マクドナルド理論とは？
国同士の戦争やコミュニケーションの文脈でマクドナルド理論というのがありますがどんな内容なのでしょうか？
マクドナルド理論wiki
マクドナルド理論（McDonald’s Theory）とは、最低なアイデアを提案することによって、アイデアが溢れ出てくる現象のことを指します。この理論は、デザイナーで教師のジョン・ベルさんによって提唱され、2013年にFacebookで話題となりました。
マクドナルド理論は、あるテーマについて誰もアイデアを発言しない時に、すぐに思いつく限りで最低のアイデアを発言すると、皆がアイデアを発言し始める、というテクニックです。これは、昼食を決める時に「マクドナルドに行きたい」と言うと他のメンバーがより良いアイデアを発言し始める、という話が「マクドナルド理論」の由来です。（ただし、マクドナルドが本当に最低のアイデアなのかどうかは別の問題です）
マクドナルド理論の効果
なぜこれでアイデアを発言するようになるのかは定かではありませんが、いくつかの理由が考えられます。
安心感の提供： 最低のアイデアで決まってしまうのを避けたいという動機が生まれ、自分のアイデアを発言しても良いという安心感が生まれます。
アイデアの促進： アイデアを発言することで、それが許容できるものであればすんなり通りますし、最低のアイデアであれば他のメンバーが対案を発言してくれます。
マクドナルド理論の注意点
マクドナルド理論は、ブレーンストーミングのようにメンバー全員でアイデアの数を稼ぐ必要があるような場面でなければ、あえて最低のアイデアを発言することに拘る必要はありません。日々の業務で生産性を上げたいのであれば、アイデアの良し悪しに関わらずとりあえず口火を切って、お互いに悩む時間を減らすことが大事だと考えられます。
マクドナルド理論（黄金のM型アーチ理論）｜戦争編
「1999年半ばまでで、マクドナルドが存在する国同士は、国内にその店ができてからは戦争をしていない」、または「マクドナルドのある国の人々は戦争を望まず、むしろマクドナルド（豊かな生活）を選び、これを無視する指導者や国民は高い代価を払う」とする、国際関係の文脈での理論。
ニューヨーク・タイムズ記者のトーマス・フリードマンが提唱した「黄金のM型アーチ理論」というもので、著書『レクサスとオリーブの木』では主にこちらで呼ばれるが、同書内では「マクドナルド理論」とも呼ばれています(p.12, 13)。
この理論によれば、ある国の経済がマクドナルドのチェーン展開を支えられるくらい大勢の中流階級が現れるレベルまで発展すると、そこは「マクドナルドの国」となります。マクドナルドの国の国民は、戦争よりもハンバーガーを求めるほど、もはや戦争を望まなくなるとされています。
マクドナルドの国同士は戦争をしないという考え方は、一部の例外を除いて成り立つとされています。この理論は、国家間の経済的な結びつきが強まることで、戦争という非合理的な選択を避けることができる可能性を示唆しています。
ただし、この理論には批判もあります。実際には、マクドナルドの国同士で戦争が起きたり、マクドナルドの進出先で紛争が発生することもあります。例えば、コソボ紛争や南オセチア紛争などは、この理論の限界を示す事例として挙げられます。
マクドナルド理論wiki｜弱点は？
マクドナルド理論は、有益な考え方である一方で、いくつかの弱点も存在します。
■1. 重要度の低い事に弱い：
マクドナルド理論は、重要度の低い事柄には効果を発揮しにくいです。人々は重要な事柄に対しては細かく議論し、意見を述べる傾向がありますが、重要でない事柄に関しては気楽な意見を述べることが一般的です。例えば、友人からの「母親の誕生日プレゼントに花を贈ろうと思うんだけどどうかな？」という質問に対して、多くの人はあまり重要でないと感じ、適当な答えを返すことがあります。
■2. 仮案が当たりに近いほど弱い：
マクドナルド理論では、仮案が当たりに近いほどその効果が弱まります。人々がすでに考えている案に近い提案をすると、新しいアイデアが生まれにくくなります。例えば、ランチでマクドナルドを提案するという例では、提案が既存の選択肢に近い場合、新たなアイデアが生まれにくくなります。
■3. 精度/確度が低いと弱い：
マクドナルド理論の効果は、提案をする人の能力や精度に大きく左右されます。提案者の理想のイメージや物事を把握する精度が低い場合、理論の効果が薄れます。提案者が問題を正確に把握し、高い精度でアイデアを提示することが重要です。
まとめ：マクドナルド理論wiki｜弱点・戦争
マクドナルド理論は、一見すると奇妙な名前ですが、実はとても効果的なアイデアを生み出すためのテクニックです。これは、誰もが思いつくような「最悪なアイデア」を意図的に提案することで、そこから議論が始まり、結果的により良いアイデアが次々と生まれてくるというものです。
なぜ「最悪なアイデア」が効果的なのか？
マクドナルド理論が効果的な理由は、以下の3つが挙げられます。
■「最悪なアイデア」を避けるための動機
誰もが「最悪なアイデア」で決まってしまうことを避けたいという気持ちになります。その結果、より良いアイデアを提案しようと意欲が高まります。
■安心感を与える
「最悪なアイデア」が許容される雰囲気を作ることで、参加者全員が安心して自分のアイデアを自由に発言できるようになります。
■議論のきっかけ
「最悪なアイデア」は、議論のきっかけとなり、様々な視点からの意見交換を促進します。
他にも、1996年にアメリカのコラムニスト、トーマス・フリードマン氏が唱えた「黄金のM型アーチ理論」と呼ばれる説もマクドナルド理論として知られています。
これは、「マクドナルドのある国の間では戦争は起きない」というものです。
フリードマン氏は、マクドナルドが中流階級の象徴であると考えました。ある国の経済が発展し、マクドナルドがチェーン展開できるほど中流階級が増えると、国民は戦争よりも豊かな生活を望むようになります。つまり、戦争で国力を失うよりも、経済成長を維持してマクドナルドを食べられる方が幸せだと考えるようになるのです。
この理論は発表当初から批判もありました。実際に、マクドナルドが存在する国同士でも、コソボ紛争や南オセチア紛争、そして2022年のロシアによるウクライナ侵攻など、戦争は起こっています。
しかし、マクドナルド理論は完全に否定されるべきではありません。経済的な結びつきが強い国同士は、戦争による損失が大きいため、戦争を避ける傾向があります。マクドナルドは、その経済的な結びつきの一つの象徴として捉えることができます。
