霊験あらたかな水として地元では昔から親しまれてきた水で、ペットボトルに入れて持ち帰る人も多く見かけます。
真名井の清水(出雲大社)は飲める?持ち帰りは?
真名井の清水は出雲大社の祭事の一つ「古伝新嘗祭(こでんしんじょうさい)」で使用されます。
他の神社で言うところの新嘗祭(にいなめさい)にあたる古伝新嘗祭は、出雲大社で毎年・神在月の11月23日に行われる神事。
出雲大社の宮司である出雲國造の霊力を復活させる儀式で、
新しく収穫された五穀を天神地祇に献納し自らも一緒に食することで五穀豊穣に感謝するとともに来年の豊作を祈る意味があります。
古伝新嘗祭と共に行われる歯固めの神事(国造が小石を噛む神事)で真名井の清水から取り出した小石が使用されていて、
この儀式が終わると、百番の舞という神舞が行われ、すべての儀式が終了となります。
出雲大社の神事に利用されているほどの水なので、真名井の清水では地元では昔から愛され続けていて禊(みそぎ)に来る人の他にもペットボトルに持ち帰る人もいます。
真名井の清水の場所には柄杓と漏斗も置いてあり誰でもお水が持っていけるようになっています。
ただ日によっては水が濁っていることもあるので、必ずしも飲めるわけでない(?)ようなので注意が必要です。
真名井の清水(出雲大社)とは?
真名井の清水 「真名井の清水」と名の付いた水源は全国にいくつかあり、日本最古の上水道の水源と言われています。
出雲大社の真名井の清水は特に、スサノオとアマテラスの誓約(うけい)の神話にも登場しています。
アマテラスが岩戸に隠れた原因を作ったとして追放命令を受けたスサノオが、国を出る前に姉のアマテラスに挨拶に出向くため高天原に上ったところ、
アマテラスは、スサノオが高天原を乗っ取りにきたと誤解し、臨戦態勢で待ち構えます。
スサノオがあまりにも派手な登場の仕方だったことが誤解を産んだようで、武装して弟を迎えたアマテラスでしたが、
スサノオはその身の潔白を晴らすために、お互いの持っていた大事な神宝を使って神を生み出す儀式を行うことを提案。
スサノオは剣を、アマテラスは玉を取り出し、お互いに交換すると、
アマテラスはスサノオの十拳剣(とつかのつるぎ)を噛み砕き、吹き出した息の霧から以下の三柱の女神(宗像三女神)が生みだされます。
多紀理毘売命 – 別名:奥津島比売命(おきつしまひめ)。沖津宮に祀られる。
多岐都比売命 – 中津宮に祀られる。
市寸島比売命 – 別名:狭依毘売命(さよりびめ)。辺津宮に祀られる。
この三姉妹の女神は、アマテラスの神勅により海北道中(玄界灘)に降臨し、宗像大社の沖津宮、中津宮、辺津宮、それぞれに祀られています。
スサノオは姉のアマテラスの「八尺の勾玉の五百箇のみすまるの珠」を受け取って噛み砕くと、以下の五柱の男神が誕生。
左のみづらに巻いている玉から 天之忍穂耳命
右のみづらに巻いている玉から天之菩卑能命
かづらに巻いている玉から天津日子根命
左手に巻いている玉から活津日子根命
右手に巻いている玉から熊野久須毘命
これによりスサノオは「我が心清く明し。故れ、我が生める子は、手弱女を得つ。」と邪心がない事を証明し、
真名井の清水は神聖な儀式を行う前にお清めとして使われるようになったとされています。
真名井の清水(出雲大社)のご利益や効能は?
真名井の清水の御祭神は神々の親であるイザナミの尿から誕生した神様、いわゆる水神様の彌都波能賈神(みづはのめのかみ)です。
イザナミは火の神を産んだことで大やけどを負って亡くなりますが、その際、たいそう苦しんだ様子で、嘔吐、失禁、など様々な苦しみを味わう中、
ミズハノ女神はこのイザナミが最期に発した尿の神様とされています。
尿の神様なんていうと、なんだか神様にふさわしくはないように感じるかもしれませんが、
日本でも近代までは糞尿肥料も大事な肥料として稲作でも畑作でも重宝してきました。
そういう意味から作物にとって大事な栄養を含んだ水を司るのがミズハノ女神とされています。
出雲大社から真名井の清水へのアクセスは?
出雲大社から真名井の清水までは距離が近く出雲大社境内から徒歩4分程度です。
出雲教駐車場に車を停めると2分程度で歩いて来れます。