マウリツィオ・カテランは壁に本物のバナナをテープで貼るだけというアート「コメディアン」を披露すると、それがなんと1300万円で落札され話題となった人物。
ただマウリツィオ・カテランは「コメディアン」の以前からも社会や権力、権威を皮肉る作品で知られている現代を代表するアーティストの一人です。
マウリツィオ・カテランの「コメディアン」とは?
マウリツィオ・カテランが生のバナナをむき出しのまま壁にダクトテープで張り付けた「コメディアン」を披露したのは、
2019年12月に米フロリダ州マイアミで行われた現代美術展「アートバーゼル」でした。
「コメディアン」はなんとフランスの美術商によって約1300万円(12万ドル)で売約され話題となりましたが、このアートをさらに盛り上げたのは、
ジョージア出身のアーティストのデヴィッド・ダトゥナ氏。
アメリカ・ニューヨークを拠点に活動するダトゥナは会場に姿を現わすと、
一体何をするかと思いきや、壁にテープで張り付けていたバナナをはがし、パクパクと食べ始めるパフォーマンス。
多くの人が驚いた表情でダトゥナ氏にカメラを向ける中「食べたい?なら15万ドルでどう?おいしいよ」とコメント
作品に出資しているパトロンらはショックを受けるとともに、笑い声があがったということで、
この映像は「腹ペコな芸術家」と題され、ダトゥナ氏のインスタグラムにも投稿されました。
バナナはその後、また同じ場所に新しいもの貼り付けられたそうですが、
そもそもスタッフによってバナナは腐る前に取り替えられいたようです。
現代美術展「アートバーゼル」主催者も「この作品は(コメディアン)アイデア出会って、破壊されたわけではない」とコメントし、
ダトゥナ氏も「破壊行為ではなく、自分なりのアートパフォーマンスだ。もちろん悪いとは思っていない」と振り返っています。
壁にテープでバナナの「コメディアン」のパロディ
バナナを壁に貼り付けただけのアート「コメディアン」はその後、様々なパターンでオマージュされています。
ファストフードチェーン「バーガーキング フランス」をはじめ、フランスの大手スーパー「カルフール」などがパロディー広告を展開。
壁に貼り付けられたフライドポテトや野菜が、高額なバナナに比べ圧倒的安価に購入できることをアピールしています。
マウリツィオ・カテランwikiプロフ
名前:Maurizio Cattelan
生年月日:1960年9月21日
年齢:60歳
国籍:イタリア
出身地:パドヴァ
マウリツィオ・カテランは敬けんなカトリックの家庭で、芸術関係の本なんて一冊もなくアートとはまったく縁のない環境で育ちます。
学校もあまり好きではなかったようで12歳の時には落第もして、
中学生の頃から洗濯屋や清掃員、警備員、看護師や納棺士など様々な仕事をするようになります。
働きながら高校に進学するも中退して夜間学校に通っていた時期もあったようですが、
誰かの元で働くことが嫌になって、自分が好きなことをして生きるための時間が欲しいと思いはじめます。
そんな時に近所に自分のアトリエを構えている人がいて、徐々にその人から学んでこうして少しずつアートの世界に足を踏み入れていきます。
バナナを壁に貼るアート作品「コメディアン」のアイデアは展覧会の約1年前から考えていて、旅行のたびにバナナを持ってホテルの部屋に飾っていたそうです。
最初はバナナのかたちにした彫刻を考えていたが、樹脂やブロンズを使っていくつかのモデルを制作したあと、最終的には本物のバナナをそのまま作品にしています。
マウリツィオ・カテランの経歴
マウリツィオ・カッテランは、現代アートシーンで最も人気のあるアーティストの一人であると同時に、物議を醸しているアーティストでもあります。人や物の実在する世界から自由に発想した彼の作品は、アートと機関の両方に向けられた不遜な操作である。挑戦的な文脈の中で、素材やオブジェ、身振り手振りを用いた遊び心のある挑発的な作品は、コメントやエンゲージメントを強いる。
1999年にバーゼルのクンストハレ・バーゼルで展示された「La Nona Ora (The Ninth Hour)」というローマ法王ヨハネ・パウロ2世を隕石に見舞った蝋像で、ニューヨークで初めて国際的な注目を浴びることになる。2010年以降、ミラノのアッファーリ広場に常設されたパブリックアートの介入作品「L.O.V.E.」は、忘れ去られていた広場を市民が再利用するきっかけとなった。同年、カッテランは写真家ピエールパオロ・フェラーリとの共同制作による年2回の写真集『TOILETPAPER』を創刊。2011年には、第54回ヴェネチア・ビエンナーレに2,000羽の鳩のぬいぐるみを展示し、活発な議論を巻き起こしました。同年、ニューヨークのソロモン・R・グッゲンハイム美術館では、全作品を天井から吊るした個展を開催。
2016年9月から1年間、同じ美術館のトイレで、彼はトイレを18金で鋳造された完全に機能するレプリカに取り替え、一般公開した。その年の後半には、パリ・モネ・ド・パリで彼の最も重要な作品の一部を展示するために招待され、その結果、彼の作品の一つにちなんだタイトルの回顧展「愛を恐れない」が開催されました。2018年には上海のユズ美術館で「The Artist Is Present」をキュレーションし、現代におけるアートの最も神聖な原則である「独創性」「意図」「表現」に疑問を投げかけることから生まれたグループ展を開催した。
2019年後半には、オックスフォードシャーのブレナム宮殿で主要作品の個展「Victory is Not an Option」が開催されました:オープニングの夜、すでにグッゲンハイムで展示されていた18金の金で作られたフル機能のトイレ「America」が、展示会場から未知の窃盗によって盗まれるという事件が発生しました。2019年12月、カッテランの新作「コメディアン」は、ギャラリーのブースの壁にバナナをダクトテープで貼り付けたもので、アートバーゼル・マイアミビーチのフェアでデビューし、アートの本質と価値について世界中のあらゆるタイプの観客の間で議論や議論を刺激しました。
引用:https://www.perrotin.com/artists/Maurizio_Cattelan/2#biography
マウリツィオ・カテランのアート作品
スキャンダラスな作風で知られるマウリツィオ・カテランがこれまでに手掛けてきたアート作品には、
隕石に激突するローマ教皇ヨハネ・パウロ二世の蝋人形「ラ・ノナ・オラ(La Nona Ora)」(1999年)
グーゲンハイムに置いてある使用可能な18金のトイレ「アメリカ」(2016年)
後ろ姿は子供なのに、前から見るとヒトラーが跪いている「HIM」
馬の頭が壁に突っ込んでいる作品「無題」
ミラノの証券会社にある、中指を立てた銅像「L.O.V.E」
などがあります。